院長 立花陽明
健康スポーツ医は日本医師会が研修を行い、スポーツ競技者だけでなく一般生活者を含めた健康増進を目的に認定される資格です。1991年度に設置され、一般の人を含めた健康の維持・増進を目的としており、地域保険の中でのスポーツ運動指導・運動処方、学校保健・産業医活動の中での指導などといった役割を担っています(厚労省HP)。
現在日本は、世界に類をみない超高齢社会に突入し、「人生100年時代」の長期的健康を見据え、健康寿命を延伸しいわゆる不健康な期間を短縮することが求められています。そのためには、老化に伴って抵抗力が弱まり体力が低下した状態であるフレイル対策に積極的に取り組む必要があります。その様な折、医学会のみならず、産業界、行政、教育界や国民が協同してフレイルおよびロコモ克服に向けるべく、日本医学会連合を中心とする80団体の決意表明として「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」が2022年4月1日に発出されました。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、運動器の障害のために立ったり歩いたりする移動能力の低下した状態で、ロコモに対する取り組みは整形外科を中心に行われていますが、健康スポーツ医会においても、ロコモのみならずフレイル対策を積極的に講じる必要があります。とくに健康スポーツ医会では、整形外科だけでなく多診療科の医師が会員となって構成されているといったメリットがあるので、診療科の枠を超え相互に協力して対策を推進することが可能です。
また、このような高齢化の一方、少子化対策も重要な課題で、子育て世代への支援とともに、運動不足によるいわゆる子供ロコモやスポーツ傷害で困っている子供たちへの対策に加え、それらを予防することも非常に重要です。例えば、後者の代表例として、投球過多など誤った指導による野球肘があります。進行した重症例では手術を要することもありますが、超音波エコーを用いた検診を行うことにより、このような不幸な転機を未然に防ぐことが可能です。
このように、今後本医会では、本会の特徴を活かし診療科の垣根の枠を超え協力し合い、フレイルとロコモ、そして成長期のスポーツ傷害に対し一丸となって取り組みたいと考えています。
任期:令和4年4月1日~令和6年3月31日