繭玉ピグ洗管工法の詳細 

 

1.洗管の目的とその背景

・本洗管工法やカメラ調査を行う背景として、最近問題となっている

 耐用年数を過ぎた水道管路の増加や予算と人員の削減などの問題が

 あり、それらの問題に苦慮されている水道事業体様が増えている

 と思われます。


 そこで本洗管工法やカメラ調査により以下の問題解決を図り、

 安心・安全な水道インフラの維持管理ツールとしてお役に立てる

 と考えております。


 ①管内の懸濁質起因による濁水問題の解消と水道管路の延命効果

 ②効率的な予算配分を実現するツール

(カメラ調査により管路を「更新」・「洗管して延命」・「経過観察」

 に分類) 

 <既設消火栓からのカメラ調査写真>

 2.工法の概要

・繭玉形状のピグを消火栓や空気弁及び不断水分岐などに設置した入口

 から管内に圧入し通常配水で圧送、濁水の原因である付着物や堆積物

 を擦りながら出口まで進み、管内を隅々まで洗浄します。

 3.工法の特長

 ①管口径より大きいピグ(下記写真参照)を管内面に圧入し、管に

  密着した状態で圧送することにより強力な摩擦力と流速による洗管

  を行います。

  また新開発の繭玉ピグを使うことで、球形ピグより接触長が30%

  程度増え1回当たりの洗浄力を向上させることに成功しました。

  その結果、球形ピグと比較して洗浄回数を減らすことができ、

  洗浄用水の節約・断水時間の短縮・コストの削減を実現しました。


 ②既設の消火栓や空気弁下の補修弁をピグの出入口に活用できます

  ので土木工事は基本的に不要です。

 ③条件によりますが、断水4時間で1区間2㎞程度までは施工可能

  です。

 ④ピグの収縮性により、1区間で3種類の口径まで洗管可能

  (例:φ150~250)。

 ⑤騒音対策済で夜間施工も可能です。 

 <繭玉ピグサンプル写真>

 4.当日の施工手順

 ピグの出入口2箇所で交通規制を開始する。

 ②ピグ入口にピグ圧入装置(ランチャー)と仮設水槽、ピグ圧入用

  ポンプを設置、仮設水槽に水が汲めたらポンプの動作確認を行う。

 ③ピグ出口も入口と同時にピグ受取装置(キャッチャー)と仮設水槽

  を設置。

 ④機材設置後、断水開始時刻になったら区間断水作業を行う。

 ⑤洗管前にピグが安全に圧入・圧送できるか確認を行う。

 ⑥ピグ入口のランチャーにピグを投入し、ポンプと仮設水槽の水を

  使い洗管対象管内に圧入する。

 ⑦ピグの圧入確認後、ピグ入口より上流側にある仕切弁を開け、

  通常配水によりピグを出口まで圧送する。

 ⑧ピグ出口にて、濁水を処分する場合は所定の方法にて処分する。

  また処分しない場合、近傍の水路等へ全量排水する。

  洗管中ピグが計画通りの流速で到達するよう、流量を調整する。

 ⑨区間延長が長い、伏せ越し部が深い場合等、途中でピグの通過確認

  を行う場合もある。

 ⑩ピグが出口に到達したら上流側仕切弁を閉め、ピグを回収する。

 ⑪ ⑥から⑩を繰り返し計3回の洗管を行う。

 ⑫ピグ出口から30~60分程度(配水可能になるまで)放水洗管を

  行う。

 ⑬区間断水を解除する。

 ⑭機材の撤去と復旧、片付けを行う。 

 5.機材配置・機器設置例 

 <施工写真サンプル>

6.施工条件

 ・洗管できる管種は石綿管以外で、対象口径はφ50㎜からφ400㎜まで

  (φ450㎜以上はご相談下さい)洗管可能です。

  またピグの収縮性により、1区間3種類の口径まで洗管可能です

  (例:φ150㎜・φ200㎜・φ250㎜など)。

 ・1区間の最大延長は断水4時間で2㎞程度まで可能ですが

  送水圧力や対象口径、使用できる水量、断水可能時間等にもより

  ますので、詳細はご相談ください。

 ・騒音対策済で夜間施工も可能です。

 ・物理的にピグが通過できない施設(流量計・減圧弁・

  ストレーナー・バタフライ弁等)がある場合、

  区間を分ける必要があります。

 ・φ150㎜以下の鋳鉄管など、錆こぶによる閉塞の恐れがある場合

  には、洗管前にカメラ調査を行い状況の確認が必要です。

  また洗管前後の比較が必要な場合にも、カメラ調査を洗管前後に

  実施することで対応可能です。 

.活用事例と洗管の効果

 ・マンガン等の黒水対策やシールコート剥離による濁水問題の解決

 ・錆等の赤水対策、塩素濃度低下、流量減少その他管内の問題解決

 ・カメラ調査を併用し、問題の特定と解決方法をご提案します。

 ・洗管効果として管内の懸濁質の除去はもちろん、塩素濃度や流量が

  回復する事もあります。

 ・洗浄前に濁水の原因箇所をカメラ調査で特定し、上流から順に洗浄

  することで洗浄効果を最大限持続させる事が可能です。

  併せて濁水原因の対処(マンガン除去装置の設置等)により

  更に長期間、洗浄効果が持続します。