資源・素材学会採掘技術部門委員会,岩盤斜面小委員会,石灰石鉱業協会合同現地検討会では毎年合同で現地検討会を開催しています。本年度は青森県八戸市の八戸鉱山(株),久慈国家石油備蓄基地ならびに三陸沿岸道路洋野種インターチェンジフル化現場を視察させていただきました。
八戸鉱山は東北地方有数の石灰石鉱山ですが,同時に”空を見上げることが出来る最も標高の低い場所”としても知られています。この鉱山はすり鉢状に開発されており,その底部は海抜 -170m にも達します。このことから「八戸キャニオン」としても広く知られています。八戸鉱山は将来の鉱量を確保すべく,鉱区の南側に新たな採掘現場を開発しました。今回はその新しい切り羽,またその開発に伴う河川の切り替え現場,高圧電線の鉄塔の移設現場などを視察しました。あいにく視察中は雨に見舞われましたが,逆に残壁の表面のコントラストが鮮明になり,切り羽の状態をよく観察することが出来ました。
2026年2月に勃発したホルムズ海峡危機によって,日本の石油備蓄の重要性が再認識されました。そのような事態も踏まえ,今回は久慈国家石油備蓄基地を視察させていただきました。あまり表には出ない地味な作業ですが,国家石油備蓄の重要性を再認識させられました。
最後に 三陸沿岸道路洋野種インターチェンジフル化現場を視察させていただきました。三陸沿岸道は2011年の東日本大震災による津波被害を受けて三陸沿岸に整備された高規格道路です。ただし,利用者の偏りから一部のインターチェンジでは一方向の出入りのみが可能となっていました。洋野種インターチェンジもその一つで,今回は双方向の出入りが可能になるような工事現場で,おもに道路基礎,橋脚基礎の工事過程を視察させていただきました。
八戸鉱山展望台からの風景。写真奥が新しく開発された南側鉱区
久慈国家石油備蓄基地。遠方に石油搬出・搬入用ののピットを望む
洋野種インターチェンジの新たな橋脚建設現場
上磯工場のプレヒーター棟と焼成キルン
鉱山用ホイールローダのバケットで記念撮影
資源・素材学会および石灰石鉱業協会が共同で主催する「学生特別見学会」に参加しました。佐藤研からも M1 の松石宇央くんが参加しました。
この見学会は,資源分野を目指す学生さんを対象として,実際の現場の雰囲気やスケール感を肌で感じ取って欲しいということで毎年,全国の石灰石鉱山とセメント工場を対象として実施しています。本年度は,北海道北斗市にある北海道太平洋鉱業株式会社様が運営する上磯工場(セメント工場)ならびに峩朗鉱山を見学させていただきました。
峩朗鉱山は東日本では一番の規模を誇る石灰石鉱山で,毎年300万トンの石灰石を採掘しており,その鉱石は北海道一円だけでなく関東方面へも出荷されています。
セメント工場である上磯工場では,まず,セメントの製造過程などについて説明を受けました。資源系の学生さんにとってセメントそのものについて知る機会も少なく,非常に勉強になったと思います。また,製造には廃棄物も有効に利用されている点も新たな発見だったと思います。また,実際の工場見学では,セメント工場の目玉であるプレヒーター棟ならびに焼成キルンを間近に目にし,とくに焼成キルンの 1400℃以上の高温を肌で感じることが出来ました。
次に,上磯工場から約 6km 離れた峩朗鉱山を見学しました。この日は晴天に恵まれ,切り羽の様子を詳細に観察することが出来ました。特に,ベンチカットによる採掘プロセスについて,鉱山の方に丁寧に説明いただきました。
このような見学会を通じて,資源分野の企業についてもより深く興味を持つきっかけになってくれればと思います。
資源・素材学会は佐藤がメインに活動している学会です。このたびの全国大会は,福岡市にある福岡工業大学で開催されました。2026年現在は採掘技術部門委員会の委員長をしており,また長年,岩盤工学部門委員会にも所属しております。資源・素材学会は非鉄金属資源を対象として,上流から下流まで(探査→採掘→選鉱・精錬→材料プロセス→リサイクル)の一連の資源の流れについて研究する学会です。今回は採掘技術部門委員会,岩盤工学部門委員会に参加し活動について意見を交換するとともに,一般講演において質疑応答を行いました。
