ここでは、複鉄筋の中心軸の位置、応力度、抵抗モーメントの式を示しておきます。まずは、複鉄筋長方形断面です。
dは有効高さ(はり上縁から引張鉄筋までの距離)、d'ははり上縁から圧縮鉄筋までの距離を表しています。また、圧縮鉄筋の断面積は曲げモーメントの釣り合いから、引張鉄筋の断面積は軸力の釣り合いから求めることができます。
もし、圧縮鉄筋の断面積が負の値なったときは複鉄筋とする必要はなく、単鉄筋で十分です。次に、複鉄筋T形断面です。複鉄筋T形断面は中立軸の位置がフランジにあるときは複鉄筋長方形断面の式を使います。
また、圧縮鉄筋の断面積と引張鉄筋の断面積は次式によって表わされます。
では、例題を2問解いていきます。
例題1:幅300 [mm]、有効高さ600 [mm] の長方形断面に曲げモーメント200 [kN・m]が作用するとき、必要鉄筋量を求め、安全性を照査せよ。ただし、コンクリートの許容応力度は8 [N/mm2]、鉄筋の許容応力度は157 [N/mm2]、d'は100 [mm] とする。
まずは、複鉄筋が必要かを確認していきます。
例題では有効高さを600 [mm] に設定したいのですが、単鉄筋では670 [mm] の高さが必要となってしまいます。そのため、今回は複鉄筋として計算していきます。次に、必要鉄筋量を求めていきます。
計算の結果と表から、圧縮鉄筋は4-D19 (19.1)、引張鉄筋は4-D29 (28.6) とします。では、抵抗モーメントを求めるのに必要な諸量を計算していきます。
抵抗モーメントを求めていきます。
例題2:フランジ幅1,400 [mm]、フランジ厚さ160 [mm]、有効高さ600 [mm] のT形断面における引張鉄筋と圧縮鉄筋の断面積を計算せよ。ただし、コンクリートの許容応力度は8 [N/mm2]、鉄筋の許容応力度は176 [N/mm2]、外力による曲げモーメントは900 [kN・m]、d'は60 [mm] とする。
まずは、複鉄筋が必要かを確認していきます。
単鉄筋では752 [mm] の高さが必要となってしまうため、今回は複鉄筋として計算していきます。
中立軸の位置はウェブにあるので、T形断面の式で鉄筋の断面積を求めていきます。
まとめとして、複鉄筋も単鉄筋と同じように有効高さ、鉄筋の断面積、中立軸の位置、応力度、抵抗曲げモーメントを求めることができます。