私たちは花椒、桂皮、八角、クローブの抽出液が成熟IL―1βの分泌を阻害することを見出し、その作用機序を解析しました。その結果、これら香辛料の抽出液は、カスパーゼ1の活性化、プロIL―1βの切断、GSDMDの活性化には影響せず、成熟IL―1βの細胞外輸送のみを阻害することを明らかにできました。つまり香辛料抽出物はGSDMDの作用よりもより下流の過程を阻害すると推測されました。
これらの香辛料は共通してガロタンニンを豊富に含有すると予想されたので、ガロタンニンの活性を検討してみることにしました。その結果、市販のタンニン酸混合物が香辛料抽出物と同様の活性を持つことを確認しました。しかし、1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコースには活性を確認できず、タンニン酸混合物中の特定の構造をもった分子種のみが特異的に成熟IL―1βの細胞外輸送を阻害しているものと推測されました。
香辛料抽出物あるいはタンニン酸混合物中の成熟IL―1β細胞外輸送阻害物質の特定には至っていませんが、これら香辛料成分あるいはタンニン酸成分を抗炎症剤として活用できる可能性が示唆されました。
この課題は科研費の助成を受けて実施されました。
https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-15K00815/15K00815seika/
私たちは担子菌類のモデル生物であるウシグソヒトヨタケの子実体形成機構を解析しています。地道にデータを収集し、小さな発見を積み重ねています。
日々の実験の様子を少しお見せします。