●裾張りトタン化について
ドブネズミはモグラのように自力で穴を掘ることができます。この穴掘りによってビニールハウスの中に侵入もします。
これを防ぐには、ハウスの裾張りをビニールではなくガルバリウム製のトタン板にして45cmほど地中に埋め込むことで、侵入経路遮断(物理的防除)を行うことが重要と思われます。この「裾張りトタン化」が現時点で最も有望な穴掘り侵入対策だと考えています。この方法なら、穴掘り侵入だけでなく、横から裾ビニールを破いて侵入する「横破り侵入」をも防ぐことができます。
しかし適切な埋め込み深さをまだ確定できていません。
経験則では45cm埋め込んであればほぼ防げるように思っていますが、それだけの深さを埋め込むのは相当の労力とコストを要します。
この埋め込み深さの問題を中心として、以下のような課題をクリアすれば、実用的な侵入対策が確立できるのではないかと考えています。
①埋め込み深さの確定:ドブネズミの穴掘り侵入をほぼ完ぺきに防げるトタンの地中埋め込み深さを確定すること
②省力的な施工法の検証:土をトタンに寄せて25cmの高さで盛ることで、トタンの地中埋め込み深さは20cmであっても45cm分の高さを確保する施工法は有効か?(経験則上は有効)
③アゼシートやラス網の効果検証:トタンの代わりにドブネズミの穴掘り侵入を防除できるのか検討すること。アルミテープが破かれるくらいなので、プラスチック製では食い破られてしまうかも?
④スカート(L字)は有効なのか検証すること:アメリカやカナダの資料参照。ただし埋め込みに労力がかかるため、裾張りトタン化だけで済むならそれに越したことはない。
⑤日本の防鼠構造の再調査:日本の建築物の防鼠構造を今一度調べ直し、地中の防鼠構造についての情報を探すこと
参考
●米国 PCT (Pest Control Technology) “Exterior Norway Rat Infestations”
https://www.pctonline.com/article/-vertebrate-pests--exterior-norway-rat-infestations--part-i/
・ドブネズミの外部巣穴の典型的深さ(12–18インチ=30–45cm)や長いトンネルの報告など、掘削深さの記述
●Saskatchewan government rat control
https://fieldcropnews.com/wp-content/uploads/2012/06/Rat-Control-revised-Sep-09_SASK_Gov.pdf
・ドブネズミの巣穴の深さは最大1mに及ぶこともある。
●CDC / US Public Health Service “Rodent Control Manual”
・建物周囲の防鼠施工として、30–60 cm の埋設を推奨。
●University Extension(Oregon, Texas, North Dakota)
・農業施設の構造物防鼠として 18–24 inch(約45–60 cm)を標準。
●University of Missouri Extension “Controlling Rats”
https://extension.missouri.edu/media/wysiwyg/Extensiondata/Pub/pdf/agguides/wildlife/g09446.pdf
・研究によると、ネズミは日常の活動で通常、平均して直径100~150フィートの範囲を移動します。ネズミが食料や水を求めて巣穴から300フィート以上移動することはめったにありません。
※100~150フィート=約30~45m
・屋内で迷惑なネズミを駆除するには、⼀般的に罠を仕掛ける⽅法が最も好まれますが、ネズミの個体数が多い地域、特に周辺地域からネズミが継続的に侵⼊している場合は、毒餌の使⽤が推奨されることが多いです。
・リン化亜鉛などの殺⿏剤を使⽤する前には、特にプレベイト処理が推奨されます。リン化亜鉛は急性毒性物質であり、致死量を摂取す ると数時間以内に動物を死に⾄らしめます。プレベイトをネズミに約5⽇間与えると、最良の結果が得られます。プレベイトの摂取量に基づいて、 必要な毒餌の量を決定します。毒餌を散布する際には、⾷べ残したプレベイトをすべて除去してください。プレベイトの受容性が低い場合は、リン化亜鉛を散布しないでください。
