波の大きさは下図のように波高と波長によって表され、波高は波の峰と谷の鉛直距離、波長は峰から峰または谷から谷間の水平距離となります。また、波高と波長の比を波形勾配(H/L)、波が通過するのに要する時間を周期、波が進む速さを波速といい、波速は次式によって表されます。
水深と波長の比は水深波長比または相対水深(h/L)、波高と水深の比は波高水深比または相対波高(H/h)と呼ばれ、波をの性質を表すときに重要な無次元量です。相対水深は分散性、相対波高は非線形性の強さを表しているものと考えれば大丈夫です。
このとき、Lは波長 [m]、Cは波速 [m/s]、Tは周期 [s] です。
また、上記の基本量を用いた指標としてアーセル数があります。アーセル数は水面を伝わる波が非線形のときにその特性を分類する指標であり、次式によって表されます。アーセル数が1より小さいときはストークス波、アーセル数が1に近いときはクノイド波、孤立波、アーセル数が1より大きいときは段波となります。
このとき、Urはアーセル数です。
ストークス波、クノイド波、孤立波は波高(振幅)を考慮に入れた理論であり、有限振幅波と呼ばれます。一方、線形波(エアリー波)といわれる波は波高(振幅)を考慮しない・無視できる理論であり、微小振幅波と呼ばれます。
また、相対水深によっても波を分類することができます。相対水深が1/20より小さいときを長波または極浅海波、1/20(または1/25)〜1/2を浅海波、1/2より大きいときを深海波または沖波といいます。長波は水深が小さいので海底地形の影響を受けやすく、水底から水面までほぼ一様な動きをします。一方、深海波は水深が大きいので波の影響を受けずに進行します。
周期によっても波を分類することができ、周期が小さい順に表面張力波、重力波、長周期波に分けられます。表面張力波は重力よりも表面張力の作用により波が進行する場合であり、波長、波高ともに非常に小さく、工学的には無視できます。重力波は重力の作用により波が進行する場合であり、風が原因で発生・発達する重力波は他の周期の波に比べて大きなエネルギーを持っており、工学的に特に問題となります。長周期波は津波、高潮、潮汐などにより波が進行する場合をいいます。
まとめとして、波は波高、波長、波速、水深が非常に重要な特性値であり、その波の分類方法としてはアーセル数を用いる方法、相対水深による方法、周期による方法があります。