研究室 Laboratory
横山の研究室を希望・検討されている方へ
私の研究室に興味をもっていただき有難うございます. ここでは, 研究室訪問などの折によくお尋ねいただく質問について, あらかじめお答えしたいと思います. 研究室選びの参考にしていただければ幸いです.
Q. どんな分野の数学を勉強することができますか?
私の専門は「計算機数論」および「数式処理」です. 計算機数論はその名の通り, 数論(とくに代数的整数論)におけるいろいろな問題に計算機を使って立ち向かう分野です. 計算機の使い方もその都度異なり, 手計算では到底無理な問題を計算機にお任せするための理論設計をしたり, 逆に既存のアルゴリズムでは10年かかる計算を1週間で完了できるような数学的・計算機的手法を探し求めたりします. 一方, 数式処理というのは(色々な分野に細分化されているので一概には言えませんが)計算システムそのものと向き合う研究を行い, この話題を扱うには欠かせない「多項式代数」が個人的には一番興味のある分野です. 定義を知らなくても「グレブナー基底」という言葉は聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか. このような「素性のよい・でも数学的に奥深い」対象を研究しています. 最近では企業との共同研究として, 暗号分野での成果も(大学院生さんの頑張りもあり)出てきています.
ですので, 私の研究室の学生さんにはこのあたりに近い話題を勉強・研究していただくことになります. ただし, 学部4年の1年間だけで卒業してしまう方については, もうちょっと選択肢を広げて, 興味のある数学を広く勉強していただくことも可能です. ただし(指導するという意味でももちろんですが)必然的に私の専門に関連した分野に限ります. なお学部のみの例外的トピックとして映像数学(CG を支える数学)という分野もあります.Q. 計算機の知識がないとダメですか?
研究室配属の段階では計算機に関する予備知識は全く仮定しません. ただ知識不要とはいっても「計算機アレルギー」があるとちょっとお互いに辛いですから, 計算機にある程度は興味をもっていただけることが前提です. もちろん, 興味や知識が深ければ深いほど大歓迎です.
都立大数理では, 私は応用数理講座所属のため「プログラミングを教えている人」「エンジニア風味の人」と思われがちですが, 実は私は計算機数論の分野で博士号を取得し, 前任の九州大学では代数系の講義や演習を主に教えていました. ですので, 僕の研究人生の土台は純粋数学(とくに代数系)にあります.Q. 配属を希望していますが, それまでに何をすればよいですか?
私の研究室を希望される場合は, 事前の 面談 をお願いしています. 面談といっても堅苦しいものではなく, 興味のある数学や今後やってみたいこと, アルバイトや教育実習との兼ね合いなどをざっくばらんにお話できればと思います. 私から一方的に説明したりはしませんので「面談で聞きたいことリスト」を事前に考えておいてください. 数学とは関係ない雑談も大歓迎です(人となりを知る意味で双方有益だと思っています). 大学院から転入される方で遠方の場合は, オンラインでの面談もできますので, お気軽にメイルにてお問い合わせください.
具体的なこと(読む本・セミナーの形態など)については, 配属が確定してからゆっくり決めますので, あわてなくて大丈夫です.Q. ゼミは厳しい(or 楽)ですか?
ごく稀に直球でこの質問を受けることがありますが, こういうことを高年次になっても気にしている方は私の研究室には向かないと思います. 他の研究室をあたってください.
私自身のこれまでの経験から, 研究室の皆さんには積極的に学会・研究集会への参加や発表, インターンシップ, 共同研究などに取り組むよう奨励しています. 学生だからこそできる挑戦や経験を存分にしていただきたいので, ただ受け身で To Do リストを待っている方には向かないと思います.
また私は, 研究室の皆さんの出退勤・コアタイムや勉強・研究のスタイルに口出しをすることはしません(もちろん相談にはいつでものります). しかしそれは「自己責任で過ごすこと」でもあります. 人生だれでも, ときにはスランプに陥ることもありますが, そういった局面で何もしない学生さんを手取り足取りサポートするようなことはありません. 早い段階で10代の学生気分から脱却することに努めてください. そういう方を私は全力でバックアップしていきます.
教育実習や公務員試験, 就職活動については柔軟に対応しますので, 遠慮なく相談してください.Q. セミナーを行うにあたって, 気をつけておくべきことはありますか?
