養育費の基礎知識
養育費とは、文字どおり、子を養育する費用です。一方の親と別居することになった、あるいは離婚することになった、といった場合に、子を養育している場合に、他方の親に請求できます。これは、民法という法律で定められた権利です。
この養育費をいつ、いくら支払うかについて、親と親との間で話し合って合意ができればよいのですが、合意ができない場合は、家庭裁判所で調停をしたり、最終的には家庭裁判所で審判(判決のようなもの)をしてもらったりして、養育費の額などを決めることになります。
それでは、この養育費の額は、どのように決まるのでしょうか?
昔は、この養育費の額を、かなり複雑な計算をして出していました。しかし、これでは時間がかかり過ぎる、ということで、現在では、裁判官を中心とする研究会が、養育費の算定表というものを公表しています。これを見れば、支払われるべき養育費の目安を把握することができます。
算定表は19もありますが、どの算定表を見ればよいのでしょうか?
まず、この算定表は、大きく分けて2つに分かれており、離婚前のものと、離婚後のものがあります。離婚前は、上に「婚姻費用」と書かれている算定表を見ます。離婚後は、上に「養育費」と書かれている算定表を見ます。
婚姻費用って何でしょうか?これは、結婚生活で生じる費用のことです。夫婦の生活費、と思えばよいでしょう。夫婦が同居している場合は、夫婦で生活費をやりくりしていると思いますが、別居した場合、特に子を養育している親に、一方の親から養育費を含む生活費が支払われないことがあります。このような場合、他方の親に、養育費を含む婚姻費用の支払いを求めることができます。
さて、離婚前は「婚姻費用」の算定表を見て、離婚後は「養育費」の算定表を見るのでした。婚姻費用の算定表は10、養育費の算定表は9あります。どの算定表を見ればよいのでしょうか。
養育している子が何人か、そしてその子が何歳かによって、見る算定表が違ってきます。例えば、離婚後に、子を2人養育しており、2人とも14歳以下であれば、(表3)を見ることになります。離婚前であれば、(表13)を見ることになります。
さて、このようにして算定表を見つけることができました。算定表を見てみると、何だかグラフのようになっています。このグラフは、どのように見ればよいのでしょうか?
これは、請求したい人の年収がグラフの下に書いてあります。自営業と給与所得者で分かれています。
そして、グラフの左には、請求される方の年収が書いてあります。これも、自営業と給与所得者で分かれています。つまり、親2人の年収が分かれば、養育費や婚姻費用の目安が分かることになるのです。
算定表の見方が分からない場合は、弁護団に相談してみてください。