千葉県鴨川市北釜沼里山集落へ移住した家族のための住宅の設計。近世の木組みと石場建ての大工技術を掘り起こし、身の回りの資源を用い、専門家と協働しながら自分たちでつくる。昔の建築の事物連関に身を投じ、その知性や技能を再現する建築の実践民族誌。
千葉県北釜沼集落に建つ木造伝統構法の合掌造りの小屋。石場建て基礎、貫構造の建前を学生が中心に施工を行った。集落の棚田の稲藁でつくった苫を縄で結んだ稲藁葺き屋根、今後も葺き変えを行い技術の継承を目指す。身体性と知の蓄積が込められる「結ぶ」という行為から名付けられた。
茅手の職人さんに指導していただき、結庵の屋根に、釜沼の天水棚田から得た稲藁を葺いた。麻縄や棕櫚縄、藁縄によって、篠竹を箱結びで登り梁に結び、稲藁を編んだ苫を男結びで篠竹に結びつけた。棟仕舞いには事前に作成した箱棟をのせた。
藤本工務店の大工さん指導のもと、結庵の建前を行った。ほぞやあなを差し金で計り、のみで削って現場で仕口の調整を行った。柱を礎石に据え、それぞれの柱に貫を通し楔で緊結した。声を掛け息を合わせて掛矢で部材をはめていき、金物を使わずに固める伝統構法の特徴を実践から学んだ。
大工さんの技術を身体で学んだ、木造伝統構法の継ぎ手仕口の墨付けと刻みのワークショップ。貫孔は角のみで開け、ほぞは手のこぎりとのみで刻んだ。その後2か月に渡り、学生だけで結庵建設に向けた墨付けと刻みを行った。
生態学的影響を最小限に抑える地盤事業。50cm幅の大きさの穴を掘り、約80cmの焼松杭を打つ。その上に割栗石、砕石を被せてタコで締める。水平を微調整しながら計16個の礎石を据える。
富山県氷見市において、能登半島地震に伴う液状化被害によって解体される建物の古材を、工務店や住民と民間主導で救出し保管する活動。廃棄される古材を減らし、古材を介して地域に残る歴史や文化、技術を後世に伝えることや、循環型経済を基盤とした新たな復興モデルの構築を目指す。
都内で展示された木造伝統構法の二畳の小屋を解体し、千葉県北釜沼集落に移築したプロジェクト。外壁は製材時に排出される端材を使用したシングル葺き、断熱材ウッドファイバー、仕上げの塗装は蒟蒻糊や柿渋で行い、建材のほぼ全てが生分解性である。
展示で発生した廃材で思い立って作ったインセクトハウス。中に枝が詰められている。虫たちの越冬場所となる。
TOTOギャラリー間の展示で発生した端材の置場。柱と貫の端材を使って貫構造の架台が作られた。この置場の材料は希望する来訪者に渡された。
足場板で土留めされた屋上菜園。植っているのは冬野菜のソラマメ、サヤエンドウ、カブ、小松菜。支柱の竹は都立大の竹藪から拾ってきたもの。素焼きのポットは灌水装置。西大井のあなの屋上に移設予定。
太陽光発電パネル3枚、蓄電池、インバーターを搭載した木造のパーゴラ。貫構法のため楔を外せば解体可能である。都立大能作研の学生が墨付け・刻みを行った。西大井のあなの屋上に設置予定。
竹で構成された堆肥置場。東京都立大学南大沢キャンパス内の竹藪は広葉樹を侵食しているため大学当局によって伐採されている。倒された竹を救出した。竹どうしは鉄筋で繋がれている。
TOTOギャラリー間の中庭の展示のための二畳の書斎。学生が伝統構法の墨付・刻みに挑戦し、貫穴は角ノミで開け、仕口は手鋸で切った。建前は藤本工務店の大工さんに指導してもらった。外壁は修正挽きした際に発生する端材をシングル葺きとし、角の文机、フードドライヤー、蒟蒻糊障子を設置した。釜沼集落に移設予定。
TOTOギャラリー・間で開催された「都市菌(としきのこ)−複数種の網目としての建築−」の展示設営。木造伝統構法の小屋、パーゴラ、都立大の竹や落ち葉を使ったコンポストなどの施工を行った。廃棄物を出さないことをコンセプトとし、これらは展示後すべて解体し別の場所へ移築した。
「杭とトンガリ」の敷地において、土中環境改善のワークショップを行った。土壌の水はけを良くし、新鮮な水や空気の通り道の形成を誘導するために、雨落ち部分に縦穴と溝を掘り、節抜きした竹と落ち葉や枝、竹炭を埋設した。通常土壌に戻らない雨水を浸透させ、土中環境を治癒する。
藁ブロックと竹、蜜蝋ワックス塗りの綿布の、土に還る材料でできたタイニーハウス。タイニーハウス・フェスティバル2021にてヴォイス・オブ・アースデザイン小委員会とストローベイルハウス研究会との共同で出展した。
「明野の高床」におけるストローベイルハウス構法の藁による壁材兼断熱材の施工。廃棄物となることを見越して土に還る素材で作られており、藁を積みシュロ縄と泥団子で固定し、荒土壁によって仕上げた。高床は藁を守るための形式でもあり、高温多湿な気候の日本での藁の腐食を防ぐ。
東京科学大学 環境・社会理工学院 建築学系 能作文徳 研究室
Science Tokyo, Department of Architecture and Building Engineering, NOUSAKU FUMINORI LABORATORY