道路の路線計画は計画策定、道路網調査、概略設計、予備設計、詳細設計(実施設計)の順に行われます。ここでは、これらのある程度の流れを説明していきます。
①計画策定
道路整備の計画を策定するときは交通施設などの活動水準や土地利用の現状を交通調査から把握し、道路との因果関係を明確にしてから策定を行います。このとき、因果関係を証明するために現況道路の評価をします。現況道路の評価は現在の問題だけではなく、将来どのような問題が発生するかも検討していきます。また、評価する視点としては、自動車の交通不能区間、狭隘区間(すれ違い不可能な区間)、交通渋滞の多発区間、交通事故・踏切事故の多発区間、消防・救急活動が困難な区間、各施設へのアクセスの容易さなどが挙げられます。得られた評価を用いて諸問題を解決するための課題の抽出を行い、基本方針を決定します。そして、最終的に予算面からの検討を行います。
②道路網調査
整備計画を策定後、将来の人口変動や経済指標から交通量を予測し、計画交通量に対応した道路網の計画を立案します。道路網を設定するときは設定地域内であればどこからでも利用できること、交通量と交通容量のバランスが保たれていること、道路網から望ましい地域構造を誘導することに注意する必要があります。また、道路網には有中心型(放射型、放射環状型、格子型、斜線型、Y字型など)と無中心型(梯子型など)がありますが、その地域の地形的特徴による制約があるため、どれが望ましいかは一概にはいえません。
③概略設計
新設道路の計画と道路網の設定が決まれば、次に道路の路線(ルート)選定を行います。これを概略設計といい、既存の資料をできるだけ収集し、必要に応じて現地踏査し、机上で検討を行います。車線数や幅員などの道路の構造規格は計画交通量から決定し、路線は地質、地下水、地すべり、気象、史跡、文化財、建設費、維持費などを考慮して設計します。概略設計する際は国土地理院が発行している1/25000の地形図を使用し、ルートの測点は100 [m] 間隔で区切ります。
④予備設計
予備設計は概略設計の結果を基に道路の中心線および幅員(幅杭)の座標位置を決定します。道路の中心線の座標位置を決定する場合を予備設計 (A)、道路の幅員の座標位置を決定する場合を予備設計 (B) といい、道路の中心線を測量中心線と呼んでいます。予備設計する際は写真測量から作成した1/5000の地形図を使用し、ルートの測点は20 [m] 間隔で区切ります。
予備設計 (B) で決定した結果を基に平板測量と路線測量を行い、地形の平面図・縦断図・横断図と1/1000の現況地形図が作成されます。それら地形図を使って用地立会(用地売買の交渉)が行われ、幅杭を現場に打ち込みます。
⑤詳細設計(実施設計)
詳細設計は平板測量と路線測量で得られた図面を使って交差点、中央分離帯、路側帯、歩道などを安全に運営できるよう道路の詳細部分を全て設計します。このとき、より細かい地図を使っているため、道路の中心線を変更する場合があり、これを設計中心線(道路中心線)と呼んでいます。詳細設計で特に注意するべき点は鉄道、河川、道路との交差する場所であり、交通処理能力の観点から平面交差にするか立体交差にするかを決定します。平面交差の場合は交差点前後の平面線形および縦断線形をできるだけ緩やかにする必要があり、見通しをよくすることで交通処理能力を向上し、安全性の増大を図ります。
まとめとして、道路の路線計画は計画策定、道路網調査、概略設計、予備設計、詳細設計(実施設計)の順に行われます。