登録有形文化財申請のための建造物調査を行いました
令和4年度の答申、令和5(2023)年8月7日登録有形文化財となりました
林原美術館 本館、長屋門、西蔵、中蔵、東蔵
林原美術館本館は、建築家前川國男の岡山3部作の作品の一つで、昭和38年に竣工、開館は翌年になります。
この場所は、旧対面所跡と呼ばれている場所ですが、旧二ノ丸にあり、明治期は池田家事務所が置かれていました。昭和20年の岡山大空襲では、長屋門と土蔵3棟が焼け残り、その建造物4棟も今回登録されています。
この4棟は、岡山市北区表町2丁目、宇野バスのあたりにあった生坂向邸から移築した建物だとわかりました。ちょうど、旧日銀岡山支店(現ルネスホール)の向いあたりになります。
「生坂向邸(イクサカムカイヤシキ)」、江戸末期は、日銀側にあった生坂藩邸の向にあった邸ということなのですが、明治維新の頃には建物は池田家のものとなり、事務所を設置したものの、明治31年には対面所あとへ事務所を移して、土蔵と長屋門を明治末までに順次移築していくという、とても複雑な移転をしたことから、だんだんと説明できる人が減り、徐々に端折られて忘れられ、市史には誤った歴史が載っていました。
西蔵は向邸に明治14年に建築しました。中蔵は旭川東岸の花畑邸から移築です。その花畑邸は重臣の屋敷を池田家が購入して、旧藩主の仮住まいとし、女中部屋を作るために場内で移築、旧藩主が亡くなると北東方向へ1kmの池田家事務所へ2回目の移築、対面所跡が3回目の移築で現在に至ります。
こんな複雑な歴史ですが、その資料はすべて池田家文庫に残されていました。当時は公開されていなかった資料もあり、就実大学の浅利先生にご協力いただいて、明らかにすることができました。詳細は、『吉備地方文化研究 34号』 近代における池田家岡山事務所の所在地について : 旧二の丸への移転と長屋門・蔵などの移築を中心に(2024)をご覧ください。県内の図書館にあります。
鶴山館の調査を行いました
木造平屋建 延床面積約490㎡
8/6-3/15 実測調査及び史料調査
事業主体 津山市文化課
調査所管 一般社団法人 岡山県建築士会 会長 塩飽 繁樹
岡山ヘリテージマネージャー機構(OHMO)
代表 田井 宣俊 班長 榎本 智
調査員(ヘリテージマネージャー)
有正 典之 安藤 佐代子 梶原 吾市 金塚 仁志 田中 航
谷口 孝幸 馬野 久美 松岡 久夫 松山 伸之 山崎 真由美
山名 千代 山名 佑佳
史料調査
田井 宣俊 山崎 真由美
作図担当
安藤 佐代子 梶原 吾市 馬野 久美 山名 千代 山崎真由美
執筆編集
山崎 真由美
事務局
一般社団法人岡山県建築士会
岡山市北区内山下1-3-19 建築会館4F
※報告書より抜粋
5/20 やかげ文化センターにて、ヘリテージマネージャー大会を開催しました。
地元の方含め、約30名が参加、各地域会報告、津山城東城西、吹屋の伝建事例について発表がありました
詳しくは、次回会報誌7月号をご覧下さい(丸善で販売あり)