繊維方向の許容応力度には、圧縮応力、引張応力、せん断応力、曲げ応力があり、建築学会では木材の許容応力度について次のように定めています。
木材の許容応力度は試験体による圧縮強度の試験結果から求めていきます。地震や台風などの短期応力に木材の変形が急増しないと考えると、短期許容応力度はほぼ比例限度をとります。そのため、短期許容応力度を求める際は係数として2/3を乗じます。次に、長期許容応力度について述べていきます。死荷重や活荷重などの長期荷重に対しては部材が破壊しないと考えると、長期許容応力度はほぼクリープ限度をとります。そのため、長期許容応力度を求める際は係数として1.1/3を乗じます。
また、常時湿潤状態にある部材に対しては、その許容応力度に湿潤調整係数0.7を、直接風雨にさらされている部材に対しては0.8を乗じます。例えば、後者は桁橋の舗装されていない木床版などに適応します。その他にも、桁高が30 [cm] を超える集成材に適応する寸法調整係数などがあり、これらは木構造特有の概念といえます。
まとめとして、木材の許容応力度には長期と短期があり、長期許容応力度は圧縮強度に係数1.1/3を、短期許容応力度は圧縮強度に係数1/3を乗じることで求めることができます。また、別の係数として湿潤調整係数、寸法調整係数などがあります。