生物多様性・進化系統研究室(坂山研)にようこそ!

生物多様性・進化系統研究室(坂山研)では、分類や系統関係がよくわかっていない生物に興味を持って研究しています。

研究材料のために日本各地、世界各地を調査します。本研究室では、フィールドで採集したサンプルから培養株を確立し、オリジナリティーのある研究材料、研究方法を確立して研究を進めています。当研究室の学生は一人一人が興味を持った研究テーマに取り組み、将来的には各自が専門分野を世界的にリードし、ブレークスルーをもたらすような研究を目指しています。

淡水藻類の種レベルの分類から絶滅危惧種の保全までフィールドワークを基本とした研究を行っています。また、陸上植物の起源と進化を探るモデル系統群として最近特に注目されている「シャジクモ藻類」を用いて、「ゲノム進化」、「多細胞体制の進化」、「有性生殖の進化」などを探る研究も実施しています。

藻類や植物を中心とした進化生物学、分類学、保全生物学などに興味のある人は是非遊びに来て下さい!

大学院進学希望者、学振特別研究員応募希望者を歓迎します。


研究課題

ニュース  News

2023年10月20

当研究室の坂山英俊准教授らの研究グループの論文が2023年10月20日付けで植物研究雑誌(The Journal of Japanese Botany誌)に掲載されました。株式会社エスジーズの赤井伸江氏、米子水鳥公園の神谷要氏との共同研究により、国内では「国指定天然記念物」(徳島県出羽島)として知られている大型淡水藻類の絶滅危惧種シラタマモ(Lamprothamnium succinctum)の現時点での日本海側における国内唯一の生育地(鳥取県米子水鳥公園・つばさ池)を発見しました。また、葉緑体DNA塩基配列によるDNAバーコーディング解析に基づき、本種における産地間での遺伝的な差異、および今回発見された鳥取県の集団の系統的位置づけを明らかにしました。本種は環境省版レッドリストにおいて絶滅危惧I類に指定されていることから、本研究の成果は、本種の希少性や保全価値を再評価する際の重要な基礎資料になると考えられます。

詳しくは植物研究雑誌朝日新聞デジタルおよび山陰中央新報デジタル のページを御覧ください。


2023年7月24日

当研究室の坂山英俊准教授による、「シャジクモ藻類の形態進化とゲノム進化」に関する特別寄稿総説が、Algal Resources誌に掲載されました。


2023年5月22

当研究室の坂山英俊准教授が「原生生物学事典」の中で、「ストレプト植物における多細胞体制進化」について分担執筆しました。


2023510

当研究室の坂山英俊准教授が「レッドデータブックとっとり第3版2022 −鳥取県の絶滅のおそれのある野生動植物−」の中で、車軸藻類(12分類群)について分担執筆しました。


2022年927

当研究室の坂山英俊准教授が「さらに知っておきたい日本の絶滅危惧植物図鑑(創元社)」の中で、シャジクモ類(シャジクモ、チュウゼンジフラスコモ、シラタマモ)について分担執筆しました。


2022年630

当研究室の高野智之氏(研究当時:博士課程後期課程・学生、現職:東京大学・研究員)、坂山英俊准教授、大学院農学研究科の池田健一准教授、東京大学大学院理学系研究科の野崎久義准教授(研究当時。現職:特任研究員)らの共同研究グループにより、陸上植物の祖先に近縁な藻類の仲間であるアオミドロ類の新種(2種)が、国内では約60年ぶりに発見されました。また、これらの新種は世界的にみても珍しい系統であることをDNA塩基配列による解析で明らかにしました。本研究の成果は、アオミドロ類の種多様性や保全価値を評価する際の重要な基礎資料になるとともに、本研究で確立した培養株は藻類から陸上植物への進化を研究する上での実験材料としての利用が期待されます。この研究成果は、5月26日に、英文雑誌「Phycologia誌」にてオンライン掲載されました。また、本研究に関する画像が表紙に採用される予定です。

詳しくはプレスリリース を御覧ください。


20222月21

当研究室の坂山英俊准教授と、千葉大学の原口武士研究員、玉那覇正典さん、鈴木花野さん、伊藤光二教授、村田武士教授、早稲田大学の富永基樹准教授、金沢大学の西山智明助教らの研究グループによる、生物界最速のミオシンの遺伝子(シャジクモ ミオシンCbXI-1)を発見した論文が、米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されました。

詳しくはプレスリリース を御覧ください。


2020年11月20日

当研究室の研究員の加藤将さん(現職:新潟大学教育学部・特任准教授)と坂山英俊准教授らの研究グループの論文がJournal of Asia-Pacific Biodiversity誌に掲載されました。山形大学理学部の横山潤教授、沖縄環境分析センターの比嘉敦研究員らとの共同研究により、国内では「国指定天然記念物」である徳島県の1地点でのみ生育が確認されていた大型淡水藻類の希少種シラタマモ(Lamprothamnium succinctum)の産地を、国内から新たに5地点発見しました。また、本種における産地間での遺伝的な差異を、葉緑体DNA塩基配列による解析で明らかにしました。本種は環境省版レッドリストにおいて絶滅危惧I類に指定されていることから、本研究の成果は、本種の希少性や保全価値を再評価する際の重要な基礎資料になると考えられます。

詳しくはこちらのページ を御覧ください。


2020年9月1日

当研究室の博士後期課程の高野智之さんと坂山英俊准教授らの研究グループの論文がPhycological Research誌に掲載されました。東京大学理学系研究科との共同研究により、陸上植物の姉妹群であるホシミドロ藻綱に属するアオミドロ属において、ヘテロタリック(雌雄異株)の種の存在を世界で初めて明らかにしました。

詳しくはこちらのページ を御覧ください。


2018年7月13日

当研究室と金沢大学学際科学実験センターの西山智明助教、国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科の鈴木穣教授、ドイツ・マールブルク大学のStefan Rensing(ステファン・レンジング) 教授等との国際共同研究による論文が2018年7月12日付けで米国学術雑誌「Cell」にオンライン出版されました。

シャジクモの全ゲノム解読により陸上植物進化の起源を探る

陸上植物はシャジクモ藻類の仲間から進化しました。その中でシャジクモ類は最も複雑な体の構造を持つものです。本研究グループは,シャジクモのゲノム(全遺伝子)概要配列を解読し,他の藻類および陸上植物のゲノムと比較することにより,陸上植物が成立する過程においてどのような新規性があったのか,また共通祖先からどのような遺伝子が引き継がれているのかを明らかにしました。

シャジクモの概要ゲノムは,植物の陸上での生活に重要と考えられる多くの陸上植物的な特徴がシャジクモ藻類にあること,これにより,最古の陸上植物ができる以前にそういった陸上植物的な特徴が獲得されたことを明らかにしました。また,シャジクモと陸上植物の祖先が分岐してから陸上植物が成立するまでに獲得された遺伝子がどれであるか推定出来るようになりました。このシャジクモの概要ゲノムは,さらに多くの陸上植物に見られる遺伝子の進化的解析において参照されるとともに,シャジクモでの進化遺伝学的解析の基盤になると期待されます。

詳しくはプレスリリース を御覧ください。