鉄筋コンクリートが軸圧縮力と曲げモーメントを同時に受けるときの応力の分布状態は、軸圧縮力が核の内外どちらにあるのかによって異なってきます。ここでは、心内(核内)に軸圧縮力が作用する長方形断面、T形断面について紹介していきます。また、核の詳細については構造力学 9.2 短柱を参照して下さい。
心内に軸圧縮力が作用するときの応力を求めるためには、偏心量(軸圧縮力から図心までの距離)、換算断面積、図心からコンクリート上縁までの距離、図心からコンクリート下縁までの距離、断面2次モーメントが必要となります。まずは、長方形断面からです。
このとき、Aeは換算断面積 [mm2]、eは偏心量 [mm] です。
単鉄筋の場合は圧縮鉄筋の断面積に0を代入すれば大丈夫です。次に、T形断面です。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:下図のような長方形断面に圧縮力1,000 [kN]、モーメント45 [kN・m] が作用したときの応力度、コアの位置を求めよ。
まずは、換算断面積、偏心量、上縁および下縁までの距離を求めていきます。
次に、心内かどうかの確認をしていきます。
偏心圧縮力が心内に作用していることが分かったので応力度を求めていきます。
まとめとして、部材に軸圧縮力と曲げモーメントが作用するとき、偏心量の位置によって応力度の求め方が変わってきます。偏心圧縮力が心内にあるときは全断面に圧縮応力が作用するので、全断面を有効として計算しています。