今年度も引き続き、内閣府令和7年度地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取り組みモデル調査採択事業において、つむぎの「周囲の大人に理解され受け入れられる実感を生きる力に変える事業」で採択されました。これまでの取り組みに加えて新しい試みをしていこうと計画しています。実践したことをまた発信していきたいと思いますので、どうぞ今年も宜しくお願いいたします。
内閣府ホームページ
今年度も引き続き、内閣府令和7年度地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取り組みモデル調査採択事業において、つむぎの「周囲の大人に理解され受け入れられる実感を生きる力に変える事業」で採択されました。これまでの取り組みに加えて新しい試みをしていこうと計画しています。実践したことをまた発信していきたいと思いますので、どうぞ今年も宜しくお願いいたします。
内閣府ホームページ
内閣府 令和6年度地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査事業
で採択された
「周囲の大人に理解され 受け入れられる実感を 生きる力に変える事業」について、
この事業を行うに至った経緯と実際の様子、および今後の予定について、簡単に説明いたします。
つむぎの居場所にはかつて不登校だった若者や発達障害のある青年たちが集まってきます。
彼らの口々から、家族の無理解を感じながらも無理して親に合わせようとしてきた辛い日々が語られました。
成人された方が口々に悩みを打ち明けられたとき、男性も女性も関係なく、思いの底にある影は、
家族に受け入れられているという実感が持てていないということでした。
青年たちの感受性の高い繊細な心は、大人が発した 腹たち紛れの言葉に 押しつぶされそうになっていました。
福祉の制度や環境は、以前に比べると、より柔軟に整備されてきましたが、不登校やひきこもり、発達障害の二次障がいと孤軍奮闘している本人や家族がなんと多いことかと知りました。
今、私たちにできることは何なのか
家庭内でも孤立し、自分を責め続け、周囲からも受け入れられず、精神的にも不安定な状況に必死で生きる若者がいます。
一方、親の会には、わが子が一人前に成長するようにと必死でもがく親の姿があります。
どちらも必死です。
家庭内でも孤立し、自分を責め続け、周囲からも受け入れられず、精神的にも不安定な状況に必死で生きる若者がいます。
話を聞いてもらえる人がいて、その子供が否定されることなく、ありのままで愛され、安心していられる居場所 があり、心のエネルギーが溜まっていくことは、その人が活動するのに必要な要素です。
その子どもが、5歳であろうと、10歳であろうと、20歳であろうと、30歳、40歳、それ以上であろうと、
周囲の誰かに理解され、受け入れられ、愛されるという実感が大切だと考えました。
そう考えて決まったのが、この「周囲の大人に理解され 受け入れられる実感を 生きる力に変える事業」です。
世の中には多くのストレスがあり、なくなることはありません。
ストレスを受けた時の抵抗力や処理能力や容量をストレス耐性と言いますが、この中には、自尊心や自己肯定感などが入っています。
その自尊心や自己肯定感は、周囲から受け入れられる、認められるといったより良い人間関係の中で育ちます。
心のエネルギーが溜まっていくのには、この、自尊心や自己肯定感、有能感などが育つこと、ありのままの自分自身を認め、愛する気持ち、セルフエスティームが育つことが大切なのだということに注目しました。
具体的には、
①ピアサポートの場を作る
いつでも相談できる、安心して利用できる居場所という今までの事業は継続しつつ、これまで定期的に開催していた親のピアサポートの場に加えて、今まで事業化できていなかった祖父母のピアサポートの場、父親のピアサポートの場、当事者のピアサポートの場などを設ける。
当事者には受容される体験の得られる居場所となることを、家族には特性や状態を理解し受容するための出会いや交流の場及び学びの場となることを目指す。
②講座や研修会を開く
さまざまな障害理解や受容に関する講座等を積極的に開く。特に親御さんや家族に対するペアレントトレーニングを行い関わり方の学習機会を増やす。
③他機関やグループとの連携
・当事者として良き理解者になりうることと建物があることを強みにして、不登校や引きこもり、発達障害、精神障害等の当事者団体や、地域の福祉関係機関、教育機関とも連携し、「居場所」「活動の場」「相談の場」として周知し、特性に十分に配慮した上で対象の児者の活動を援助する。
・社協や行政等と連携し、ニーズのある当事者や家族に必要な日常生活の中の地域の居場所として関わる。
という目標を決めました。
世の中にあるさまざまなストレスへの耐性は、自尊心や自己肯定感や有能感の大きさにも左右されます。ところが、発達の凸凹や特性があると、日頃から失敗体験や叱られることや否定されることが多くなるので、このセルフエスティームの部分がとても弱くなっています。これを強化するためには、周囲の受容と適切な言葉かけや関わりが必要なのです。
まず、身近な存在である家族が発達障害のある子どもに適切に関わることで可能になってきます。
過去の親の会では母親が中心となって適切な対応を学んできました。
しかし、母親だけの努力ではうまく行きません。家族ぐるみでの意識変容が大切です。
