入試形態別体験談

一般入試

【Kさんの場合】

 日本語教育コースでは、英検などの外部外国語試験で大学の求める基準を満たしていれば、入試の共通外国語試験が免除されます。私は、受験を決めてから入試までの期間があまりなかったこともあり、その制度を利用しました。

 専門試験については過去3年分がインターネット上で公開されていますので、まずそれを見て出題傾向を把握しました。試験では、専門用語の説明や、第二言語習得などに関わる様々な言説の理論的背景などが問われます。そのため、第二言語習得の概説書と用語集を購入し、重要な用語はノートに書き出して自分で説明できるようにしていきました。平日は仕事のために受験勉強に充てる時間が限られていましたが、夜はYouTubeで配信されている日本語教育能力検定試験の対策講座を聞きながら家事をし、朝も出勤前に1時間は勉強するようにしていました。受験対策用の書籍の詳細は、本ホームページの「受験対策情報」に掲載してありますので、そちらをご参照ください。

 

【Iさんの場合】

私は他大学を卒業してそのままお茶大日本語教育コースに進学しました。研究生を経ずに他大から進学を目指す場合、とにかくまずは情報を集めることが大事だと思います。私の場合は、コースの先生方のHPや論文を読んだり近年の先輩方のHPを見たりして、先生方のご専門分野や、試験対策に役立つ参考書籍などをチェックしていました。また、毎年4月・10月にある進学説明会に参加して指導を希望する先生や先輩方とお話しし、研究計画書作成や試験勉強についてアドバイスをいただいていました。進学説明会は、私が参加した際はいずれもオンライン開催だったのですが、今年度からは対面での開催に戻ったようですので、お茶大や日本語教育コースの雰囲気を肌で感じられると思います。受験を検討されている方は、ぜひご参加をおすすめします。


試験対策は、まず専門試験について、私の場合は日本語教育や第二言語習得に関する知識がゼロの状態だったので、参考書籍として挙げられていた概説書や日本語教育能力試験の用語集を集め、理論やモデル・概念を自分の言葉で説明できるようになることを目指して繰り返し読みました。また、先生方のご専門分野からも出題があり、私は主に先生方のHPと参考書籍から出題されそうなことを予想していたのですが、範囲が広いためそれだけで対策をするのはかなり大変でした。そして、入学してから授業を受けていると、その内容が入試で出題されていた問題に共通していると感じることが多々ありました。そのため、HP・参考書籍だけでなく先生方の授業のシラバスも参考にされると、より効率良く対策ができるのではないかと思います。


また、外国語試験(英語の場合)については、長文和訳問題が4つ出題されていました。入試課でのみ過去問の閲覧が可能ですので、ご自分にとっての難易度を把握するために、早めに入試課へ行って確認されるのがよいかと思います。ただ、やはり専門試験の対策に時間が取られることもあり、2科目の試験勉強の両立は時間的・心理的に大変な面もあったので、可能であれば他の方がおっしゃっているように免除制度を利用するのがおすすめです。


日本語教育コースの入試は2月の1回のみです(2023年現在)。そのため、他大からの受験の場合、卒業ぎりぎりまで進路が確定せず勉強を続ける必要があるというのは不安感や孤独感もあるかもしれませんが、それまでの積み重ねを信じて焦らずにやれるだけのことをやればきっと大丈夫だと思います。体調に気を付けながら頑張ってください。

留学生入試

 お茶大の外国人留学生入試は、一般入試と比べると、語学試験がない以外は同じです。 大学で日本語を勉強していたとはいえ、日本語教育に関する知識は非常に不足しており、受験勉強を始めた当初は、固有名詞や理論・学説を理解するのが本当に苦痛でしたが、本を読み進めるうちに少しずつ理解できるようになり、この頃は知識を自分のものに整理する必要がありました。

 専門知識の勉強が終わったら、学校のホームページで近年の試験問題を探し、しっかり勉強することです。 同時に、研究計画書を書き、願書までに何度か計画書を修正します。出願書類不足がないようにすることも大事です。 申請の準備は面倒ではありませんが、1、2ヶ月前から準備を始めるとよいでしょう。  
 また、教授の連絡先を知っている場合は、教授と連絡を取ってみたり、面接のアポイントを取ってみるのもよいでしょう。

社会人入試

  私は、国内の日本語学校や、公立の小中学校で日本語指導を行ってきました。その中で、壁にぶつかることが多く、効果的な教え方や学習者の個人差についてしっかりと学びたいと思うようになりました。そんな中、2022年の3月に、勤めていた日本語学校が閉校となって職を失ったのをきっかけに、修士課程に進学しようと思い立ちました。


 「子どもの日本語教育」と「第二言語習得」という2つのキーワードで、大学院を探したところ、お茶の水女子大学の日本語教育コースに行きつきました。日本語教育の経験が2年以上あれば、社会人入試の枠で受験できることがわかったので、社会人入試の枠での受験を決め、そこから、非常勤講師として週に数回日本語教師として働きながら、受験勉強をすることにしました。


  2022年の4月に、進学説明会に参加し、希望する指導教官や先輩からお話をお聞きすることができました。お茶大の日本語教育コースに少しでも興味を持たれた方は、進学説明会に参加されることをお勧めします。私自身は、希望する指導教官に、研究テーマについて相談したり、研究計画書を書く際に参考になる本を紹介していただくことができ、本当に有意義でした。


  院試の内容は、一般試験と同様で、専門科目、英語、口述の3つです。専門科目の試験には、用語の説明や論述の問題があります。希望する指導教員やお茶大日本語教育コースの先輩のHPで推奨されていた日本語教育の概説書の中から、興味の持てる、読みやすそうな本を何冊か選びました。大学で第二言語習得を専攻していなかった私には、基礎知識がなかったため、概説書の内容をまとめたりして、基本的な理論、モデル、仮説などを一から学びました。院試準備として勉強したことが、大学院に入ってから学ぶことの基礎になったと感じています。


 英語の試験は、現行の方式では、10年以内に受験したTOEFL、IELTS、英検で一定の成績を超えていれば、試験が免除されることになっています。私は数年前に準1級に合格していたため、免除になり、心の負担がだいぶ軽くなりました。早めに対策し、英語試験が免除になる成績が取れると、専門科目と口述試験に集中できるため、少し楽になると思います。


  口述試験では、研究計画書の内容などについて質問されます。質問されそうなところを、あらかじめまとめておくといいと思います。


 社会人入試の場合、仕事を続けながら受験準備をすることが多いと思います。私にとっては、限られた時間の中で勉強時間を確保するのは簡単ではありませんでしたが、日本語を教えながら勉強する中で、多くの気づきがありました。進学を考えている日本語教師の方は、ぜひチャレンジしてみてください。