【学会長挨拶】
拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素より(一社)岡山県作業療法士会の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、第38回岡山県作業療法学会を令和8年3月8日(日)に岡山国際交流センターにて開催致します。本学会は、岡山県内の作業療法士が日頃の研究や臨床での成果を発表し、講演や交流を通じて学術的研鑽を深める貴重な機会として毎年開催しております。
今学会のテーマは「目標設定を究める」としました。作業療法における目標設定は単なる治療の道筋を示すものではなく、「その人らしい生活」や「人生の再構築」を支える、作業療法の根幹を成す重要な要素です。
私たちは、現場において、対象者の声に丁寧に耳を傾け、個別性の高い目標設定をすることで、対象者自身が未来に向かって踏み出していく姿を数多く経験してきました。このような実践は作業療法が有する力を感じさせてくれます。
更に、目標設定は、私たちの現場に留まらず、現代社会が抱える課題解決に資する力を持つと考えられます。現代の日本は、超高齢化の進行、慢性疾患の増加、社会的支援を必要とする方の地域生活移行など、変化の渦中にあります。その中で求められるのは、画一的支援ではなく、対象者の価値観や背景、ご家族や支援者の方に寄り添う「個別性の高い目標設定」による支援です。そのため、作業療法士の専門性が発揮される目標設定は、医療資源の最適化や対象者のQOL向上、地域共生社会の実現に貢献できると言えるでしょう。
しかしながら、目標設定の実践は容易ではありません。「どう聴き取るか」「どう設定するか」「どう具体化するか」など、多くの作業療法士が日々模索し、試行錯誤を重ねています。だからこそ、本学会ではこの目標設定に焦点を当て、より多くの岡山県の作業療法士が共に学び、実践を深め、次世代へと繋がる知見と技術を共有することを目指します。
本学会が実り多いものとなり、岡山の作業療法、そして地域に暮らす対象者の未来に貢献できますよう、皆様のご参加をお待ちしております。
敬具
令和7年 7月吉日
第38回 岡山県作業療法学会
学会長 藤井 裕康
(福山市民病院 作業療法士)