岸川 薫 先生(町田支部正会員)
ピティナ60周年おめでとうございます!
創設者福田靖子先生のご著書は拝読したことがあり、ピアノ指導の地域格差をなくすべくその情熱で全国を駆け回って種をまかれ、それが今大きく結実し素晴らしい指導者の団体へと発展されましたことお喜び申し上げます。
私がピティナを初めて知ったのは、師事している先生が子どもの生徒をコンペに出場させていた35年くらい前でした。生徒さんたちが入賞され、入賞者コンサートでの福田靖子先生の活力ある姿がとても印象に残っています。
その後転居した後、新たに始めたピアノ教室が軌道に乗り始めたころステップが始まり、
生徒を参加させるために指導会員になったことが入会のきっかけでした。
3人の子育ても落ち着いたころで、声楽の伴奏やソロ演奏も再開した頃でした。
その後2~3年間は胆管の病気で入退院を繰り返すようになり、2度の手術を経て回復したことの記念受験としてグランミューズ部門への参加を考え始めました。
2度目の手術は7月の終わり。体調が回復し、初めての外出が王子ホールグランミューズ部門の全国大会の見学でした。暑い日で銀座駅の階段を上る足がふらふらしていた感触を鮮明に思い出します。たくさんの大人の方たちが真摯に演奏されるステージを聴いて、そのリアルな緊張感、生の音、演奏する姿・・に新鮮な驚きと感動を覚え、たくさんの刺激を受けました。
「衝撃のコンクールデビュー」
晩学で無理をして入学した音楽短大での2年間は皆についていくだけでも大変でしたので
子どものころからきちんとピアノを勉強し正規のルート?で音大を卒業した人たちと自分がコンクールで対等に競えるレベルなのか未知数のままA2カテゴリーを初めて受けたのが2006年47歳のことでした。
コンクール自体全く初めてでしたが何とか予選を通過することができ、こんなにも努力したのは初めてというくらい練習して臨んだ本選。
緊張はしましたが自分にはこれ以上はできないというくらい納得の演奏ができたので達成感がありました。ところが結果発表で全国進出の方と全くの同点となり上下カットなしの再採点の結果、全国大会には進めなかったことがわかりました。しかもその年までは1回目の本選で全国進出が決まっても2回目も受けて良いことになっていたため既に全国進出が決まっていた方が参加されていて奨励賞となり(同点の2人より点数がよかったのだと思います)同点なのに、私は全国進出の方の陰で何の入賞にもならず(その本選は優秀賞はなかったので)目の前でバンッ!と扉が閉められたような衝撃を受け、今まで一度も味わったことのない虚無感に見舞われてしまいました。勝気でもなく、どちらかといえば「お先にどうぞ」な性格の自分がこんなにドロドロした「悔しい」という気持ちを持っていることも衝撃でした。
次の1年は結果にこだわった参加となりました。曲は勝負曲としてリストのハンガリー狂詩曲第8番に。コンクールの前に初回開催のアナリーゼステップでアナリーゼ企画に参加。添削していただいた楽譜から新たな楽譜の見方を教えていただき表現の幅が広がりました。このステップがきっかけとなり、それ以後も秋山徹也先生には勉強会やソルフェージュなどで現在まで長くお世話になることになります。
この年の本選ではまた前年同点になったアマチュアの男性と一緒になり(とても優しくて素敵な方でした)今度は私が1位となりその方が次点の優秀賞になってようやく1年がかりの心の闇?から解放されました。
初めての全国大会は2年前に見学に訪れたあの王子ホール。精いっぱい弾きましたがとても力んでしまいあまり良い演奏ではなかったと思います。その時A2カテゴリーに参加したのは自分も入れて4人。そのうち関東在住のお2人とはいまでも交流していてこれも貴重な出会いでした。
「ハクジュホールでの演奏を目指すように」
その後2009、2011,2012、2013年と全国大会で5回の入選をしました。
特に2011年、2012年は2位にあたる得点でしたがその年までA2カテゴリーだけは参加人数の関係か1位しか入賞にならずハクジュホールでの入賞者コンサートには出られません。入賞した方たちの演奏は素晴らしく、多彩な曲目の入賞者コンサートを聴きに行くのは楽しみでしたがこの2年間だけは、またまたこのステージの目の前で扉が閉ざされてしまったような悔しさを味わいました。翌年から2位も開設されましたがその後5年間は全国入賞とは縁がなく、もうハクジュホールのことは諦めかけていました。
ただコンぺは1年のルーティンとして目標になるし、いろいろなホールで弾いて講評をいただき、とても有意義なので参加だけは継続していました。2019年60歳になって受けたコンペは結果は気にせず自分のベストを尽くせればよいという気持ちでしたが本選14人のうち1位となり、全国第3位入賞、6回目の全国大会にして初めて表彰式で名前を呼ばれた時の感動は忘れられません。自分の音色や感性にぴったり合った曲だったことが入賞のポイントだったのかなと思います。
ハクジュホールでの憧れの入賞者コンサートにも参加でき長年見守ってくださった長沢あけみ先生にも感無量だったとメールをいただいてお世話になった恩返しが少しできたような気持でした。先生、友人、生徒さん、家族。たくさんの人が聴きに来てくださり響きのまろやかな素晴らしいホールで演奏できたことは一生の幸せな記念となりました。参加14年目にしてようやくこのホールへの扉が開いたのでした。
