① 楽器をはじめたきっかけは?
家で母が弾くピアノを聴いていたためか、物心ついた時には何となくピアノを弾いていて、3才の時に音楽教室へ通いはじめました。ピアノ教室へ通う途中にヴァイオリン教室があり、ヴァイオリンに憧れました。
② 音楽をやめたいと思ったことはありますか?
上手く弾けない自分に嫌気がさしたことはたくさんありますが、やめたいと思ったことはありません。子育て中などで楽器を弾けない時期はありましたが、そういう時期があったことで余計に弾きたいという気持ちになりました。
③ 毎日練習しますか?
やむをえない時以外は毎日練習するように心がけています。時間がない日は指慣らしや音階のみ、旅行先では指運動だけなど。演奏は体を使うので、アスリートと同じように体作りを大事にしています。年齢を重ねるごとに、演奏力を保つのに必要です。
④ 子どもの頃、毎日練習していましたか?
毎日、練習の後がおやつの時間でした。おやつを食べたかったのでがんばれました(笑)練習を習慣づけるための母の作戦勝ちです。
⑤ 子どもの頃、どのくらい練習していましたか?
トレーニング的な練習はすぐにさぼるので、毎日××を何回やる、何分やる、と、先生や母がメニューを組んでいました。幼児期は10分くらい、小学校低学年の時は15分位で、嫌にならない程度のメニューでした。それが終わった後の曲の練習は楽しくて好きなだけ弾いていました。
⑨ 今日弾いている楽器以外で弾ける楽器はありますか?
同族楽器のヴィオラやピアノは弾きます。音楽物語用に新たな音色を求めて、鉄琴や木琴、ベビーハープ、その他、珍しい楽器を探して演奏に挑戦しています。
⑩ 歌もお上手なのですか?(音痴じゃないですか?)
小学校高学年ごろ~中学生のころ、母の合唱曲の練習につきあって歌っていました。音楽大学ではソルフェージュなど歌の授業もありますので、上手ではないですが、授業の単位を取れる程度には歌います(笑)
⑪ 絶対音感はありますか?
あります。あることで便利なことも多いですが、若い頃、声楽家の美しい歌が音名と歌詞の二重に聞こえてしまい、声楽曲を聴くことが苦手でした。今は脳が楽音と言葉を分けている(?)ようでそのようなことはなくなりました。
⑫ もうすぐ発表会ですが、なかなか練習がうまくいきません。どうしたらいいですか?
間違えてしまうところを確認します。弾けない箇所が確認できたら、そこだけ、カメの歩みでゆっくり繰り返し練習します。「ゆっくり」とは、次に何をどのように演奏するかを頭の中で考えてから音を出せる速さです。速く弾いていつも同じ場所を間違えると間違いを体が覚えてしまうので、部分的にゆっくり練習します。「うさぎとかめ」で例えるなら、演奏の上達にはカメです!これは自分自身にいつも言い聞かせています。
⑬ 発表会などで、緊張してしまいます。どうしたら緊張しませんか
人前で演奏することに慣れるのに、発表会の前に家族やお友達などに演奏を聴いてもらう機会を作るといいと思います。それが難しい場合、録画をするのもいいですし、自分が発表会の舞台で弾く姿を想像してイメージトレーニングするのもおススメです。最後は、練習を積み重ねてきた自分を信じて、「演奏を楽しもう」と思うのがいいと思います。
⑭ 楽器を持って演奏者として感じること、思うことは何ですか。
演奏者は、作曲者がどのような意図で曲を作ったのか、楽譜や史実などから読み取って表現します。解釈には演奏者自身の体験も重なります。聴き手は音楽を聴いて共感した時に感動をするのだと思いますが、そこには、音楽と自分の体験を重ねた想いもあるでしょう。それぞれが別のことをイメージしているかもしれませんが、音楽を通して各々の想いが根底で共感し合う、そんな演奏ができたらいいなと思っています。
⑮ MCや歌唱はマイクやスピーカーを使用して、会場の広さに合わせて音量を調節していると思うのですが、楽器の場合はどのようにされているのですか。ソロとアンサンブルで音の出し方に違いはありますか。
アンサンブルでは音量や音色を合わせることに気を配ります。全体がなじむような音色を工夫したり、メロディを受け持つ楽器が埋もれないようにバランスを考えながら演奏しますので、ソロの時とは自然に音の出し方が違ってきます。また、生演奏は楽器の音量に限界がありますが、互いの音を共鳴させると、豊かな響きで会場全体を鳴らすことができます。アンサンブルでは音色を合わせ、音量バランスを取り、共鳴させることを大事にしています。
⑯ なかなか集まれないメンバーとアンサンブルをするときは、どのように合わせる練習をするのですか?
初めての人と演奏する時は事前に楽譜を見て相談してから合わせることが多いです。長年一緒に演奏していると呼吸が合ってきますので、お互いに「次はこう来るな」とキャッチしながら演奏するようになります。結果、少ない合わせ回数で演奏できるようになります。お互いをキャッチしながら演奏するようになると、毎回味わいの違う演奏が生まれてきます。それがアンサンブルの醍醐味でもあります。
⑰ 本番中の(面白い)ハプニングのエピソードがあれば教えてください
大学院の修了試験(修了演奏会)での出来事です。演奏を始めたら、ピアノの音が何か変・・。ファ♯の鍵盤の音程が狂っていたんです。ファ♯が鳴ると「ビヨ~ン」という音が!(かぐや姫で使ったゴピチャントの音を思い浮かべてください)その時はト長調の曲を弾いていましたので、ファ♯はとても大事な音です。演奏が進むに連れてその音が含まれる和音が増え…。演奏会形式とはいえ試験中なので自分たちで止めるわけにもいかず、演奏する方も聴く方も我慢大会です(笑)最初は「ええっ!」とびっくりしたものの、「ビヨ~ン」「ビヨ~ン」と繰り返される音に、だんだんこみ上げてくる笑いをこらえながら6分半ほど演奏した時、耐え切れなくなったのは試験官の先生。演奏は中断され、その後、別のピアノに交換して最初から仕切り直しになりました。その事件ですっかり緊張がほぐれ、仕切り直し後は伸び伸びと弾けました(笑)その時演奏したのはルクーのヴァイオリン・ソナタ、ピアニストは宇田川日和さんでした。なお、調律時はきちんとした状態でした。調律後から本番までの間にいったい何があったのでしょう。謎のままです。