構造物の性能照査は施工中の構造物や部材毎に限界状態を設定し、限界状態に至らないことを確認することで行います。一般的に、限界状態は安全性、使用性、耐久性、復旧性に対して設定します。
限界状態に対する照査は材料強度や作用する力の特性値と安全係数によって行います。特性値とは設計する際にコンクリートや鉄筋に生じるばらつきを加味して決定した代表値のことです。また、安全係数は構造物の破壊を避け、安全を確保するために設けられた係数であり、以下の式によって照査が行われます。
このとき、riは安全係数 [単位なし]、Sdは設計断面力 [N]、Rdは設計断面耐力 [N] です。
設計断面力は構造物に作用する荷重によって生じる力であり、設計断面耐力は構造物や部材が耐えられることのできる強度です。設計断面力と設計断面耐力は下図のように求めるのですが、その計算過程の中で安全係数が使われます。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:一辺500 [mm] の立方体の形をしたコンクリート柱における設計断面耐力を求めよ。ただし、コンクリートの設計基準強度は27 [N/mm2]、材料係数は1.3、部材係数は1.15とする。
設計断面耐力は以下のように求めることができます。
まとめとして、構造物の性能照査は限界状態によって照査され、限界状態に対する照査は安全係数、設計断面力、設計断面耐力によって行われます。