認知神経科学は,認知心理学的手法と脳のかたちや活動を計測する技術を組み合わせて,ヒトの脳がどういった場面でどのように使われているかを調べ,さまざまなこころのありようを実体としての脳とその活動に基づいて理解しようとする研究分野です。この中でも当研究室では,実際に相互作用する二人を対象とした『二人称視点による社会的相互作用の心理・神経メカニズム研究』を中心に行っています。具体的には,主に脳波 (EEG) やMRI,アイトラッカー等による二者の脳活動や行動の同時計測系を用いて,視線や言葉を介してコミュニケーションしている二者のあいだにみられる複数者の脳活動の特徴やそれらと心的過程との関係について研究をしています。
当研究室は2012年7月に名古屋大学に田邊が着任したのを機にスタートしました。研究室では大学院生・学振PD募集中です。文系理系を問わず,我々の研究に興味のある方は是非一度ご連絡ください。
二人称視点による社会的相互作用の心理・神経メカニズム研究
社会性の一側面が現れるコミュニケーション場面でのやりとりは,リアルタイム性を持ちダイナミックで相互作用的であることにその本質があります。そしてこれは,実験参加者が実際の他者と関わることなくその事象を観察し,それに対する反応を計測するという従来の一人称/三人称視点的実験デザインでは捉えることができません。現状の社会神経科学や生理心理学において,リアルに相互作用している複数者を対象とした研究は極めて少ないですが,我々のグループは,自分が他者と直接的に関わる視点(二人称視点)を実験パラダイムに導入することにより,ヒトの社会的相互作用の本質に迫れるのではないかと考えています。こういった絶え間なく続くコミュニケーション中に起こる二方向性の刺激−脳−行動のカップリング(すなわち個人内と個人間の行動−知覚ループ)を前提にした相互作用の心理や神経メカニズムを探るためには,相互作用する複数者の脳活動を含む生理指標と行動を同時に計測する必要があります。そこで当研究室では,複数者同時計測システム,いわゆるハイパースキャンシステムを実験室内に構築し,リアルタイムで視線や言葉を介した相互作用をしている複数者の脳活動・生理指標・行動を手がかりに,その心理・神経メカニズムについて研究を進めています(詳細は『研究』を見てください)。
トピックス
2025.8.27 ホームページを公開しました。
2025.7.30 近藤竜生さんがチリで開催されたPME48で口頭発表しました。
2025.6.21 田邊が第40回日本生体磁気学会大会のシンポジウムに登壇しました。
2025.4.1 新しいメンバー(M1 福田悠人さん,知久郁哉さん)が加わりました。
2025.3.25 櫻井悠介さんと中山隼人さんが博士前期課程を修了しました。
2025.3.19 近藤竜生さんが数学教育学会より馬場奨励賞優秀論文賞を受賞しました。
2024.4.1 新しいメンバー(M1 馬毓鴻さん)が加わりました。