1935年登場のイギリスの特急列車です。マラード号で有名なLNER Class A4ですが、もともとこの列車のために開発された機関車でした。
流線形で機関車から客車まで統一された美しいデザインは蒸気機関車列車の最高峰にふさわしいと思います。これをぜひプラレールにしてみたいと考え、これまでの技術をすべてつぎ込んでこだわって作りました。そのため、製作開始は2015年なのですが、完成までに1年半以上かかっています。
The Silver Jubilee 1935年9月
Class A4(No.2509) - Coach A(一等車) - Coach B(一等車) - Coach C(一等食堂車) - 食堂車 - Coach D(三等食堂車) - Coach E(三等車) - Coach F(三等車)
牽引機はClass A4の栄えある第一号機のNo.2509 Silver Linkです。客車は専用のもので2連接の一等車ユニット、3連接の食堂車ユニット、2連接の三等車ユニットを連ねた初期編成です。
トーマスシリーズで同型機をモデルにしたスペンサーが発売されているわけですが、こだわるために足回りから車体に至るまでフルスクラッチとしました。
大型機ですが、シルエットは細身な機関車です。この雰囲気が出るように設計しました。また、手すりや汽笛、安全弁といったパーツや運転台の中なども作りこんでいます。
スポーク動輪は当時普及し始めていた3Dプリンタ出力サービスで製作を依頼し、それを原型としてレジン複製しました。
パシナでは時折空転が発生し、ロッドの動きが止まってしまいました。これを改善するため動輪にイコライザーを装備して確実に6個の車輪が接地するような構造としています。
ロッド自体は真鍮棒を組み合わせて作成しました。スムーズに回転するように調整しています。
パシナから足回りの構造を根本的に改良したおかげでスムーズな走行が可能になりました。
窓の大きな連接客車です。機関車と合わせたデザインで美しい編成です。
2連接と3連接の車両があります。開口部が多く、強度を持たせるのに苦労しました。実際、経年劣化でゆがんできてしまっています。
以前の試作(LBE 1号機 & 二階建て客車 )と連接の構造は基本的に同じです。少々安定性に欠けており、編成にしたとき車両ごとの段差が目立ってしまいます。
連結器は急行はまなす のときに製作したものを若干改良して使っています。連結器に合わせて車輪が旋回する構造になっており、ポイントなどで脱線しないようにしています。
まずはこのような動力の試作を始めました。モータはテンダー側に搭載し、牽引力を確保するため、2軸駆動となっています。
ロッドの組み立てが終了した段階。金属加工に慣れていないので製作には相当の時間がかかりました。
テンダー内蔵の動力は量産を考えてレジン複製していました。しかし、このせいで劣化が早く、いまでは走行できなくなってしまいました…
続いて車体です。このように骨組みを組んで、少しずつプラ板を貼って流線形にしていきました。
動輪のイコライザー機構です。軸受にはミニ四駆用のボールベアリングを採用。ロッドを滑らかに動かすためにはこの部分の精度が重要です。
少しずつClass A4らしくなっていきます。骨組みに貼り付けるプラ板の展開図を作図するのが大変でした。
パテを盛って表面を滑らかにしていきます。いつもよりも入念に繰り返しました。
客車客車も作っていきます。形状が特殊なので組み立てるときにしっかりと垂直と並行を出すのが難しかったです。
運転台の内部が空では味気ないので、運転台も再現しました。
連接車の内部構造です。リンク機構を使った複雑な機構になっています。めんどくさい割にあまり効果はなかったですね。
バッファやカンテラなどの細かい部品を付けました。機関車はほぼ完成ですね。
調子に乗って専用の収納ケースまで用意しています。連接車は収納が大変です。
2017年8月のプラレールひろばinちゅうおうでお披露目。本線を高速で走行する姿はかっこよかったです。いまだにこれを超える作品は作れていない気がします。
青いレールに白い編成が映えます。プラレールで作って良かったと思いました。
起工:2015年12月頃
竣工:2017年8月
現状:静態保存(2023年12月現在)