大会会長挨拶
桃山学院教育大学 副学長 比嘉 悟
桃山学院教育大学 副学長 比嘉 悟
COVID-19の蔓延による社会的混乱は、2020年3月から始まり第1波から第5波を経てようやく終息の域に差し掛かっていましたが、第6波の到来に 伴い蔓延防止措置が発令されている昨今です。人と人の繋がりが希薄になりつつある現代社会では、お互いがインターネットでつながってさえいれば、バーチャルなコミュニティーを形成しやすい環境にあります。今回のコロナ渦では、人との接触を避けることで感染拡大を抑制させたことで、折角の対面でもお互いに距離をとり、不必要な会話を制限せざるを得ないため、従来の何気ない会話や雑談から生まれる人間味のあるリアルな人間関係を構築させる環境が少なくなりました。
スポーツ界もコロナ渦の影響で色々な制限を受けながら、創意工夫を凝らして、「スポーツの持つ力」で壁を越えてきました。特に、オリンピックは1年間の延期を乗り越えて、世界が注目する中、大会を終えることが出来ました。このように「スポーツの持つ力」は、リアルな人間関係を構築させることができます。一方、体育は、ご承知の通り子どもたちが生涯にわたって運動やスポーツに親しむのに必要な素養と健康・安全に生きていくのに必要な身体能力、知識などを身に付けることをねらいとして、「身体能力」、「態度」「知識、思考・判断」を形成する実技を伴う授業です。そのため、感染症対策を徹底しながら学びを保障するために様々な工夫で乗り越えてきました。
さて、大阪体育学会は今から60年前に日本体育学会大阪支部として発足し、多くの体育・スポーツに関する研究成果を発表してきました。人間に例えると還暦にあたります。還暦は干支・十干の組み合わせが60年で一巡し、「出生時に還る」という意味から長寿のお祝いの節目に用いられてきました。超高齢社会の今日では、長寿のお祝いというよりもこれまでの歩みを振り返り、感謝するとともに新たな展望に向けた節目として用いられています。
学会としても第60回大会は、先人たちのご苦労を尊びながら、コロナ渦で経験した社会の変革にも対応できる「体育・スポーツ」の力を再認識し、新たな一歩となるように、感染症対策に注意を払いながら2年ぶりの対面開催を検討していましたが、昨今の感染状況を鑑み残念ながらリモート開催への変更に踏み切りました。
本学会大会は、「ポストコロナにおける体育・スポーツの役割」をメインテーマとし、シンポジウムを中心とした議論を通して、人との距離を保たなければならない社会での体育・スポーツの果たす役割について具体的方略およびその可能性について、この分野に関わるすべての方に向けてその成果を発信したいと考えます。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。