Pythonの辞書機能

Pythonには辞書（dictionary）という機能がある．自分の専門分野で役に立つ利用法のひとつとして「元素記号」と「原子番号」の対応関係に注目した．最初はカンマ区切り（CSV）データから辞書形式のファイルを作成するプログラムを作ってみたが，Pythonにはそのような処理をやってくれる関数が準備されている．

今回はCSVデータを直接辞書形式に変換して利用するプログラムを作ってみた．

CSVデータから辞書を作成し，参照するプログラム

上記のCSVデータを辞書に変換するために，予めCSVをインポートする．まず，CSVデータ をリストに変換し，次いで リストを辞書に変換処理する．

マニュアルの構文 (with open ···· reader) 通りにすれば問題はない．生成したリスト ['H', '1'], ['He', '2'], ···· は更にリスト (atomlst) の中に配置される（次行）． それを実行しているのは，for item in csvdata:atomlst.append(item) である．

[['H', '1'], ['He', '2'], ['Li', '3'], ['Be', '4'], ['B', '5'], ['C', '6'], ['N', '7'], · · · · · · · · ['Bh', '107'], ['Hs', '108'], ['Mt', '109'], ['Ds', '110'], ['Rg', '111'], ['Cn', '112']]

さらに，次行の構文を実行すると 辞書型へコンバートされる．

atomdic = dict(atomlst)

辞書の書式は以下の通りである．中括弧の中にペアのデータが : で関連付けられている．

{'H': '1', 'He': '2', 'Li': '3', 'Be': '4', 'B': '5', 'C': '6', 'N': '7', · · · · · · · · 'Sg': '106', 'Bh': '107', 'Hs': '108', 'Mt': '109', 'Ds': '110', 'Rg': '111', 'Cn': '112'}

辞書ができたら，いろいろな応用が考えられる．とりあえず元素記号を入力したら原子番号が返ってくる処理を付け足してみた．

# utf-8 coding

import csv

atomlst=[]

#list作成

with open('atom.csv', 'r') as f:

csvdata = csv.reader(f)

for item in csvdata:atomlst.append(item)

# atomlst = [ v for v in csvdata ] #上の行と同じ内容

atomdic = dict(atomlst) #リスト→ 辞書型へコンバート

print(len(atomlst))

#print('Dic =')

#print(atomdic)

while True: #以下は会話形の処理， qを入力すると終了

atn = input('atomic symbol?')

if atn == 'q':

break

else:

print(atomdic[atn])

実行結果

112

atomic symbol?S

16

atomic symbol?Br

35

atomic symbol?q

>>>

Ｘ線解析の結果は座標で与えられ，原子種は元素記号で表わされる．原子種に対応して原子の大きさを変えて表示する際には対応する原子番号があれば便利である．臭素 (Br) なら，dic_atom[" Br "] で35が取得できるというわけである．

参考資料

Python入門 辞書

CSV ファイルの読み書き

リストから辞書を作成

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