先日ボカコレ2025夏エキシビション部門に投稿した曲の原作小説です
余命半年の君との恋
作者 ゆう@ゆーちゃん
俺が初めて恋をした人は明るい優しい光のような人だった。
俺には好きな人がいる。中二の時に姉弟になった明里だ。明里は体が弱くて小学生の頃から休みがちで入退院を繰り返していた。そのせいなのか当時から彼女の影は薄く、お見舞いに行くのは幼なじみの佐藤と俺だけだった。お見舞いに行けばどんなに体調が悪くても笑ってくれた。それだけで来てよかったと思えた。でも、それを本人に伝えたことは無い。恥ずかしくてつい冷たく接してしまう。本当は大好きなのに…中2になる春、親が再婚して明里が妹になった。叶わない恋をしてしまったと思ったが、調べてみると血が繋がってなければ大丈夫らしい。やっぱり明里への態度は変えられない。きっと嫌われてしまったと思う。好きな気持ちはずっと抱くけど…
中3から俺は明里と同じ高校に行くために必死に勉強して合格を勝ち取った。合格通知が来た時は空を飛べそうなくらい嬉しかった。もちろん、明里も合格して一緒の高校だ。明里は何故か入院してるのに頭がいい。きっと人一倍努力しているのだろう。そうゆうとこも好きなんだ。
入学式の日になった。今年も明里と同じクラスだった。親友の佐藤と「同じクラスだね〜」とはしゃいでるのを見てやっぱり可愛いなと思った。目が会った瞬間につい逸らしてしまった。こんな態度で接したくないのに…
しばらくして明里は検査入院が決まった。明里が居なくなった教室はつまらなくて席の方を見つめてはため息をついていた。それを見た佐藤が「ねーね、涼くん!涼くんって明里のこと好きなの?」と聞いてきた。俺は照れながらそうだよと答えて絶対明里に言わないように口止めをした。自分で告白したいからだ。帰ってきた明里はなにか様子がおかしかったが、両親が教えてくれないから諦めることにした。
体育祭、文化祭、オープンスクールとたくさんの学校行事があった。体育祭は明里が精一杯応援してくれたからリレーで1番を取れてクラスを、優勝に導くことができた。文化祭でははしゃいだ明里が可愛くてこっそり写真を撮って待ち受けに設定した。俺は部活の出し物で嫌々執事になった。文化祭の日、告白されたが断った。明里以外に興味は無い
そうしているうちに、また明里が入院することになった。今回は検査入院じゃないらしい。心配で心配で仕方ないけど前みたいにまた学校に戻ってきてくれると信じて待つことにした。
明里の誕生日は病室でお祝いした。美味しそうにケーキを食べる明里を見て俺まで幸せな気持ちになれた。2人っきりになった時に明里に「俺の誕生日に言いたいことがある」と伝えた。明里は驚いていたが「うん」と答えてくれた。次の日珍しく明里に呼び出された俺は明里に衝撃のことを告げられた。「私、あと半年しか生きられないの。ずっと隠しててごめんね。」それを聞いた瞬間に今言おうと決めて言った。「ほんとは俺の誕生日に言おうと思ってたけど今言う。好きだ。付き合って欲しい。」明里は驚いたような嬉しいようなそんな顔をして、「はい」と言ってくれた。すごく嬉しくて空も飛べそうだった。
それから毎日病室を訪れるようにした。他愛もない話をして笑いあったり恋人らしくイチャイチャしたり楽しい毎日だった。でも俺の誕生日が近づくにつれてだんだん眠っている日が増えていった。それでも毎日通って手を握っていた。それだけで幸せ
俺の誕生日、明里は目を覚まさなかったけど母さんから明里から預かったという花束を受け取った。花束の中にはバラやカーネーションなどの色とりどりの花が入っててとても綺麗だった。感謝を伝えたかったのに、そのまま明里は目を覚ますことは無く次の日に虹の橋を渡って行った…それはちょうど明里が余命宣告をされて半年のことだった。