その後のコロナもあり2020年は開催中止となったため初めて1年コンペを休みました。この時61歳になっていた私は大きな記念となった2019年を最後にコンペは辞める方向で考えていましたが2021年から55歳以上のⅭカテゴリーが新設されたのをきっかけに参加を継続し、さらに5回参加。暗譜でなくてもよいというのが何よりの魅力でした。cカテゴリーでは2回の全国入選を果たし、70歳くらいまではできるかな、とか全国進出はこれまで8回してきましたので10回を目指そうかとか、もう1回ハクジュホールでも演奏してみたいなど欲も出てきていましたが、今年からcカテゴリーは廃止になったため参加するならA2カテゴリーだと思っていますが、暗譜が必修になってしまうのは負担が大きく、昨年全国大会に進めたこと、ちょうど20年の区切りだったこともあるので多分コンペの参加はここで終わりにすると思います。
なんだか長いマラソンを走り終えた気分です。
参加20年の間にはうまくいかなかったことも多々あり、特に派手に暗譜落ちした時などは落ち込みますがそこで思い浮かぶのはオリンピックで転んでしまったマラソンランナー
谷口選手の「こけちゃいましたー」と爽やかに言ってのけた姿です。オリンピックに出るまでどれだけ努力されてきたかを思うとどんなに悔しかったかと思うのですがアクシデントを一瞬で消化する人間力の大きさにとても感動。自分も何か舞台で失敗することがあったら「こけちゃいましたー」と気持ちを切り替え次につなげるよう心掛けるようにしています。
この20年コンペを通じて様々な素晴らしい方たちと出会いました。コンペ仲間の人たちとグランミューズ限定のステップのスタッフを数年間経験しステップの裏方を体験したり(このステップは今は活動していませんが)コンペで知り合った東大ピアノの会OBの方が主宰するピアノの会に長く参加させてもらい東大を卒業した後芸大に進学した人の演奏とか、ショパンのエチュードをさらに複雑にしたゴドフスキー編曲のエチュードをピアノの前に列になって嬉々として弾いていく人たちとか、男性が多く、とてもレベルの高い演奏で珍しい曲が次々出てくるのが興味津々で大好きな会でした。(主宰の方が急逝されたのが残念でなりません。)
2017年から2023年までは生徒と一緒にコンペに参加しました。(これまで6名参加、うち5名は何らかの入賞を果たしました)一緒に町田支部の入賞者コンサートに出たこともとても良い記念です。なんといっても指導者がコンペに参加している現役ならではの気持ちの共有ができるのが強みだと思います。
私は6歳でピアノを始めたものの初歩的な教材のバイエルでレッスンを辞めてしまい再開したのは高2になってからでした。ですのでかなり無理な選択をして音楽専門の道を歩き始めたわけですが短大時代の2年はあまりにも短く、3人の子育てが一段落したらいつか大学に編入してピアノをやりなおしたいと強い希望を持っていました。そのために貯めたお金もありましたがグランミューズ部門に参加したことで徐々にその願望がなくなっていき、結局ためたお金は新しい楽器を買うことに使ってしまいました。でもこれは良い選択だったなと思っています。
コンペでは点数もつきますし講評でアドバイスもいただけるのは大学の試験に相当すると思います。しかもいろいろな音大の先生やピアニストから手書きでの講評がいただけるなんてすごく贅沢なことです。
加えて指導者検定や講座、eーラーニングでは指導の勉強もでき、大学に編入していた以上のことを多方向から学ぶことができたと思います。
ことしは3月22日に町田支部入賞者コンサートに出演させていただくことにしました。
10名の全国大会入賞、入選の素晴らしい小中学生の最後に演奏します。しかも私の次はゲストの特級グランプリの方・・・という何ともプレッシャーのかかる演奏順ですが最後のステージに向けて精いっぱいの準備をしたいと思っているところです。そしてこの会場が母校のホール・・・というのも何のご縁なのか、卒業演奏会のような意味を持つコンサートになりそうです。
「これから」
役者さんを見ていますと老人になったからと言って活動の場がなくなることはないですし
人生経験豊かな人にしか出せない味のある老人の役というのがあると思います。
音楽も共通する面があり年を取れば運動面は衰えるかもしれないですが別の面、その年齢でしか出せない何かを表現できると希望を持っています。
幸いソロ、声楽の伴奏、ボランティアなど定期的なコンサートの機会にも恵まれていますのでステップも活用しつつ、聴いて良かったと思ってもらえるような演奏を目指して自分の活動を全うできれば良いなと思っています。
生徒のコンペ指導や出会った人たちとの交流についても1つ1つ思い出せばそれぞれの深い物語がありますが今回は人生後半になっていつの間にか20年もの参加継続をしてきた
グランミューズのコンペについてを主体に振り返ってみました。人生後半になってこんなにも充実した日々を与えてくださったピティナには感謝の気持ちでいっぱいです。
福田靖子先生ももしかしたら大人のピアノがここまで発展するとは嬉しい想定外だったかもしれませんね。
2023年生徒の本選会場で
生徒を応援しながら自分も合間に本選で演奏していました。
下の写真は2024年生徒3人と一緒に町田支部入賞者コンサートに出演した時のものです。↓
受賞者インタビュー
町田筆記春期
2026年5月14日(木) 10:00-11:30
受付開始9:45
会場:SUGANAMI ARTS Salon
町田筆記秋期
2026年10月15日(木) 10:00-11:30
受付開始9:45
会場:SUGANAMI ARTS Salon
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終了しました
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2025年8月3日(日) スガナミ楽器町田店