木材の断面は外周部と中心部で性質が異なってきます。外周部の木材は辺材と呼ばれ、中心部の木材は心材と呼ばれます。辺材には水分や養分が通っており、生命活動を行っている細胞が多く、淡色です。一方、心材には成長細胞がなく、濃色なのが特徴です。また、辺材より心材の方が耐久性が高いとされています。心材の方が耐久性が高い理由としては、①含水率が低いこと、②化学成分に対する抗菌性や抗蟻性の物質が多く含まれていることなどが挙げられます。そのため、屋外で木材を使用する場合は心材を多く利用するのが望ましいです。
上記でも述べましたが、木材の強度に影響を及ぼしている要因として含水率があります。また、含水率が高ければ木材は膨張し、腐朽する可能性が高くなります。水分は細胞壁に化学的結合をしている結合水と空隙に存在する自由水に分けることができ、含水率は次式によって表されます。
このとき、wは含水率 [%]、Wは水分を含んだときの重量 [N]、W0は乾燥時の重量 [N] です。
木材の腐朽の観点から見ると、含水率が40〜50%のときに腐朽菌の発育は極めて活発となります。一方、含水率が20%以下だと腐朽菌は繁殖しないと言われています。そのため、生材状態の木材をすぐに構造材として用いることは避け、できるだけ乾燥したのちに使用することが望ましいです。ちなみに、木材を長期間大気中に放置しておくと大気の湿度と平衡状態になります。この状態は気乾状態と呼ばれ、地域や季節によって多少の変動はありますが、日本では12〜15%くらいの含水率となります。
ある物質の性質が分布や方向に依存しないときは等方性と呼ばれ、分布や方向に依存するとき異方性と呼ばれます。木材は繊維方向、半径方向、接線方向によって性質が異なるため異方性といえます。例として、木材の弾性係数はその樹種によらず繊維方向:半径方向:接線方向=100:10:5となります。
従って、丸太の生材が徐々に乾燥していくと下図のように割れが発生します。丸太は柱や梁に使用されるため、下図のように背割りといわれる溝をあらかじめ彫っておく必要があります。
木材の応力-ひずみ曲線は下図のように表されます。圧縮に対しては比例限度に達した後、圧縮強度に至り、ひずみ軟化領域を経て破壊します。一方、引張に対してはほぼ直線的なまま引張強度に至り、脆性破壊します。
また、代表的な木材の強度も列挙しておきます。
まとめとして、木材の性質は辺材または心材、含水率、異方性によって表すことができます。また、木材の応力-ひずみ曲線は引張時はほぼ直線的となり、圧縮時は比例限度に達し、少し軟化した後に破壊します。