「作谷沢って地図に載ってないんですが…」という話をよく聞きます。確かに国土地理院発行の地図には、北作・簗沢・畑谷の各大字名はあっても、作谷沢という地名はありません。
作谷沢地区は昭和29年に山辺町と合併するまでは作谷沢村でした。作谷沢村は、明治22年に町村制が施行されたことにより、北作村・簗沢村・畑谷村が合併してできた村でした。
北作の「作」、畑谷の「谷」、簗沢の「沢」と、各村の一字をとって「作谷沢」という地名が生まれました。
今、私たちが手にしている湧水はどのくらいの年月を経て姿を現したのだろう。
時間を超えた計り知れない自然のドラマと神秘性は多くの人を虜にしている。
作谷沢には実に多くの湧水がある。
五番御神酒湧水、弁財天湧水、雷湧水、亀の子水、龍神水…。
これら湧水は名水として県内でもよく知られており、多くの方が水を汲みに訪れている。
また、湧水は地域に大地の恵を与えている。
その一つがワサビ栽培である。清らかで一定の温度に保たれる湧水で育ったワサビは深くて鮮烈な味わいとなる。ほかに、イワナの養殖や『そば処 弁天』にも利用されている。
この湧水をテーマにした「湧水の詩」(作詞:安達八重子・遠藤恵・須貝智郎、作曲:須貝智郎、編曲:打越浩平)は、「まんだらの里」のイメージソングとして、毎日正午に防災放送を通して作谷沢地区内に響き渡っている。
かつて作谷沢小学校長を務められた地域史研究家の故・烏兎沼宏之氏は、作谷沢の史跡や民俗などを調べ、その研究の結果、仏教の宇宙観を現す「曼荼羅」の世界がこの地に具現化しているとした。
また、史跡などにまつわる民話を数多く発掘され、それを『まんだら世界の民話・作谷沢物語』(筑摩書房)としてまとめられ、ここ作谷沢を『まんだらの里 』と命名された。
ひっそりとたたずむ野の石仏、人々の厚い信仰を集めてきた神社仏閣、お年寄りによる民話語り、そして四季折々の表情を見せる山々…、自然・神仏・人が共存する理想郷こそが「まんだらの里・作谷沢」そのものである。
作谷沢の姿に触れるとき、現代が忘れているもの、そして、忘れかけていた自分に出会うことでしょう。
畑谷の長松寺近くに館山と呼ばれる小高い山があり、ここには今から400年以上前、最上家の山城「畑谷城」がありました。
慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いの時、上杉景勝と最上義光・伊達政宗が戦う慶長出羽合戦が当地で行われ、上杉家の知将直江兼続(NHK大河ドラマ「天地人」主人公)と、その時の畑谷城主江口五兵衛光清が激しく戦いましたが、江口以下数百名が討ち死にしたと伝えられています。
また、この戦いには漫画「花の慶次」の主人公として有名な前田慶次も上杉軍として参戦しています。
畑谷地区では、戦いのあった9月13日に多くの御霊を供養するための灯篭流しを行っています。
2025年4月26日から畑谷城「御城印」の販売が始まりました
販売場所:ごへえ宿(ガイド施設) 山辺町畑谷40
販売期間:4月~11月の休日(土・日・祝)
販売時間:午前10時~午後4時
販売価格:1枚300 円(税込)(お支払方法は現金のみ)
販売枚数:1人につき2枚まで
備 考:来城者のみ購入可能
問 合 せ:畑谷城ガイドの会(hataya.castle@gmail.com)
作谷沢の春から夏の美しい風景をドローンを用いて撮影いただきました。
作谷沢の魅力を感じることができる映像です。
是非ご覧ください。
映像撮影・制作 渡邊 凜太
「山形県自転車ネットワーク計画」に作谷沢を巡る地域ルートとして追加されています。
狐一巡り街道を主として、作谷沢の景観を堪能できるルートです。
参照:山形県自転車ネットワーク計画 抜粋