それには、ちょっとしたコツが必要なのですが、母親からの家族への説得はうまくいかないことが多くありました。
そこで、祖父母に対しては、「孫のことが大好きでたまらないじいじとばあばのための勉強会」を企画して実施しました。
父親に対しては「わが子が推しの父ちゃんのための勉強会」を企画して実施しました。
本人に対しては、「自分自身を理解するための発達障害についての勉強会」を企画して実施しました。
これがその勉強会の様子です。
1時間の勉強会の後、ピアカウンセリングや相談、情報交換の時間、自由に語れるカフェタイムなどを 時間的な余裕を持って行っています。
ペアレントトレーニングと同様に、ファシリテーターやピアの立場のスタッフを配置して実施しました。
通常、活動の告知は、Facebook、Instagram、X、公式LINE、ホームページなどを使っていますが、情報がより届きやすくなるようにと、新聞掲載をしていただきました。
その効果もあり、中部だけではなく、鳥取市や米子市からの参加もありました。
じいじとばあばの会では、本当に心からお孫さんのことを愛し、心配しておられることがひしひしと伝わってきました。とても熱心に通ってくださいました。
父ちゃんの会では、口々に、妻に行くように言われて来たとおっしゃっていましたが、回が終わる頃になるとエンジンがかかってきて、とても熱心に意見交換していらっしゃいました。終了後も、駐車場での話が尽きませんでした。
本人の会では、発言や筆記やコミュニケーションなど、本人に無理のないように配慮して実施しました。こういう場に参加してくださるのには、とても勇気が必要だったと思いますが、来て良かったと言っていただき、次の会にも参加してくださいました。
もちろん、今まで通りペアレントトレーニングも実施しました。ペアレントトレーニングは5回のシリーズ+家庭での実践で開催しました。学んだことを家庭でも実践していただきました。1回1回の効果を感じながら熱心に参加してくださいました。
これは、じいじとばあばの会、父ちゃんの会に参加された方からいただいた声です。
私の前で、孫が笑ってくれるようになりました。なんて幸せだろうと思いました。
参加してよかったです。
私も褒められると嬉しいと思いました。
知り合いにも勧めたい。
など、
勉強会に参加された方々から、多くのご感想をいただきました。
本人の安定、関係性の改善、学校復帰、社会参加などの報告もあり、効果を実感しています。
昨年末に公開された鳥取大学の研究においてもペアレントトレーニングの効果が実証されましたが、私たちの実践においても、まさにその通りだと思える効果が実感されました。
今までペアレントトレーニングや親の会を続けてきた中でも素敵な変化がありました。
座談会をしたある夜のこと、今まで同じような困り感を持って子育てをしていたピアの立場で、お母ちゃんたちは、現在悩みで頭がいっぱいな その方のそばに行き、共感し、励まし、「私も同じだった」「今、一番大変だよね」「なんとかなるから、大丈夫だから」と声をかけてくれたんです。
それは、とても自然で、温かく、頼もしい光景でした。
これこそまさにペアレントトレーニングを受けてきた母親たちのピアサポートの姿だと思いました。
後日、悩み事を相談された方から、あの時は本当に嬉しかった、ありがたかったとご感想をいただきました。
新しいつながりが生まれ、次の一歩を踏み出そうとしていらっしゃいます。
そのお母ちゃんたちにエールを送ったのは言うまでもありません。
この活動を通して、
親子関係の改善、自尊心の再生、集団参加、意欲再生、自己理解、親子関係の改善、ピアサポートの広がり、夫婦関係の改善など、たくさんのものが生まれました。
実際に内閣府の委託を受けて実施したのは8月から1月までのたったの半年間でしたが、それだけでもこんなに効果があるのだとわかり、やって良かったと思いました。
やれば必ず何かしらの効果があります。すごいと思いました。
まず、家族が行動し、家族の理解や受容が生まれました。
家族の関係性が良くなり肯定的な対応や発言が増え、周囲に受容されることで、当事者の自尊心や有能感が育ちます。
この愛され、認められるという実感によって、本人のストレス耐性が強くなり、さらに、生きる意欲や自信へとつながっていくのです。
発達障害などの特性は世の中から消えるものではありません。
しかし、特性があっても適切な関わりによって二次障害を防ぐことができれば、彼らは次世代を担う有能な一員となるのです。
彼らは将来、発達の特性のある子どもを育てるかもしれません。
しかし、この特性を肯定的に捉えて子育てしていけば、また次の世代へと繋げていくことができるのではないかと、私は思っています。
発達障害や不登校、ひきこもりは、家族や周囲の社会とも深く関わっています。
家族が不登校やひきこもり、発達障がいの子どもや若者を受け入れ、適切に関わるためには、社会全体が理解を深めることが必要です。
今年度は、家族という小さな単位に注目して本人を理解し受け入れるための家族の変容を促す勉強会や相談会を実施してきました。
今後はこの事業を継続しつつ、加えて、一人ひとりを大切にし共に支え合う社会を目指して
学校や地域、職場などにも広げ、併せて、社会全体の理解が深まるよう活動を進めたいと考えています。
周囲の大人に理解され 受け入れられる実感を 生きる力に変える事業
一人ひとりを大切にし共に支え合う社会を目指して
この小さな取り組みが、みなさんの地域でも広がっていけばいいなと思っています。