日本の稠密な地震観測網・Hi-netについて
地震観測網は様々な研究機関によって運用されており、観測できる揺れの強さや周期などによっていくつかの種類があります。防災科学技術研究所の運用する観測網を例にとると、強い(振幅の大きな)揺れでも観測可能なK-NET/KiK-net、周期の長い(低周波)揺れも観測できるF-net、今回主に紹介するHi-netや、海底地震津波観測網(S-net, DONET)があり、これらをまとめてMOWLAS (Monitoring of Waves on Land and Seafloor)と呼ばれています。
Hi-netは高感度地震観測網(High Sensitivity Seismograph Network Japan)の略で、体に感じないわずかな揺れでも正確に記録できる高感度速度型地震計を使った観測網です。日本国内で定常的に運用されている地震観測網の中ではK-NET/KiK-netと並んで最大規模で、全国に約20 kmの間隔で約1,000カ所に観測点が設置されています。高感度地震計は、ノイズ(人工的な振動など)の影響を避けるために地下深い場所(100m以深)にあり、最も深い観測点(埼玉県 岩槻観測点)では地下3,500mの深さに設置されています。
Hi-netで得られた地震波形データはテレビやインターネット上の速報でも目にする気象庁一元化処理震源をはじめとした国内外の多くの地震学的研究で利用されています。また、オープンデータになっているため防災科研にユーザ登録することで誰でもデータをダウンロードすることが可能で、ガイドラインを遵守すれば学生でも自由にデータ解析に用いることができます。データは連続波形画像としても公開されていて、100トレース連続波形連続画像では日本全国を網羅するように選ばれた100カ所の波形データを、一度に閲覧することができます。
(参考文献) https://www.hinet.bosai.go.jp/?LANG=ja (Hi-net 高感度地震観測網)
https://www.mowlas.bosai.go.jp/network/ (防災科学技術研究所 網羅する観測網)
観測点って実際どこにあるの?
Seismo-Baseデータベース班では、日本列島周辺で利用されている観測点の情報をまとめたGoogle mapの作成に取り組んでいます。あなたの住んでいる街や学校の近くにも地震計が設置されているかもしれません。ぜひ探してみてください!
(推奨ブラウザ:Google Chrome, Microsoft Edge)
クイズ:おらが村の観測点を探してみよう
※本ページで紹介している観測網・観測点名・観測点座標は以下より引用しています。
Hi-net, KiK-net, K-net, F-net, V-net, S-net, DONET: 防災科学技術研究所陸海統合地震津波火山観測網
National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience (2019),
NIED MOWLAS, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, doi:10.17598/NIED.0009.