例えば 河東泰之先生(東京大学)の記事 が参考になると思います. そのほか 赤穂まなぶ先生(東京都立大学)の記事 もご一読をおすすめします.Q. 結局, 一番大事なことは何ですか?
数学を楽しむこと, できれば失敗すら楽しむこと を忘れないでください. 最先端の研究は 99% の失敗と共にあります. 大好きなはずの数学が苦行になることほど悲しいことはありません. うまく気分転換をし, 仲間と切磋琢磨しながら, 思いっきり数学を満喫してほしいと思います. 失敗が楽しめるようになったら, きっと見える世界が変わってくるはずです. 現代数学のオープンワールドを一緒に楽しんでくれる人に来てほしいと思います.
2024年度(前期) 8-646
不定期 D1: 田中 一希
不定期 M2: 生川 青輝
火曜 12:30-14:00 M1: 遠山 竣也
月曜 10:30-12:00 M1: 平瀬 大樹
月曜 10:30-12:00 M1: 市川 琢朗
月曜 13:00-14:30 B4: 岩井 希夢
月曜 13:00-14:30 B4: 卯木 向
計算機代数(とくにグレブナー基底系)に関する研究
耐量子計算機暗号に関する共同研究に従事
加藤和也, 黒川信重, 斎藤毅「数論I:Fermat の夢と類体論」(岩波書店)
青野良範, 安田雅哉「格子暗号解読のための数学的基礎」(近代科学社)
D.コックス, J.リトル, D.オシー「グレブナー基底と代数多様体入門 (上)」(丸善出版)
博士論文研究 / 修士論文研究
過去の在籍メンバー
※ 数字は在籍年度, 総論メンバーは除く
・田中 隆太(2020, B)
・本橋 優作(2020, B)
・児玉 壮(2020-2021, M)
・粟沢 和也(2021, B)
・鈴木 俊博(2021, B)
・武井 悠河(2021, B)
・髙橋 雄人(2020-2022, B+M)
・福原 大毅(2020-2022, B+M)
・堀岡 大暉(2021-2022, M)
・鈴木 涼介(2022, B)
・佐久間 康平(2022, B)
・吉村 隼人(2022-2023, M)
・植元 雅斗(2022-2023, M)
・小林 龍之介(2023, B)
2023年度
● M2: 田中 一希
● M2: 吉村 隼人
●/◎ M2: 植元 雅斗
▲/◎ M1: 生川 青輝
■ B4: 遠山 竣也
▲ B4: 小林 龍之介
▲ B4: 平瀬 大樹
● 修士論文研究
◎ 耐量子計算機暗号に関する共同研究に従事
▲ 青野良範, 安田雅哉「格子暗号解読のための数学的基礎」(近代科学社)
■ 加藤和也, 黒川信重, 斎藤毅「数論I:Fermat の夢と類体論」(岩波書店)
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博士論文: 主査0+副査1
【副査】On randomized algorithms and uniqueness problems of AND-OR trees
修士論文: 主査3+副査5
【主査】包括的 Gröbner 基底系を用いた parametric イデアルの根基計算 論文リンク(準備中)
【主査】Q(√-1) と2次体の合成体における楕円曲線の everywhere good reduction について 論文リンク(準備中)
【主査】耐量子計算機暗号における電子署名のマスキング 論文リンク(準備中)
【副査】Anshel-Goldfeld の一方向性関数について
【副査】グレブナー基底計算を用いた MQ 問題の解法における多項式選択について
【副査】ネガ・マックス木におけるアルファ・ベータ剪定アルゴリズム
【副査】葉に離散的な値を割り当てたゲーム木を計算するアルファ・ベータ剪定アルゴリズムの計算コスト
【副査】交代型多重フルヴィッツゼータ値について
2022年度
●/▲ M2: 髙橋 雄人
●/▲ M2: 福原 大毅
●/■ M2: 堀岡 大暉
■/▲ M1: 田中 一希
■ M1: 吉村 隼人
◎/▲ M1: 植元 雅斗
◎/▲ B4: 鈴木 涼介
◎/▲ B4: 佐久間 康平
● 修士論文研究
▲ 耐量子計算機暗号に関する共同研究に従事
■ 青木昇「素数と2次体の整数論」(共立出版) / 修士論文研究
◎ 宮地充子「代数学から学ぶ暗号理論」(日本評論社)
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博士論文: 査読なし
修士論文: 主査3+副査5
【主査】耐量子計算機署名 ModFalcon の高速な多項式乗算導入による速度評価 論文リンク(準備中)
【主査】耐量子計算機署名 ModFalcon における多項式乗算の最適化検討と AVX 実装による速度評価 論文リンク(準備中)
【主査】モジュラー形式とヘッケ体に関する前田予想 論文リンク(準備中)
