用語解説

分子育種とは

育種とは生物を遺伝的に改良することですが、人類は恐らく1万年以上前から農作物の選抜によ無意識的な育種をおこなってきました。20世紀初頭メンデルの遺伝法則が再発見されると育種への理解が進み、数多くの品種が作り出されました。20世紀後半になると遺伝子工学や分子生物学が発展し、生物の遺伝子情報をもとにしてDNA断片を増幅したり組換えたりすることが可能になりました。分子育種とは、これらの技術を取り入れておこなう育種です。分子育種により、これまでの育種では困難とされてきた品種改良が可能となり、将来起こりうる農業上の問題に貢献することが期待されます

Multiplex-PCRによる
ジェノタイピング

分子育種にはDNAマーカーや次世代シーケンサーによるジェノタイピングや連鎖解析などを利用した育種と、遺伝子組換え技術やゲノム編集技術を利用した育種が含まれます。

DNAマーカーは様々なものが開発されましたが、近年ではCAPS、dCAPS、SSR、SCARマーカーがよく利用され、さらにRAD-seqなどの次世代シーケンサーを用いた遺伝解析の利用が増えています。

遺伝子組換え技術

遺伝子組換え技術とは、核酸(DNA、RNA)を人為的に組換える技術であり、組換え核酸がゲノムに導入された生物を遺伝子組換え生物(genetically modified organism)といいます。

ゲノム編集技術

ゲノム編集技術とは、生物ゲノムの特定の位置にあるDNA配列を切断することにより、遺伝子を壊したり、切断した部分に別のDNA断片を組み込むことができる技術です。

組織培養

組織培養とは、動植物の組織を摘出し培養器内で栄養を与えて増殖させる技術です。植物では様々な組織から植物体を再生させることができ、育種や苗生産、研究などの様々な場面で利用されます。

フローサイトメトリー

フローサイトメトリーとは、細胞などの微細な粒子にレーザー光を照射して蛍光や散乱光を測定する手法で。植物はおもに核DNA量の測定に利用されます