バズった経験

僕は twitter でいわゆる「バズった」経験が2回ある. その1回が上のツイートである(現在も 自身の twitter でピン留めしてある). 最高時は 10万 RT・16万 likes まで増加し, twitter アナリティクスの伸び率1位になった. ハフポスト日本版や LINE ニュースにもなったので, twitter をしていない友人や知人からも「バズってるね」「有名人」と言われた. この出来事の裏話と, その後起こったことを少しだけ綴ってみる.

この写真を撮ったのは, 上のツイートと同じ2017年11月2日である. 研究の合間によく僕は気分転換の散歩をするのだが, その途中に少しお腹がゆるくなってしまったため, 某コンビニのお手洗いをお借りした. このステッカーはそのトイレに貼ってあったものである. 後から聞くとこれは男性用 or 男女共用エリアに貼られるバージョンで, 女性用バージョンは赤いデザインらしい. 頬がポッと赤くなっている絵をほんの少しだけずらすだけで, これだけインパクトのある比較絵になることに衝撃と感銘を受けた. また中央の「愛情がズレただけ?いいえ, それは暴力です」というキャッチコピーも秀逸である. さらにこの2つの顔が中性的に描かれていることも特筆すべきポイントである(DV 被害は性別に関係なく起こりうる). とりあえず一枚写真に残し, 散歩から戻ってこのツイートをした記憶がある. 通知が鳴り止まなくなったのはその夜からである. 3,4日は続いたと思う.

しばらくして, 僕の DM にプランナーと名乗る方から連絡があった. 最初匿名のままだったのでなりすましかと思ったが, 山下さんという JR 九州にお勤めの本物のプランナーさんだった. 山下さんからは twitter での宣伝効果のお礼と共に「デザイナー陣と打ち上げをするので, そのシークレットゲストとして参加してもらえないか」とお誘いを受けた. 最初とてもびっくりしたが, これも何かの縁だと思って参加させていただくことにした. 12月の打ち上げ当日, 山下さんと一緒に打ち上げ会場に行ったらデザイナーさん達がとても驚いてくれたのを覚えている.

この DV ポスターを手がけたのは SYNCHRO という合同会社のデザイナーさん達で, 代表である永松さん(と山下さん)とはその後たびたび飲みをご一緒させていただいている. SYNCHRO は福岡だけでなく東京にも支社があるため, 福岡と東京を行き来する忙しい日々を送られているようである. SYNCHRO はアミュプラザやスターフライヤーなどの広告デザインも手掛けているが, 確かに DV ポスターと共通するデザインや雰囲気が見受けられる(ような気がする).

SYNCHRO チームはすでに多数の受賞歴を誇るトップデザイン事務所であったが, この DV ポスターの評価は凄まじく K-ADC Award 2018 ではグランプリを受賞した. 自分はデザインに全く関わっておらず, ただトイレでパシャリしただけの部外者であるが, 受賞の連絡を受けたときはとても嬉しかった. 後日授賞式の夜のパーティにもご招待いただいた(役得が過ぎる).

これらの出来事を通して, 福岡で活躍している多くのデザイナーさんと知り合うことができた. デザイナーさんとの話はどれも本当に興味深く, 研究者コミュニティに通じるもの・全く違うものなど, 異なる視点からの切り口に毎回感動しきりである. このような体験をさせていただけたことは僥倖としか言いようがない. 今後もこのような繋がりを大切にしていきたい.


Contact: s-yokoyama [at] tmu.ac.jp