東京科学大学 教授
講演タイトル「AI が拓く新たなシステム生物学のかたち」
専門 バイオインフォマティクス、システム生物学、AI
最近はまっていること ゼブラフィッシュ
AI が拓く新たなシステム生物学のかたち
近年、深層学習によって飛躍的な進歩を遂げた人工知能(AI)は、生命科学分野においても目覚ましい成果を上げている。本講演では、深層学習の中でも、さまざまなデータの生成過程を記述することができ、データから学習可能なシミュレーターとして注目されている深層生成モデルに焦点を当て、生命現象の理解にどのように役立つのか、どのような場面で用いられるのか、使う上での注意点などのTips を紹介する。また、深層生成モデルを用いた実際の生命医科学への応用として、一細胞オミクスデータから得られるスナップショット情報を基に、不確実性を加味した細胞状態遷移・細胞運命決定を予測する深層生成モデル、空間トランスクリプトームデータから細胞間コミュニケーションを推定する深層生成モデルについて、腫瘍微小環境の解明を目的とした最新の研究事例を通じて紹介する。さらに、講演を通じて、データサイエンスやAI に馴染みのない方にもその魅力や可能性を伝えたい。
北海道大学 低温科学研究所 教授
講演タイトル「冬眠のロマンに魅せられて〜生と死・夢と現実のはざまで」
専門 哺乳類の冬眠学
最近はまっていること レゴ
冬眠のロマンに魅せられて〜生と死・夢と現実のはざまで
冬眠は、餌不足や気温低下に見舞われる季節を低代謝状態となることで乗り切る生存戦略である。冬眠を行う生物の中でも、体温を常時外気温より遥かに高く保つ必要がある恒温動物である哺乳類の冬眠は、能動的に低代謝状態を誘導する点で特に興味深いだけでなく、好奇心を満たす基礎研究にとどまらない応用展開までも期待できる研究課題といえる。しかしその分子・遺伝子機構の理解は、さまざまな障壁により遅れてきた。本講演では、私たちが10年ほど取り込んできた冬眠研究の知見について紹介するとともに、大きく研究テーマを変えて冬眠研究を開始するに至った経緯やその後の研究展開の広がりについても話をしたい。
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 助教
講演タイトル「マウス夜行性行動の神経基盤」
専門 神経科学、睡眠
最近はまっていること DIY
広島大学大学院 医系科学研究科 公衆衛生学 准教授
講演タイトル「時間栄養学の社会実装〜企業や自治体との共創って難しい〜」
専門 時間栄養学、時間健康科学
最近はまっていること 子どもとの旅行
時間栄養学の社会実装〜企業や自治体との共創って難しい〜
「研究って楽しい。もっと続けたい。」そう思って博士課程に進んでしまった。アカデミア研究者としてなんとか踏ん張り、2022年からは半分独立したチームを広島大学に作れるまでになった。恩師の柴田重信先生には感謝しかない。が、今、柴田先生が残した大量の宿題に追われている。。。その理由は、「社会実装」という言葉に尽きる。社会実装は難しい。遠い。。。体内時計研究は社会実装されたのだろうか?時差ボケの治療法ってできたのだろうか?時間栄養学は本当に役立つ科学なのだろうか?一昔前に比べて体内時計という言葉は、一般人にも浸透したように思うけど、私たちの研究はまだまだ社会に役立っていない。遠いんです。。。基礎と臨床を繋ぐ研究者を目指して奮闘する今日この頃を皆さんと共有したい。世間の流れに同調しつつやりたい研究を継続するためにどうしたらいいのか、一緒に考えたい。でもやっぱり研究って楽しいよね。