オリーブのメンバー
次世代に伝えたい「戦争の紙芝居」三部作は、茨城大学紙芝居研究会が制作し上演してきた作品です。しかし、彼らが卒業してしまうと、上演する人がいなくなってしまうという問題があり、2017年、朗読家の見澤の元に、紙芝居継承の話がありました。見澤は、今後の展開も考え、朗読講座の生徒とともに継承していくことを提案しました。そして、その年の秋、見澤と、朗読勉強会「じゅげむ」、茨城大学紙芝居研究会代表者、顧問の林延哉先生、そして紙芝居2作品の制作に協力した茨城県生協連との顔合わせを行いました。
2018年4月、「じゅげむ」の6人バージョンでの「茂木貞夫物語」を上演し好評を博し、その後も上演依頼を多方面からいただきました。
しかし、限られた人数で、県内各地からの上演依頼を受けるのには限界があるため、読み手を増やす養成講座を開くことにしました。2019年3月に開催された「茂木貞夫物語」鑑賞者2300人達成記念式後、紙芝居の読み手養成講座を行い、この講座の受講者が「オリーブ」のメンバーになりました。その後もメンバーは増え、現在約50人のメンバーで上演活動を行なっています。
オリーブの木は品種も多く、薬にもなります。そんなオリーブのようにメンバーひとりひとりの声が誰かにとって必要なものになればという願いを込めて名付けた「オリーブ」。朗読と紙芝居で「伝える」活動をめざしています。
代表 見澤 淑恵
戦争を知らない私たちが出来ることは、まずは「知ること」。そして、その悲惨な歴史を二度と繰り返さない為に、多くの人に「伝えていくこと」が大切です。幸いにも、共感してくれる多くのメンバーと「オリーブ」として活動することが出来るようになりました。私たちは、体験談を語ることも、書くこともできません。しかし読んで伝えることができます。戦争について多くの人々が残した赤裸々な記述や文学を、私たちが理解し、自分たちの声で伝えていくこと、それが「オリーブ」の活動です。
2000年秋、神奈川近代文学館で原爆文学朗読会があり、加賀美幸子さんが朗読しました。それを聞いた日本ペンクラブ編集出版委員会委員の作家 太田治子さんは、胸がいっぱいになり、加賀美さんの朗読を柱として戦争の現実が伝わる本ができないものか、と委員会で発言したところ、賛同され、出版されることになった本です。「夏の花 / 原民喜」「火垂るの墓 / 野坂昭如」「 黒い雨 / 井伏鱒二」等 全27作品が収められています。
戦争を知らない私が、戦争を知らない人たちに それをどうやって伝えることができるのか迷いながら、でも今、こうして生きていることに感謝して、心を込めて私たちにできる力で伝えていきたいと思います。
濱井理髪店の8時15分を差したまま止まっている時計、住友銀行の階段に残った影などの写真とともに 声なき「ものたち」がカタリベとなり語ります。写真の伝える力を感じる本です。
2019年から、戦争に関する紙芝居を読ませていただく中で、オリーブのメンバー一人ひとりの《平和への願い》を強く感じています。その優しさに ”力” をいただきました。この感動を、少しでも多くの方達に伝えていくことが、私たちの役割だと思います。
へいわってどんなこと? 「おなかがすいたら、だれでもごはんが食べられる」「いやなことはいやだって、ひとりでも意見が言える」「おもいっきり遊べる」…。身近な日常から、平和の意味と、守らなければいけない大切な命について考えます。(作者の言葉から)
再び戦争の悲劇が繰り返されることなく、平和な社会を実現していくために、戦争の記憶を風化させず、平和の大切さを語り継いでいくお手伝いができたらと思います。
生まれてきた ステキな いのち。子どもたちに伝えたいのは、「生きているってステキだよ」ということです。いのちより優先されるものは何もない。平和とは、いのちがまるごと認められ、大切にされること。その思いを、私はいつも作品にこめています。(作者の言葉から)
茨城大学の学生と茂木貞夫さん、高橋久子さんの思いが詰まった紙芝居を上演させていただける事、嬉しく思っています。読み聞かせを通じて、戦争の悲惨さを、多くの方々に伝えていきたいです。
