3Dプリンターのサポート材と後処理

3Dプリンターでモデルの出力をした後、そのままの状態で持っていく学生がほとんどですが、その後の処理はどこでどうしているのか…?という永遠の疑問があります…。


そこで今回は、3Dプリンターで造形物を出力した後の状態と処理について解説します。

基本的に3Dプリンターで出力したものには(光造形方式でもFDM方式でも)、「サポート材」という支えが一緒に出力されます。


「サポート材」とは、3Dプリンターで造形をする過程で発生する「造形物を支える材料」を指します。

造形物の土台や足場になり、造形物が崩れないようにサポート材が支えます。


サポート材のより詳しい役割や説明はこちらのサイトを参考にしてください↓

https://www.3d-printer.jp/column/basic/support-material.html

そこで出力が終わった後には、本来の造形物にとって不要になるサポート材を除去する作業が必要になるのです。

その作業に必要な道具もプロトタイピングルームには一式揃っています。

下記の作業で使う道具は全てルーム内にあるものなので、使用する際はスタッフにお尋ねください。


使う道具は主に共通して以下のもの↓です。

道具…やすり、プラスチックニッパー、ホビールーターセット、紙やすり、耐水ペーパー

ここでは同じモデルを使って、光造形方式とFDM方式それぞれの処理方法について解説していきます。

【FDM方式】


・サポート材について

FDM方式の場合、作ったモデルの宙に浮いている部分にそのままサポート材がつきます(画像内水色の部分)。そのためどこにサポート材がつくかの検討はおおよそ可能です。

・除去について

FDM方式のサポート材は大きな部分であれば手で取ることもできます。

手でとりきれない部分はプラスチックニッパーなどを使い取り除いてください。

この時除去にルーターを使用した場合、熱によって表面が溶けてしまうため、あまりおすすめしません。(素材がプラスチック製のため熱に弱く溶けてしまう)

もし使用しても、この後の工程で溶けた部分を滑らかにすることは可能ですが、基本的にルーターは仕上げに布バフ(ヘッドが白い布で、ふわふわしているもの)のみ使うのが良いかと思います。


大まかに取れたら、やすり(持ち手が赤く棒状で、金属のもの)で削り、表面が滑らかになるまで削ります。

この時、やすりが汚れていたり紙やすり(紙状で茶色のもの)を使ってしまうと、やすりの粒が層の隙間に入り込んでしまい黒く汚れてしまうので注意してください。

ここからさらに表面を滑らかにしたい場合、耐水ペーパーを利用します。


しかし耐水ペーパーもやすりの粒が層の隙間に入ってしまうため、使う際はやすりの段階でなるべく表面が滑らかになるまで削ってから使用してください。


耐水ペーパーは水につけながら、目の荒いものから細かいものの順番でかけていきます。

【光造形方式】


・サポート材について

光造形の場合、液体のレジンを使用し造形するため、液がモデルのくぼみに溜まらないように出力されます。そのため、モデルの傾きが自動で調整されるので思いも寄らない箇所にサポート材がつく可能性があります。

・処理について

光造形方式のサポート材は、硬くてとても手では取れないため、初めからニッパー等を使う必要があります。

ニッパーの平たい部分を造形物の本体側に当てて、なるべく切り残しのないように除去していきます。


それでもやはり、表面にざらつきが残り、さらに透明レジンの場合その跡が非常に目立ちます。

そこで、透明感を残しながら磨いていく作業が必要になります。


まずは凹凸を大まかに削って取ります。やすりや目の荒い紙やすりで削り、表面を触っても明らかな凸凹がなくなるまで削ります。この時、表面がかなり白く曇りますが問題ありません。


また光造形は表面に層の跡がないため、MDF形式のように層の隙間にやすりの粒が残らないので汚れる心配はありません。

次に耐水ペーパーを使い、表面を磨いていきます。初めは荒い目から次第に細かい目にして表面のくすみをなくしていきます。

最後にルーターの布バフ(ヘッドが白い布で、ふわふわしているもの)で仕上げをして完成です。

若干くすむところは残ってしまいますが、あまり気にならないかと思いますし、今回のモデルは下の隠れる部分だったため尚更問題ありませんでした。

以上が、サポート材の処理の方法についてです。


プロトタイピングルームで上記のような作業をしたい場合は、プロトタイピングポータルより「オンライン機材予約>相談・作業」で予約の上利用してください。