研究発表会の様子
西日本岩盤工学シンポジウムは,熊本大学,九州大学,山口大学,長崎大学の岩盤工学に関係する研究室のメンバーが一堂に会し研究成果を発表し意見交換をする場です。本年度は熊本大学がホスト校となり,熊本市にあるユースピア熊本を会場に開催されました。このシンポジウムは,学生さんからの質問も多く,活発な議論がなされました。また夜の懇親会でも異なる大学・研究室の学生どうしで親交を深めました。
佐藤研からも以下の2件の発表を行いました。
題 目:X線CTによる鉄筋コンクリート表面はつり後の鉄筋周辺コンクリートの損傷評価
発表者:高橋仁晟(M1)
題 目:酵素誘発炭酸カルシウム析出法による高透水性不均質岩石の浸透率低減効果の評価
発表者:秦野真菜(M2)
払い跡充填技術評価委員会に参加するために釧路市にある釧路コールマインを訪問しました。釧路コールマインは日本で唯一現存する海底炭鉱で,現在も年間17~18万トンの石炭を採掘しています。現在,掘削により出来た空洞に,石炭火力発電所からでたフライアッシュで充填する取り組みがなされています。また,同時に CO2 もフライアッシュの中に固定する取り組みがなされています。今回は,佐藤研が行っているフライアッシュへの CO2 固定量の評価に関する実験結果について進捗状況の報告を行ってきました。
フライアッシュミキシング工場と CO2 タンク
胡麻柄鉱区東側に新設された展望台より残壁をバックに記念撮影
6月25日に戸髙鉱業社および戸高鉱業社様が開発している津久見地区鉱山を訪れ,佐藤研の現地見学会を実施しました。戸高鉱業社様は大分県津久見市に本社を置く石灰石鉱山会社であり,同じ津久見市にある津久見地区鉱山を開発している企業です。また,津久見地区鉱山は戸高鉱業社の他に太平洋セメント様,大分鉱業様,日鉄鉱業様と共同で採掘が行われている鉱山で,出鉱量は年間約 2,500万 ton と一つの地区からの出鉱量は日本一であり,この地区からだけで日本の石灰石の約1割が生産されています。今回は,熊大や佐藤研の OB も多く在籍する戸高鉱業社様を訪問し,切り羽の現場から破砕室などの坑内施設,出鉱用の港湾設備など見学させていただきました。あいにくの雨模様ではありましたが,切り羽全体の様子を観察することができ,石灰石鉱山のスケールの大きさを肌で感じることが出来ました。
本研究室の前身は熊本大学資源系の研究室でした。そのため,OB の方々の多くが鉱山業界に就職されています。今時「鉱山?」と思われる方も多いですが,石灰石は日本で唯一 100% 自給可能な鉱物資源であり,現在でも 200 以上の鉱山が創業しています。
石灰石鉱業大会では,全国の石灰石鉱山の技術者が一同に集い,現場での問題解決や新たな鉱区の立ち上げ,プラントの新設などに関わる成果が発表されます。また,石灰石鉱業協会からの研究奨励研究の成果発表などもあり,実務から新たな研究テーマまで幅広い分野で意見交換がなされました。
資源・素材学会九州支部「若手研究者および技術者の研究発表会」において以下の研究発表を行いました。(○印が発表者です。)
○松石宇央,髙木駿介,高橋仁晟,秦野真菜,佐藤晃,払い跡充填剤フライアッシュのカルシウムイオン溶出と炭酸塩としての CO2 固定量の評価,令和8年度「若手研究者および技術者の研究発表会」講演要旨集,pp.68-70, 2026.
○髙木駿介,髙木仁晟,松石宇央,秦野真菜,佐藤晃,不均質多孔質岩を対象とした酵素誘発型ミネラル析出法の最適化の検討,令和8年度「若手研究者および技術者の研究発表会」講演要旨集,pp.71-73, 2026.