歌詞ですが、朗読でも心に響く詩です。「一本の鉛筆」の力は、無限大です。
紙芝居の上演、被曝体験者の方とのお話等で、私にとって遠かった「戦争」は、少しだけ身近になりました。
感謝の思いを抱きつつ、伝える機会をひとつひとつ積み重ねていけたらと思います。
淡々とした語りの中に、弟のミルクを盗んでしまった少年の深い哀しみが伝わります。日本が始めた戦争のことを忘れてはならない、そのことを忘れて私たちの平和は守られないという作者のメッセージが、あとがきに記されています。
「戦争を繰り返してはいけない」「平和は大切だよ」どこか 聞き慣れてしまった言葉を、どうしたら、しっかりと 伝えることが出来るだろう。 戦争を知らない私も、伝える活動を通して、一緒に学び 考えていきたいと思います。
地球上の動物も虫も物も、戦争はしない。 戦争するのは にんげん。にんげんの大人だけ。
くり返すシンプルなことばが心に響いて、 大切なものは何なのか、考えるきっかけに なってくれる本です。
どこか他人事のように思っていた戦争、そして当然の平和。活動を通して知り得た戦争の記憶と そこから生まれた平和への感動を、共に伝えられたらと思います。
「まちんと」とは「もうちょっと」と言う意味の方言を幼い子が回らない舌で喋った言葉です。
圧倒的な絵の中にも、民話のように静かに 平和と命の尊さを語り継ぐ絵本だと思います。
「紙芝居」との出合いによりまして、改めて戦争の事を考えさせられました。
幸せに生かされている今、少しでも平和の大切さを伝えていけたらと思います。
戦争が激しくなっていく中、1番小さな妹が疎開していくことになり、父親が沢山のハガキに、「元気な日には丸を書いてポストに入れるように」と渡します。が、それは大きな丸からいつか小さな丸に、やがては…。
広島での被爆体験をもとにした紙芝居に出会い、語り部となられたその方のお話をお聴きする事が出来ました。「戦争は2度と繰返してはいけない!」と子供達に語りかける姿に、私達に出来る事は、この紙芝居を読み、多くの方々にその思いを伝えて行く事だと思いました。
広島の写真好きな床屋のお父さんが撮った沢山の家族写真。しかし、原子爆弾が投下された8月6日に消えてしまった家族の消息は、笑顔の写真の次ページに記されている。戦争によって沢山のいのちが消えてしまったが、この家族のように生きていたという証は、消すことはできない。
戦争の紙芝居を通して、戦争の醜さ辛さ、そして今ある平和の大切さありがたさを1人でも多くの方に伝える事を目標に活動しています。
1945年8月6日。広島の町角に立つわらいじぞうが見たものは、まるで太陽が落ちてきたとしかいいようのない光景だったのです…。作家と語り部と画家が悲しみと怒りをこめて描く入魂の絵本。
太平洋戦争を知らない世代が多くなってきました。平和の大切さを今こそ語り伝えていかなければと思います。
戦争時代を生き抜いた5人の作者が戦争と正面から向き合いその真実をとらえた作品です。この本を読んだ現代の読者は戦争の悲惨さと平和の尊さを身に染みて感じることでしょう。特に、小川未明が大正12年6月に発表した「野ばら」は野ばらの花の香りに託した反戦の思いに胸打たれると思います。
孫が生まれたときに願ったのは、丈夫に育ってほしい、いつまでも平和な世の中であってほしい、でした。世界を見れば戦争が絶え間なく続いています。戦争の愚かさを、平和の大切さを語り継いで行きたいものです。
沖縄の戦争の話です。あのとき、わたしはわたしの朝子、赤んぼうをね、わたしの手で殺したんです。みんなが戦争のことを知らないでいたら、いつかまた、どこかで、あのときのようなことが、おこるかもしれない。
小さな子向きではありません。でもこれが「戦争」です。
オリーブの「紙芝居を1人で読むのではなく、数人で語り継いでいく」、このスタイルなら、私にもできるかな、と思い入会しました。そこで、戦争は、まだ終わっていないことを強く感じ、次世代に戦争を語り継いでいきたいと思いました。
家族でかげおくりの遊びをした翌日、ちいちゃんのお父さんは戦争に向かいます。ある日、ちいちゃん一家が空襲にあい、離ればなれになってしまいました。悲惨な戦争に消えた小さな命の物語です。私も涙なくしては読めず、いまだに音読できません。
