はりの幅、許容圧縮応力度、許容引張応力度、曲げモーメントが与えられると、はりの有効高さ、引張鉄筋の断面積を求めることができるようになります。まずは、単鉄筋長方形断面の有効高さと引張鉄筋の断面積の式の導出を行います。
T形断面の有効高さ、引張鉄筋の断面積を求めるときは、フランジ幅、フランジ厚さ、許容圧縮応力度、許容引張応力度、曲げモーメントが必要となります。また、中立軸の位置がフランジにあるときは、長方形断面の式を使用します。
では、例題を2問解いていきます。
例題1:幅400 [mm]、高さ340 [mm] の単鉄筋長方形断面に曲げモーメント54 [kN・m] が作用するときの有効高さおよび必要鉄筋量を決定せよ。ただし、コンクリートの許容応力度は9 [N/mm2]、鉄筋の許容応力度は196 [N/mm2]、粗骨材の最大寸法は25 [mm] とする。
許容応力度から中立軸比、有効高さを求めていきます。
有効高さを291.8 [mm] にすると中途半端な値となってしまうので、今回は300 [mm] とします。このとき、一般的な環境下でのかぶりは40 [mm] 以上確保しなければいけないことに注意して下さい。次に、引張鉄筋の断面積を計算していきます。
では、引張鉄筋の断面積が1092.9を超えるように表と照らし合わせて選択していきます。見やすくするために超えているものには色をつけました。鉄筋を決定するときにはルールがあり、
①20 [mm] 以上のあきを確保すること
②粗骨材の最大寸法の4/3倍以上のあきを確保すること
③鉄筋の公称直径以上のあきを確保すること
が定められています。また、かぶりの40 [mm] も確保する必要があります。まずは、1092.9に一番近い9-D13で試していきます。
従って、有効高さは300 [mm]、引張鉄筋は9-D13となります。本当なら引張鉄筋を決定するときはコスト面も確認する必要があるのですが、ここでは省略します。
例題2:フランジ幅1,600 [mm]、フランジ厚さ150 [mm]、ウェブ幅340 [mm] の単鉄筋T形ばりに曲げモーメント420 [kN・m] が作用するときの有効高さおよび引張鉄筋の断面積を計算せよ。ただし、コンクリートの許容応力度は9 [N/mm2]、鉄筋の許容応力度は196 [N/mm2] とする。
まずは、中立軸の位置を確認します。
中立軸がウェブにあることが分かったので、単鉄筋T形断面の式を使って引張鉄筋の断面積を求めていきます。
まとめとして、はりの幅、許容圧縮応力度、許容引張応力度、曲げモーメントが与えられると、はりの有効高さ、引張鉄筋の断面積を求めることができるようになります。