ここでは、地表面が傾斜している場合、地表面に上載荷重がある場合、多層地盤の場合について解説していきます。
①地表面が傾斜している場合
地表面が傾斜しているとき、下図のように鉛直な擁壁背面に作用するランキンの主働土圧および受働土圧は地表面に平行となります。この場合も塑性平衡状態を仮定し、地表面に平行な主働応力を求めることにより、主働土圧係数および主働土圧合力が次式のように得られます。
同様に、受働土圧係数および受働土圧合力を求めると次式のようになります。
②地表面に上載荷重がある場合
擁壁背面の土に構造物が建造され、荷重が載荷されると土圧は増加します。地盤内の鉛直応力が等分布荷重分だけ増加すると考えると、ランキンの主働土圧は次のように表わされます。
同様に、ランキンの受働土圧は次のように表わされます。
③多層地盤の場合
多層地盤になっているときは土圧分布を各層毎に算定する必要があります。いま下図のような2層地盤を考えたとき、下層の土圧は上層の土を等分布荷重に置き換えて算定すれば求めることができます。では、それぞれの例題を1問ずつ解いていきましょう。
例題1:下図のような逆T字擁壁に働く主働土圧合力および作用位置を求めよ。ただし、土の単位体積重量は20.0 [kN/m3]、内部摩擦角は30°とする。
まずは、土圧の高さおよび作用位置を求めていきます。
次に、主働土圧係数と主働土圧合力を求めていきます。
例題2:下図のような擁壁に働く主働土圧合力および作用位置を求めよ。ただし、等分布荷重は42.0 [kN/m2]、土の単位体積重量は20.0 [kN/m3]、内部摩擦角は30°とする。
まずは、主働土圧係数と主働土圧合力を求めていきます。
次に、モーメントの釣り合いから作用位置を求めていきます。
例題3:下図のような擁壁に働く主働土圧合力および作用位置を求めよ。ただし、等分布荷重は42.0 [kN/m2]、土の単位体積重量は18.0 [kN/m3] と20.0 [kN/m3]、内部摩擦角は30°と36°とする。
まずは、上層の主働土圧係数と主働土圧合力を求めていきます。
次に、上層の土を等分布荷重と考えたときの主働土圧合力を求めていきます。
さらに、下層の主働土圧合力を求めていきます。
最後に主働土圧合力の作用位置をモーメントの釣り合い式から求めます。
まとめとして、地表面が傾斜している場合、地表面に上載荷重がある場合、多層地盤の場合における主働土圧の求め方は以上のような手順で行っていきます。