戦後75年 戦争を風化させないためにも平和の尊さを語り継いでいく大切さを感じています。オリーブの一員として活動できることに感謝しています。
東京大空襲で家も家族も、失った作者の体験です。『品物がない時代でした。人びとはかくれるようにして、自分の着物を持って農家へ行き、お米と物々交換したものでした。 こんな生活が二度とあってはならない。当時の「おにぎり1こ」の裏側に流れていた現実と、平和の尊さを、みんなで考えてみたい。』 (作者あとがきより)
小学校などで、絵本の読み聞かせをしています。戦争体験者が年々少なくなっていく中、二度とあのような惨禍が繰り返されてはならないと、歳と共に強く感じるようになりました。少しでもその思いを子どもたちに伝えられればと思い、オリーブの活動に参加しています。
「一つの花」は、小学校の教科書に載っていました。我が子は今でも良い本だったと覚えているようです。静かな文体ですが、読むごとに戦争の理不尽さがひしひしと伝わってきます。
戦争が生み出すものは、貧しさ、憎しみ、破壊、そして深い悲しみばかりです。この75年間、日本は辛うじて戦争のない時を過ごしてきています。と同時に戦争の記憶は年とともに風化しているかに見えます。しかし、忘れてはいけないのです。オリーブの活動を通して戦争の記憶、平和のかけがえのなさを次の世代に伝えていきたいと思います。
この絵本は、日・中・韓平和絵本プロジェクトに日本から参加されたお一人、田島征三さんの作品です。
”だれのためにころし だれのためにころされるの? 何のためにしぬの? かあさんのかなしみがみえる どんないかりよりもつよく ふかく はげしい かなしみ” (本文より)
敵も味方もなく、戦争で命を失った数知れない兵士たちの思いに心が揺さぶられる絵本です。
平成16年から、小学校で読み聞かせをしています。きっかけは、息子が小5の時のこと、母親委員会の時に、読書をすすめる協議会の研修会で、読み聞かせをしている方の発表を聞いたことです。「葉っぱのフレディ」が心に響いて、是非、野田小の子供達にも聞かせたいと思ったので、先生の強力なご支援をいただいてボランティアグループを立ち上げました。常々、戦争については、風化させてはいけないと考えていましたので、オリーブに入って少しでもお手伝いできればと思います。
作者の母が6歳の時に体験したことを、忠実かつ簡潔な文章、子供にも分かりやすい言葉で綴られています。一般的な家族の、戦争になる前と後のこと、東京大空襲の夜のことが分かります。絵も、とても適当だと思います。そして…最後の一言がとても効いています。
戦争、平和、命について、微力ではありますが、次の世代に語り継いでいきたいと思っています。
言葉では表せない心の叫びが一枚一枚のはがきに詰まっている。戦争は大人が守らなければならない子ども達を傷つけてしまう。その時子どもだった原作者の目を通して自分の気持ちを抑えこまなければならない悲しみや苦しさ、家族とさえ暮らせない寂しさが心に突き刺すように伝わります。
地元の昔話や戦争の紙芝居を、やる気満々の仲間を共に勉強しながら頑張っています。
向田邦子さんの一家の戦争中のお話です。戦争が激しくなって疎開していく子どもたち。一番小さな妹も、とうとう疎開することになりました。お父さんはその子に、たくさんのハガキを渡し、元気な時はハガキに○を書いてポストに入れなさいと言いました。小さい妹は遠足に行くように嬉しそうに出発しましたが…
平和な時代に生きている私たちですが、私の生まれるほんの数年前に、あのような悲惨な戦争という時代があったということ。忘れてはいけない、その戦争や原爆の残酷さ。二度と繰り返すことのないよう、若い人達に伝えていきたいと、オリーブの活動に参加させていただきました。
戦争中、小さな、まだ字も書けない妹が、疎開した。小さな子どもにまで、忍び寄る悲惨。向田邦子さんの実話を以前から読んでいましたが、昨年、絵本となって出版されました。小さな子どもたちにも語ってあげたい作品です。