ざらざらの机の上に水を一滴落としてみてください。すると、水は広がらずに球状の形を保ちます。
水分子というのはバラバラにならないようお互いに強い力で引っ張りあっています。逆に、机や空気と触れている水分子は引っ張りあう相手がいないため、少し不安定な状態となります。そのため、不安定な状態の分子は安定状態になるために表面積を小さくしようとします。この表面積を小さくしようとする力のことを表面張力といいます。表面張力があるために水は机上で広がらずに球体を保ち続けます。机に落ちた水を図にすると次のようになります。
このとき、γsは固体の表面張力、γlは液体の表面張力、γslは固体と液体の界面張力です。
上式をヤングの式といい、右辺が大きいほど液体は球体に近づきます。また、角度θが90°より小さいときを疎水性、90°より大きいときを親水性といいます。撥水加工の製品(服や傘、水着など)は角度θを小さくしたり、界面張力を大きくするような加工が施されています。
一方で、表面張力を弱める方法もあります。それは、乳化です。水と油は放っておいても混ざることはありません。両方とも表面張力が強くそれぞれの分子同士で結合しているからです。そのため、混ぜるためにはそれぞれの結合を弱めてあげる必要があります。実は、水同士、油同士の結合を弱めることはすごく簡単であり、激しい振動を与えれば一時的に結合は弱くなります。皆さんもドレッシングをかける前はよく振ると思いますが、これは水と油に振動を与えて乳化を起こしているのです。
しかし、乳化は時間が経つと水と油に分離してしまいます。時間経過によって分離させないものとして界面活性剤があります。界面活性剤は親水基(水と結合する部分)と疎水基(油と結合する部分)の両方を持っており、水と油を混ぜ合わせた状態で保ってくれます。また、水に界面活性剤を入れて机上に一滴落とすと、球体を作らずに広がります。これは、界面活性剤によって分子間の結合力が弱まるからです。
界面活性剤は、私たちの身の回りの製品にたくさん使われています。例えば、石けんです。私たちの体から出る汚れの大部分は油性です。そのため、体に石けんをつけて水で流すと、汚れと石けんが結合し、体から流れ落ちていくことになります。一方で、泥汚れは石けんで落とそうとしても効果はありませんので注意して下さい。また、界面活性剤は化粧品やマヨネーズなどにも使われています。
まとめとして、表面張力とは物質間の境界に発生する力のことです。表面張力を弱める方法としては乳化を起こす、表面活性剤を入れるなどが挙げられます。