連続した地盤内の微小要素をa×a×aの立方体で切り取ったとき、微小要素には断面力(垂直力とせん断力)が作用することになります。この断面力を面積で除したものを垂直応力、せん断応力といい、次式によって定義されています。また、土質学では、圧縮応力のときに正値となります。
このとき、σxはx面の水平応力 [kN/m2]、Nxはx面の水平力 [kN]、σzはz面の鉛直応力 [kN/m2]、Nzはz面の鉛直力 [kN]、τxzはせん断応力 [kN/m2]、Txzはせん断力 [kN] です。
土中の鉛直応力は土被り圧とも呼ばれ、地表面から地中のある点までの土の全重量を計算することで求められます。
このとき、γtは土の単位体積重量 [kN/m3]、zは地表面からの距離 [m] です。
自重による鉛直応力(土被り圧)は深さとともに直線的に増加することがわかります。また、地盤が積層状で各層の単位体積重量が異なる場合は次の式で表わされます。
地盤内には鉛直応力のほかに水平応力があります。水平応力は地盤の生成条件によっていろいろな値をとるために、一般的な定義式はありません。そこで、鉛直応力との比によって表わされます。
このとき、Kは静止土圧係数 [単位なし] です。
水平応力は圧縮が起こらないため、鉛直応力より小さくなります。そのため、静止土圧係数は0.4〜0.5程度の値を取るのが一般的です。しかし、何らかの理由により、鉛直応力が小さくなったにも関わらず水平応力がそのままだと静止土圧係数が1より大きくなる場合があります。このような状態を過圧密といい、4.2 土の圧縮性と圧密沈下量で詳しく解説しています。
では、例題を2問解いていきましょう。
例題1:下図に示すような多層地盤があるとき、微小要素に作用する鉛直応力を求めよ。
鉛直応力は次のように求めることができます。
例題2:下図に示すような地盤があるとき、微小面積に作用する有効応力を求めよ。
まずは、全応力と間隙水圧を求めていく必要があります。
この式から、有効応力が求まります。
まとめとして、土に作用する応力には鉛直応力、水平応力、せん断応力の3種類あり、圧縮のときを正とします。また、土の自重による鉛直応力(土被り圧)は土の単位体積重量に深さを掛けることで求められます。