砕波は波の中でも極めて複雑な現象であり、砕波圧は重複波圧のように理論的に求めるのが困難です。そのため、実験的にその算定式が求められています。日本では、直立防波堤に作用する砕波圧の算定式として、廣井公式が使用されています。
実際の波圧は水面近傍で最大となり、水底に向かって減少するため、廣井公式で算定した波圧は局所的な測定とは必ずしも一致しません。しかし、堤体に作用する波圧の平均値とはよく一致することが知られており、経験的にも実験的にも認められています。そのため、現在でもよく用いられています。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:水深8 [m] の地点に設置された直立防波堤に波高4.0 [m]、周期9 [s] の波が作用した。このとき、h=2Hとなり、重力波圧と砕波圧の堺となる。では、サンフルーの簡略式と廣井公式を用いて天端高さが十分高い場合の波圧合力を求めよ。ただし、波は峰作用時とし、海水の単位体積重量は10.1 [kN/m3] とする。
まずは、サンフルーの簡略式から波圧を求めていきます。
では、重力波圧の合力を計算します。
続いて、廣井公式から波圧と波圧合力を求めていきます。
計算の結果、サンフルーの簡略式と廣井公式の波圧合力は一致しておらず、不連続であることが分かりました。
まとめとして、砕波圧を求めるときは廣井公式がよく用いられます。また、実際の波は連続した形で存在しているのに対し、重力波圧のサンフルーの簡略式と砕波圧の廣井公式は不連続となります。