2019年 5月例会参加者の感想

・「やりとりによって起こる化学変化(中3)」 中学校における電池や「電子のやりとりによって起こる化学変 化」について、はじめ てじっくりと向き合ってプランニングをしています。 意味のある内容をちゃわかるように教えようとすると、どうしても内容が増え、 難しくなってしまうのですが、Iさんに「電子のやりとりが直接起こるところから 入って、(導線を伝わって)離れたところでも電子のやりとりが起こることをやる。そ れを 利用しているのが電池だ。シンプルに見れば、難しく無いと思うので、難しく見 せないように書くのが大事だ」と言われ、自分の中でもプランの意図が整理できてすっきりしました。

・「物体を回転させるはたらき」Iさん 短い単元ですし、小学校のてことのつながりもあるシンプルでわかりやすい単元でし たが、それがIさんの手作りの教具によって、生徒実験によって進められるという ことで、中学校でもやってみたくなるような実践でした。(時間さえあればできてしま うと思います。)最後に到達目標についての議論になりましたが、シンプルで意図がよくわかる内容になっていたからこそ、参加者からも「到達目標はこうなのではない か?」という意見が積極的に出されたのだと思います。教具はまた冬の研究集会などでつくらせて欲しいです!

・レポートは中高なので、難しかったです。Kさんのレポートで、ダニエル電池というのを知りました。これからは、中学の 教科書で、ボルタ電池ではなくダニエル電池を扱うということもわかりました。 Iさんのレポートは、Yさんのレポートに刺激されて教具を作って実践したと いうモーメントのレポートでした。まず、すぐに作っちゃうというところが素晴らし い。そして、生徒が理系だからでしょうか、勘とかでなく、位置エネルギーとか重力 とかを使って説明するところも素晴らしいと思いました。話題にはならなかったけど、 生徒のノートも見やすく書いていて授業記録を見ているようでした。到達目標が問題 になりましたが、やはり、モーメントの4、5時間だけでで「物体は力を受けて回転 する」というような見方にすべての生徒がなるとは思えませんでした。

・Kさんの報告 理化サークルでは中2の化学変化から電流回路、物質と電気と検討してきましたので、 その単元ともつながりながら、というよりもつながりを強く意識したプランニングが 伝わりました。中学校ではダニエル電池を教えるようになるとのことでしたが、やは り中学校はボルタ電池までで、どうしてもやらなければならないのならば、ダニエル 電池は付き合いとして付け足しでいいのではないかと思いました。Iさんの報告 高校サークルでプランを一緒に検討した後での実践であったので、報告を楽しみにし ていました。前に学習したことを使うことが定着しているので、物理基礎で学習した 位置エネルギーや運動エネルギーが出てくるのは仕方がないのですかね。モーメント の授業では円盤や天秤におもりをつけて実験をしますので、それを位置エネルギーに ついて出させないように水平面内の回転で実験する方法は難しそうです。予想した通 り、左右回りのモーメントがつり合っている状態から一方のおもりを真下に下げる課 題は回転軸から力の作用点の距離で考える生徒が多かったですね。例会で出された意 見を参考にして私も物理基礎の授業で実践してみたいと思います。

・新指導要領を高校側だけ見ていると大きな変化はなく、新課程が始まるという意識は 非常に弱いと思います。金子さんの提案は、中学校でそこまでやるようになるのかと 驚きながら伺いました。かつて高校の化学Ⅰが3単位あった時代には扱っていた電池で すが、酸化還元を電子のやりとりで理解していく到達点に位置づけられる学習内容と 思います。ボルタの電堆とかダニエル電池とか、技術的には難しい問題もあるのでし ょうが、本質的に重要なことは何かということについて整理してやれば、子どもたち にとってわかりやすいプランになると思いました。 一方で理科教室5月号の中で、読書リーダーのTさんが難しいと忌避したTMさん 4 の酸化還元についての文章ですが、高校ではこのくらいまで考えられるようになった 方が楽しいなあと思います。中学校で基本原理を学んできてくれるなら、高校ではも う少し深い内容に挑戦できるかもしれませんね。

・モーメントは高校力学での位置づけが難し い単元です。最初は静力学の拡張で、剛体の運動に入るちょっと前で終わりに なっていまい、到達目標が立てにくい。なんだか中途半端な単元です。ただ小学校のテコや天びんの学習が使えるのでそれなり授業になる。Iさん が作った道具、簡単にできそうで、なかなかの優れものに見えました。

・Kさんの報告 ボルタ電池からダニエル電池へと指導要領でも取り扱いが変わったこともあって、電池単元の検討見直しの報告がありました。話を聞く中で、いろいろ考えました。ボルタ電池を学習してから、ダニエル電池に繋げたとき、生徒は負極で硫酸亜鉛水溶液の中に、亜鉛イオンが溶け出すことで混乱しないだろうかと少し懸念します。Iさんの報告 モーメントの授業の報告でした。生徒は小学校でのてこの経験から割に簡単に内容をクリアしたようです。はじめ、生徒はてこのうでをどこにしたらよいかを迷ったようです。うでは、力の作用線と回転軸から引いた線が垂直に交わるところまでの長さということを、はじめに教えていいのではないかと思いました。生徒には、後の課題でわかるようになっていましたが。モーメントでは、力とうでは、垂直の関係で式が成り立つことをもう少し強調してもいいのではないかと思いました。