生命活動においてリズム現象は多様かつ重要な役割を果たしています。リズミックな細胞周期は細胞が継続的に分裂し、生物が安定して増殖するために必要です。生物時計は、生物が昼夜や季節などの多様な環境周期に適応するために重要だと考えられています。また、生物の形づくりや細胞分化にもリズム現象が本質的な機能を果たしています。このように、リズムは様々な階層で様々な働きを担っており、リズムの構成要素は当然異なります。しかし、構成要素がどんなに違っていても「リズム現象」である以上、何らかの共通点があり、時には振動のメカニズムが同一であることもあるでしょう。
ところが、従来の研究ではリズムを様々な構成要素の決定を目指す場合が多く、異なる現象の間の共通点の解明を目指す研究は多くありません。要素決定を中心とするアプローチは、生物の多様性に注目し生命科学に厚みを持たせる『緯糸』のようなものです。これに対して、リズム現象の共通点を中心とする研究アプローチは、生物の普遍性に注目し生命科学の見通しを良くする、いわば『経糸』のようなものであると我々は考えています。
特定分野の研究者のみが集まる学会とは異なり、本研究会には生物リズム現象を共通言語とする様々な分野の若手研究者が一同に集います。また、リズム現象を中心として、生命における非線形・非平衡現象の研究をされている様々な講師の方をお呼びします。本研究会では、多数の参加者や講師の方々と共に親交を深め、また各自の問題を様々な視点から議論できるような場を提供します。