柳生心眼流兵法

仙台柳心会

1.仙台柳心会

     1987年1月、第14代宗家星國雄に伊達藩に伝わった柳生心眼流を学ぶ有志の会として発足しました。現在は二代目星國雄(本名 星裕文)総本部長の下、日本古武道協会、日本古武道振興会に加入し、各種の演武会に参加するなど精力的に活動しています。 また以下の定則を守り、学生から70代の方まで共に汗を流し親睦を深めています。

柳生心眼流兵法定則

 一、御國法恐固相守可申事                                                                                                         

 一、他流之意味以我流混雑仕間敷事                                                                                  

 一、他流相加自己一流相立申間敷事                      

 一、對相學之輩何義不爭論申間敷事                                                                                       

 一、許可印之條目無之者他人指南仕間敷事                                                      

 一、於稽古場他流之善悪申間敷事                                                       

 一、五常仁義不失兼和日柔為附可門弟之輩水魚交可仕事                                                                                                            

2.流儀の特徴

     柳生心眼流兵法は、竹永隼人を流祖とし約400年前に創始された柔、武器術、甲冑術、法伝、心法等を含む総合武 術です。技の特徴としては、七箇条の取り口(片衣、両衣、袖付、打込、折取、襟取、大搦)が4段に変化する(表、中極、落、切)素振二十八個条を基本とし、免許は切紙、目録、甲冑、小具足、皆伝となっています。柔から武器術まで全て素振二十八箇条の動きが基になっており、流儀の特徴の一つである無刀捕も素振二十八箇条の応用でしかありません。また、取り口も八点足による待ちが専らであり、自らが攻めるよりも相手の攻撃や力を利用した技が多く含まれています。さらに法伝(勝負での心得等)や心法(生きる上で大切な心得等)も伝えられており、人を殺めたり倒す殺人剣よりも人を活かす活人剣を大切にしています。

3.稽古について

     神前礼、朋礼のあとに素振二十八個条を全員で揃い振りします。その後に写(うつし)と取(とり)に分かれて二人組で組稽古となります。組稽古では、写が取りに攻撃を仕掛け、取が返しの型を取り、取が写にむくり(投げ)を仕掛けて一箇条が終了となります。これを写と取を七箇条ずつ交互に行ない素振二十八箇条を行ないます。まだ奥義の許しを得ていない者は、ひたすら繰り返し素振を行ないます。奥義の許しを得ているものは、それぞれの免許に応じての型稽古を行ないます。この際、奥義の位ごとに敷居を立て、上位の技は決して見えないように行ないます。指導は、各個人に合せて行ない、すべて口伝(口頭)によって伝えられ、同じ型であっても位(技や心の熟練度)によって変わります。稽古は、互いに尊敬しあい、稽古ができることに感謝して行なうことが大切です。上段者が初学の者に危険な技を試したり見せるようなことは決して行わないように慎みます。ひととおり型稽古を終えると神前礼、師範礼、朋礼をして稽古は終了となります。

4.稽古着・道具について

    稽古着に定めはありません。実際修行されている方は空手着、柔道着、合気道着等様々です。ただし、袴については中仕切のある馬乗袴が良いでしょう。スカートタイプの行灯袴だと「むくり」を行なう際に大変なことになってしまいます。また、鉢巻や手拭を頭に巻くこともありますが、稽古中は何でも構いません。ただし、演武の際は、仙台柳心会の手ぬぐいを着用することもあります。道具については、一式そろえると大変な額になりますので【特に甲冑】、始めは木刀から購入することをお勧めします。武器を購入する際は、先輩や師範に相談してからが良いでしょう。

5.入門のすすめ

     戦国時代の終わりから泰平の世の江戸時代を経て、既に甲冑を着用しての戦闘もないこのご時世に柳生心眼流を学ぶ意味はあるのでしょうか。オリンピックの種目でもなく大会で優勝を競いあうこともないこの流儀を学ぶ意味はあるのでしょうか。 柳生心眼流兵法に限らず、古武道や現代武道の空手や柔道なども人体構造の弱点や性質、心の状態を利用して最も効果的な技を繰り出します。柳生心眼流兵法を始めとした古武道の技も現代に通用する技があるのです。むしろ現代武道では失われた技術が脈々と受け継がれていることもあるのです。そういった意味では現代で古武道の技術が役に立たないとはいえないのではないでしょうか。また、心法においても、江戸時代から戦闘技法とともに、人としていかに生きるべきか、如何にして人の役にたつべきかということも同時に研究されてきました。柳生心眼流兵法が今も大切にしている「活人剣」はまさにその現れなのです。 柳生心眼流兵法は人と競う、比べることで自分の価値を見出すのではなく、自分自身を見つめること、自分自信に問いかけること、そして何よりも、ありのままの自分を受け入れ信じることにより、自らの価値を高めていくことを主眼としているのです。 また、そうしていると、周りの人や環境、すべての存在に活かされていることに気づき、そこから本当の感謝の気持ちが理解できるようになるのです。 柳生心眼流兵法の「兵法」とは「生きる術」と教えられます。つまり、柳生心眼流兵法を学ぶということは、勝ちを得る技法を学ぶだけではなく、「如何に人として生きていくのか」という問いを絶えず自分に問いかけていく道にほかなりません。故に修行に終わりはありません。技の習得にはそれぞれ個人差があります。心のありようも人それぞれです。 現在、仙台柳心会で修行されている方は、空手や柔道の経験者もおりますし、武道未経験者もおります。武道を経験された方には、経験した武道に通じる動きや技の再発見があるでしょうし、新たな驚きがあるかもしれません。未経験者の方は、昔の人はこんなことを考えていたのか、このように戦っていたのか等初めて出会う体験に興味を持つかもしれません。 柳生心眼流兵法を学ぶために、  特別な能力や知識は必要ありません。年齢性別関係なく、自分のペースで学ぶことができます。一生続けられる趣味を始めてみませんか?

6.入会・入門するには?

     入会・入門するにあたって特別な条件はありません。ただし、現代武道とは違った体の使い方をするため、戸惑うことや理解できずに同じ型を何度も振ることが苦痛になることもあります。単純に強くなりたい、早く技を覚えたいと思う方には向かないと思います。むしろ、じっくり時間をかけて型の意味を理解したい方、体に無理なく武道を修行したい方に向いています。興味のある方は、代表の小幡忠弘宛にご連絡ください。見学や体験も可能です。見学・体験の際は事前にお問い合わせください。

.入会・入門の流れ

 仙台柳心会で柳生心眼流を学ぶには一度見学にお越しいただき、何度か体験していただいた後に、入会の手続きを行います。入会の手続きは、申込書に必要事項を記入いただければ結構です。その後、毎月の運営協力費(1,000円)と参加の都度500円をいただくことになります。礼法や素振り二十一箇条、受け身などの基本の型を学び、さらに本格的に心眼流を学ぶ場合は、入門の手続きをとります。入門とは師範と師弟関係を結ぶということであり、基本の技以降の奥義の技を含めた武器術等を本格的に学んでいくことを意味します。入門する場合は、門人帳への氏名などの署名と押印、入門料として3,000円の御礼が必要になります。また、伝授(上位への昇格)の際はその都度師範への御礼が必要となります(1万円~)。


        ※どちらでもご参加いただけます。