【副査】MQ 問題に対する M4GB アルゴリズムの多項式選択について
【副査】量子アルゴリズム HHL による連立1次方程式の解法について
【副査】Hessian Curve における楕円曲線 Hidden Number Problem の拡張とその評価
【副査】Elliptic net を用いた楕円曲線離散対数問題の指数計算法の実装と評価
【副査】種数2の超楕円曲線の Jacobian 上の加法と Groebner 基底及びその実装
2021年度
● M2: 児玉 壮
▲ M1: 髙橋 雄人
▲ M1: 福原 大毅
★ M1: 堀岡 大暉
★ B4: 田中 一希
◎ B4: 粟沢 和也 ※ 前期までは ■
■ B4: 鈴木 俊博
■ B4: 武井 悠河
● D.Cox, J.Little, D.O'Shea "Ideals, Varieties, and Algorithms" (Springer) / 修士論文研究
◎ 代数系の基礎復習セミナー, 計算量理論の基礎
◎ S.Arora, B.Barak "Computational Complexity: A Modern Approach" (Cambridge) Chapter 12
■ D.Cox, J.Little, D.O'Shea "Using Algebraic Geometry" (Springer)
▲ 耐量子計算機暗号に関する共同研究に従事
★ 青木昇「素数と2次体の整数論」(共立出版)
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博士論文: 主査0+副査1
【副査】An efficient algorithm for computing Groebner basis to solve the MQ problem
修士論文: 主査1+副査8
【主査】包括的グレブナー基底系を用いたパラメータ付きイデアルに対する零次元化 論文リンク
【副査】グレブナー基底と包括的グレブナー基底
【副査】アーベル曲面における消去問題
【副査】強 Lucas テストとその判定効率について
【副査】M4GB アルゴリズムに基づくグレブナー基底計算
【副査】MNT 曲線, Freeman 曲線, BN 曲線で構成されるサイクルについて
【副査】高さ1における相関分布が与えられた AND-OR 木の均衡値
【副査】一般の高さにおける相関分布が与えられた AND-OR 木の均衡値
【副査】基本 Z_p-拡大上の馴分岐 pro-p 拡大における Galois 群の metacyclic 性に関して
2020年度
● M1: 児玉 壮
▲ B4: 髙橋 雄人
▲ B4: 福原 大毅
★ B4: 田中 隆太
★ B4: 本橋 優作
● D.Cox, J.Little, D.O'Shea "Ideals, Varieties, and Algorithms" (Springer)
▲ 辻井重男, 笠原正雄(編)「暗号理論と楕円曲線」(森北出版)
★ 郡山彬, 原正雄, 峯崎俊哉「3Dグラフィックスのための数学入門」(森北出版)
★ 安生健一「CG につながる数学」「続・CG につながる数学」(数学セミナー連載, 日本評論社)
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博士論文: 査読なし
修士論文: 主査0+副査7
【副査】F4 アルゴリズムにおける多項式選択について
【副査】2次強 Frobenius テストとその判定効率について
【副査】Montgomery 曲線を用いた KMOV 暗号について
【副査】AND-OR 木の最適な乱択アルゴリズムの非一意性
【副査】ある非可換不変式環のイニシャル代数と乗法的順序
【副査】円分体の相対類数に対する行列式表示
【副査】N本腕バンディット問題に関する考察
2019年度
前期総論B3: 武正 一輝
前期総論B3: 藤山 祐麻
安田健彦「ゲームで大学数学入門―スプラウトからオイラー・ゲッターまで―」(共立出版)
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博士論文: 査読なし
修士論文: 主査0+副査6
【副査】グレブナー基底計算における多項式選択について
【副査】2次強 Frobenius テストを用いた素数判定法について
【副査】Edwards 曲線を用いた3者間 SIDH について
【副査】楕円曲線のねじれ部分群を計算するアルゴリズムについて
【副査】楕円曲線と Elliptic Divisibility Sequence 上における計算困難問題の関係性について
【副査】非対称な2分 AND-OR 木の探索コスト
Contact: s-yokoyama [at] tmu.ac.jp