パリ若手物理学者の会(通称パリ若物会)はフランス在住,もしくは在住経験のある若手物理研究者によって結成されたグループです。現在は物理分野の研究者に限らず幅広い分野のアカデミアの皆さんに門戸を開き、月に一回程度のセミナー・交流を基本に活動しています。オンラインでの参加も歓迎します。
聴衆の専門も広くばらけていますので話者の皆さんには基礎からわかりやすい発表をお願いしております。
ご興味のある方はコンタクトをご参照ください。
本会はパリ近郊に在住の異なる分野で活躍する日本人研究者同士の交流を促進することを目的としつつ、日常の困りごとなどの相談先にもなるよう受け皿としてのコミュニティの役割も持つものです。
日時:2026年10月16日 18:45 ~
発表者:川村太一さん(Institut de Physique du Globe de Paris)
タイトル:惑星の『中』を地震で見るー 月・火星から広がる惑星地震学
アブストラクト
地球外の天体で地震を測る、と聞くと、「そもそも地球以外でも地震は起こるのか」と思われるかもしれません。実際には、月ではアポロ計画によって1960年代末から地震観測が行われ、多数の「月震」が発見されました。そして2018年にはNASAのInSightが火星に地震計を設置し、その後、多数の「火星地震」の観測に成功しています。さらに将来は、NASAのDragonflyが土星の衛星タイタンに地震計を運ぶ予定です。
なぜ、わざわざ別の天体まで地震計を運ぶのでしょうか。それは地震学が、直接見ることのできない天体内部を調べるための強力な手段だからです。もし地球を宇宙から眺め、その表面だけから地球全体を理解しようとすれば、マントルや核という、地球の大部分を占める重要な構造を見逃してしまいます。地震波の観測は、地殻、マントル、核といった地球内部の構造を明らかにする上で決定的な役割を果たしてきました。同じ方法を他の天体にも適用し、その「中身」を調べようというのが惑星地震学です。
しかし、地球外での地震観測は簡単ではありません。地震計を天体表面まで運び、着陸させ、微小な地面の揺れを測らなければならないからです。実際、アポロの月震観測が終了した1977年から、InSightによって本格的な地震観測が火星で再び実現するまでには40年以上を要しました。一方でInSightの成功を契機として、惑星地震学は月から火星、さらに将来の他天体へと対象を広げつつあります。
本講演では、地球とは全く異なる環境で「地震を測る」とはどういうことなのか、限られた観測からどのように天体内部を探るのか、そして惑星の地震を研究することによって逆に地球について何が見えてくるのかを紹介します。アポロの月震観測からInSightによる火星地震観測、そして現在進められている月・タイタンでの将来探査まで、惑星地震学の面白さと難しさを、実際に惑星地震探査に関わってきた経験も交えながらお話ししたいと思います。
7月以降 夏休み
秋頃セミナー再開予定
平日夜:18:45 ~
国立自然史博物館 Buffonキャンパス
キャンパス内建物52 (入口番号20) 2階のセミナー室