実験装置
当研究では岩石材料の評価にX線CTスキャナーを適用しています。等研究室を含む熊本大学工学部土木系教室 Geomechanics グループでは以下の計3台のマイクロフォーカスX線CTスキャナーを,岩石をはじめとした様々な地盤材料の評価に適用しています。。
・Nikon XT H 320
・TOSHIBA TOSCANNER 32300
・SkyScan2214
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研究内容
本研究室では,ウレアーゼ酵素という酵素を使い,岩石内部に CaCO3 (炭酸カルシウム)を析出させ,岩石の空隙部分を閉塞させる研究を行っています。岩石には多数の空隙が存在しており,特に堆積岩ではその空隙を通して流体が移動することが出来ます。この研究は空隙内部に CaCO3 を析出させ,空隙内部を閉塞させようとするものです。空隙が閉塞されることによって”目詰まり”を起こし,流体が流れにくくなる(遮水性を高める)ようにします。これにより,水漏れや不必要な場所への水の流れを防止する方法です。
この研究では,CaCO3 を析出させるためのグラウト剤を開発していますが,一番の特徴は岩石内部へグラウト剤を圧入する際には液体の状態で,岩石内部で CaCO3 を析出させる点にあります。これにより,岩石深部までグラウト剤を浸透させ,遮水性を高めることが期待されます。
右の写真は,グラウト剤により空隙内部にCaCO3 を析出させた後の岩石表面の顕微鏡写真です。点線内部の白い部分は,元々は空隙だった箇所に CaCO3 が析出し空隙が充填された箇所を示しています。このように空隙を充填することにより,空隙内部を流れようとする流体をせき止めることが出来ます。
岩盤工学など,岩石内部の水の流れやすさを示す指標として「固有浸透率 [m2]」という量があります。写真のように CaCO3 が析出することによって,流れやすさ,つまり固有浸透率の値をを元の岩石の 1/100 ~1/1,000 まで低減することが出来ます。
右の画像は,先に紹介した X 線 CT スキャナーで岩石内部を可視化した図です。CT画像は密度の高い部分は白っぽく,逆に密度の低い部分は暗く表されます。左側がグラウト剤圧入前,右側が圧入後の画像ですが,黄色の点線の部分を比較数と圧入後の方が全体的に白っぽくなっています。これは CaCO3 の析出により空隙が満たされ,密度が上昇したためです。
我々の普段の生活の中では石炭を直接見る機会はほとんどありません。また,石炭を燃焼させると多くの二酸化炭素を排出するために,現代では地球温暖化を進める”悪者”扱いされる場合も多いです。しかし,今でも目に見えないところで石炭はたくさん使われています。例えば,日本の総発電電力量に占める石炭火力の割合は約30%です。また,製鉄にも石炭は欠くことの出来ない原料の一つです。
石炭は長い間地中に保存されている間にき裂などに水が浸透していきます。そして,き裂には炭酸塩(主に炭酸カルシウム)などが析出します。本研究では,このような石炭試料に対して炭酸水を圧入しました。炭酸水は pH=4.0 程度と酸性を示し,この条件では炭酸カルシウムはカルシウムイオン Ca2+ と二酸化炭素(絵液中に溶解)に分かれてしまいます。このように,き裂内部に存在した充填物が減少していく様子をX線CTスキャナーにより可視化したものが右の図です。図の赤丸の部分が,炭酸水注入後にき裂内部に充填された炭酸カルシウムが溶解してなくなってしまった部分を示しています。
フライアッシュとは,主に石炭火力発電所で燃焼した石炭灰や同時に燃料として加えられるバイオマス灰のことを指します。このフライアッシュには多くのカルシウムイオン Ca2+が含まれています。これに二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウム(CaCO3)として固定しようとする試みです。
この研究では,フライアッシュ試料に炭酸水を加えることによって,炭酸水に含まれる二酸化炭素がどの程度 CaCO3 として固定されているのかを評価する研究です。
フライアッシュと炭酸水を混合させた後の様子
これまで数年にわたり,異なるフライアッシュに対して二酸化炭素の固定試験を実施してきました。その結果の例を左に示します。横軸がフライアッシュに二酸化炭素を混合した回数を,縦軸に固定された二酸化炭素の量を示します。使うフライアッシュによって固定量が異なりますが,炭酸水中のほとんどの二酸化炭素が固定されています。
しかし,フライアッシュ中にはまだまだカルシウムイオンが含まれています。この未固定のカルシウムに効率よく二酸化炭素を固定させるかが今後の課題です。