2019年6月例会参加者の感想

(Kさん)

YYさんのレポートは、私は物理が苦手なので、難しかったです。鉛直方向に物を投げた時のv-tグラフを描くというのなら分かるけど、2つに分けてと言われて分からなくなりました。生徒も正解者はいなくて、混乱しているのがわかりました。投げ上げた等速直線運動のグラフと重力がはたらいているグラフの2つが描ければ正解でした。

生徒も次の時間に説明したら分かったということでした。説明されれば納得できますが、投げ上げた物が等速直線運動をしているのを、地球上で生活しているので見たことがなく、水平に投げた時と同じなのだと理解するのは、難しいと思いました。私のような物理不得意の生徒のために、階段をもう少し細かくしていただきたいと思いました。

SMさんのレポートは、大学共通テストについてでした。今とどう変わるのか知らなかったので、驚きました。小中で行われている学力テストに似てきた感じがしました。高校の授業を変えなくてはならないことになるということでした。知識を問う問題の代わりに、読解力が必要な問題が増えていました。それも短い時間でやらなくてはならないので、かなりの訓練が必要だと思いました。高校生にとっては、かなりの負担増になりそうです。科教協の人がやっている授業の中で、自分の考えを書く、考察を書く、ということを積み重ねれば少しは対処できるのかなと思いました。

(Iさん)

途中までしか参加できず失礼しました。

・「放物すだれ」の教材としてのインパクトは極めて大きく、私も若い頃はこの教材のうに放物運動を理解させられないかと思い、プランを考えて実践し、支部例会に提案して、「難しすぎる」「初学者である高校生の理解に寄り添っていない」と切り捨てられるという、YYさんと同じような道筋をたどったことがありました。その後は水平成分と鉛直成分に切り分けて考えるというノーマルな手法を追求しつつ、さいごに”すだれ”を見せながら、こういう考え方もあるのだよと説明すると、感動してくれる生徒もたくさんいます。この教材に物理の教師が取り憑かれることが多いのは、”ある程度わかっているから”だと私は悟ったつもりでいます。

(Mさん)

・YYさんの報告

定期テストの関係で「運動の表し方」を学んだあとに「運動の法則」を経ずに「落体の運動」を学習することになったようですが、もし、定期テストのからみが無ければ、今回の流れではなかったのか気になりました。到達目標の『物体の運動は「任意の2つの方向の運動の合成」と考えることができる。』についてですが、運動を常に鉛直方向と水平方向に分解しなくても、任意の方向の運動の合成で考えることができる。という意図は理解できました。でも、やはり同じ力学であれば到達目標は次に学習する単元の到達目標とも関連がなければならないのだと思います。この後、運動の法則を学習したときに「そういうことだったのか。」と腑に落ちる目標の方がいいのではないかと考えました。具体的には「投射された物体の運動は、水平方向は等速直線運動をし、鉛直方向は等加速運動をする。」です。この段階では力との関係はわかりませんが、空気抵抗を無視すれば上記のことは成り立つと思います。

・SMさんの報告

大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)の報告の膨大な資料を読み解き、報告していただきありがとうございます。試験自体が大学入学者を選抜するという目的で作成されているので、正答率が低くなる問題を必ず作ることや聞きなれない「五分位図」とはどういうものか説明していただき大変勉強になりました。「科学の本質的な原理・原則を学ぶことよりも情報処理能力を問うのか?」とSMさんは危惧されていました。私も2017年に試行テストを実施してみて、良いところと疑問に思うところがありました。良いところは、これまでパターン問題を暗記していればある程度解くことができたものが、本当に内容を理解していないと解くことができないようになっているところです。一方で「対話的」ということを意識してか、問題文が会話調でかなり長くなっていたり、SMさんが危惧しているデータ処理的な要素が増えているところに、本当に短い時間の試験の中でここまでできるのかと感じました。このような状況の中で、これまで以上に私たちは「何を」教えるべきか、小中高を見渡して考えていく必要がありそうです。

(Tさん)

YYさんの報告は,運動学先行の教科書と同様に力学を進めるプラン。2次元の運動を1次元の合成として捉えることを目標としている。例会でも意見を述べたが「合成する」ことの意味を生徒がきちんととらえきれていないのではないかと感じた。それは可能だと思うし,それができたら教科書通りの順でやらなければならないときにも到達目標・学習課題方式の授業が可能になるだろう。

SMさんの報告を聞き,新テストが極めて上手に(巧妙にといったほうがよいだろう)作られていることが分った。このテストが選別とランク付けに使われることをきちんと批判していく必要を感じた。

(Hさん)

・落体の運動

レポート発表を聞いていて、到達目標の「任意の2つの方向の運動の合成」という部分に違和感を覚えました。

高校の物理の授業に触れるのが、私自身久しぶりということもありましたが、それでなくとも授業者の意図のようなグラフを書くことは難しいと感じました。ここではやはり、「任意の」ではなく、「鉛直方向と水平方向の」とした方が子どもたちにとって運動が見える見方になるのではないかと感じました。

教師の思いは大事だが、その思いは子どもにとってありがたみのあるものとして概念化されなければならないなと、自戒を込めて感じました。

・大学入学共通テスト 試行調査報告書を読む

大学入学共通テストが変わることで、期待をしていましたが、見事に裏切られる内容だということがわかりました。

落ち着いて考えれば、選抜テストだという位置づけ自体が変わらなければ、テストの内容が変わろうが筆記問題が多くなろうが本質的な原理・原則を問うものにはならないのだと思いました。そのためには、高校・大学・企業の一斉採用など、国のシステム自体が大きく変わらなければ実現しないのではないかと思いました。

また、テストの内容は、条件を制御して考える能力や情報処理能力を問うものなど、小学校の全国学力調査の問題の方向性と大差ないなと感じました。

(Gさん)

・落体の運動

取り組みが分かり生徒が理解することが日本の物理教育の課題解決に役立つことが後で分かりました。素晴らしいですね。自然落下と投石の合体の重要性が少し理解できた。ただKHさんの発言にあるように、この流れがいいのか、あのKHさんが理解できなくては少し難しいと思った。

・大学入学共通テスト 試行調査報告書を読む

基礎的な問題の紹介だったと思います。物理で計算問題が少なくなり、生物では端的にはどう変わったのかがあまり理解できませんでしたがくわしく調べていただいて発表していただきとても良かったと思った。

・理科教室6月号を読んで

HYさんはよく調べていたと思う。ただ残念なのは大学の先生の論文を読まないことである。教材研究でまず大学の本を読みそれから実践書を読みプランを考えるのが私のやり方でした。課題形式で子どもの発言が大学まで通用することもあると発想だけだが、それでも本は読んでいました。100知って1教えるだと思う。テーマが日本列島の地学の歴史をどう教えるか浪漫があって良いが伝わらなくて残念。