ミニワークショップ "身のまわりにひそむ数理"
2025年11月21日(金)15:00-18:00
オンライン(Zoom)開催
参加登録フォーム ※ 登録が完了次第、Zoom URL が表示されます
本ワークショップの開催にあたり, 以下の援助を受けています:
日本学術振興会 基盤研究 (C)「高水準な計算代数システムを用いた超高速実装による計算機数論の新展開」(25K06955, 代表:横山 俊一)
東京都立大学 若手奨励研究「CG曲面レンダリング技術における普遍的な微分幾何学的定式化とその応用」(代表:横山 俊一)
15:00-15:10 開催趣旨説明・連絡事項等
通常、確率論では確率現象ありきで議論を進めるが、本当にそんな確率現象が自然界に存在するだけなのだろうか?という問いは一度は考えたことがあるだろう。コイントスだって、サイコロ転がしだって、物理で習う運動方程式を精密に解くことさえできれば予言可能にならないか?という疑問が生じる。一方、物理の理論においても確率的な要素をもった理論体系はいくつか存在する。それは統計的に見るからこそ出現する法則である統計力学と本質的に「量子揺らぎ」というものの存在を予言している量子力学という体系である。このどちらも今のところ自然現象を極めて高い精度で予言することができるが、果たして、我々は本当に自然界の中に「確率現象」があるのか?という問いは我々のもつ素朴な物質観にも影響してしまうほど基本的な問題である。そこで、本セミナーではランダムな世界がこれまでどのような観点で議論されてきたかという概要を説明し、それをどのように利用してきたか、そして、どのように検証し、更には自然界のランダムな世界の探求は同時に最先端の科学技術である量子計算機の実現と関連していることを指摘する。
「不可能立体」とは、実際に作ることのできる立体でありながら、それを見た人に「あり得ない姿や振る舞いが見えてくる錯視を生じさせる」立体のことであり、杉原厚吉氏によって数多くの立体が創作され続けている。この不可能立体群は、一枚の線画と呼ばれる二次元画像から立体構造を復元するという手続きを、数学の問題として定式化して創作されている。しかし、線画には奥行きの情報が含まれていないことから、視点と線画という一つのペアの情報だけでは、復元される立体を一意に定めることができず、何らかの追加情報が必要となる。不可能立体の一種である「変身立体」は、鏡に映すと全く異なった形に見える立体であり、鏡を利用することでもう一つの視点を生み出し、その視点と線画のペアを追加情報として用いることで、復元する立体の形状を求めている。本講演では、この視点を生み出す新しい手法として光の屈折現象に着目し、その屈折現象を利用した変身立体の構築手続きについて紹介する。
世話人・問い合わせ先
横山 俊一(東京都立大学) s-yokoyama [at] tmu.ac.jp
Contact: s-yokoyama [at] tmu.ac.jp