Research

統計金融学

近年、金融経済学の分野で、ティックデータと呼ばれる金融市場で行われた全ての取引の情報を記録した大規模データが重要な研究対象になってきています。金融取引パターンをよりよく再現する現実的なモデルの開発を行っています。

非定常なHawkes過程の推定手法の開発

ティックデータの解析では定常性が過程されることが多いですが、一般には金融取引は非常に非定常な過程です。例えば、経済的に大きな出来事が起こると、それは金融市場の取引に大きなインパクトを与え、一時的に市場の活動が上昇することが知られています。その一方で、そのような非定常な過程を扱えるモデルはこれまでほとんどないのが現状です。そこで、我々はティックデータを解析するのによく用いられているHawkes過程と呼ばれるモデルを拡張し、非定常性を考慮したHawkes過程とベイズ統計学に基づく推定手法を提案しました。我々の新しいモデルにより、金融政策の発表などの後の市場の急激な取引パターンの変化などを定量的に捉えることが可能になりました。この成果はPhysical Review Eから出版されました。