●Washington State University Extension “Principles of Vertebrate Pest Management”
https://extension.wsu.edu/snohomish/mg-home/gardening-resources-2/principles-of-vertebrate-pest-management
・ネズミ駆除プログラムでは、隠れ場所の除去がしばしば見落とされます。特にネズミは、薪の山や保管物の積み重ねに好んで生息します。積み重ねた資材は、地面から少なくとも20cm(約20cm)、できれば45cm(約45cm)の高さのパレットに載せる必要があります。可能であれば、隣接する壁からも45cm(約45cm)離し、幅は6フィート(約1.8m)以下にし、積み重ねられた資材と積み重ねられた資材の間には少なくとも30cm(約30cm)の通路を設けてください。
・コレカルシフェロール(ビタミンD 3)はカルシウム動員化学物質であり、げっ歯類の血中カルシウム濃度を変動させ、高カルシウム血症で死に至らしめます。他のほとんどの哺乳類は血中カルシウム濃度の変化にそれほど敏感ではないため、この毒はほとんどの非標的動物に対して比較的低毒性から中等度の毒性を示します。この物質が二次中毒を引き起こすことは知られていません。
・幸いなことに、リン化亜鉛は齧歯類が好む強い臭いと味のため、ほとんどの動物にとって忌避剤となります。 しかし、この化学物質は動物の死後数日間は腸内で活性を維持する可能性があるという情報源もあり、二次中毒のリスクがある可能性があります。
●University of Nebraska–Lincoln “Rodent-Proof Construction and Exclusion Methods”
https://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1025&context=icwdmhandbook
・ラットは少なくとも地表から36インチ(91cm)の深さまでまっすぐ穴を掘ることができる。
・ネズミは、床下や基礎の下に⽳を掘って、柱や浅い基礎壁のある建物に侵⼊することがあります。この経路によるネズミの侵⼊を防ぐには、基礎壁を少なくとも91cm(36インチ)地下に延⻑してください。これにより、凍結による被害も軽減されます。また、基礎から⽳を掘るネズミを遠ざけるために、⽔平⽅向の⾜場を延⻑することもできます(図14)。農業⽤建物やバルクビンの敷設場所においては、スラブオングレード⼯法の使⽤は避けてください。
・コンクリートと⾦網のどちらを選ぶかは、構造物の耐⽤年数によって決まります。⾦網はコンクリートよりもかなり安価ですが、その耐⽤年数は⼀般的に5〜10年程度です。
・建物の基礎、コンクリートスラブ、基礎の周囲に、幅3フィート(1メートル)の雑草のない清潔なエリアを維持すると、げっ⻭類が⽳を掘るのを防ぐだけでなく、餌となるものも排除できます。
・裸地の浸⾷が懸念される場所では、定期的に植⽣を刈り込むか、重たい砂利を敷設することで、この緩衝帯を維持できます。⽳掘りを防ぐには、直径2.5cm以上の砂利を、少なくとも幅60cm、深さ15cmの帯状に敷き詰めます。
・貯蔵施設は底が平らで、げっ⻭類が下や背後に隠れられないように設計•設置する必要があります。貯蔵室、クローゼット、飼料庫など、構造上、げっ⻭類が壁、床下、屋根裏に侵⼊できる可能性のある場所には特に注意が必要です。⽊材などの保管品は、適切な清掃と点検ができるよう、床から46cm(18インチ)、壁から46〜61cm(18〜24インチ)離して積み重ねてください。倉庫の在庫は、常に床から離し、壁から離してパレットに積み上げてください。
・基礎壁の外側に断熱材を設置する場合は、保護カバー材が必要です。適切な材料としては、セメントボード、⾼密度ガラス繊維強化プラスチック、Block Bond®やSurewall®などのこて塗りコーティング材などがあります。このような場合は、地下シロアリの侵⼊経路となる可能性のある箇所を防ぐため、⾦属製のフラッシング材を使⽤する必要があります。現在、いくつかの企業が外壁断熱⽤の特殊コーティング材を製造しています。例としては、DuraWallTMやSecure-wallTMなどがあります。保護カバー材は、仕上げ⾯から少なくとも91cm(36インチ)下まで延⻑してください。保護層の端部が91cm(36インチ)未満の場合、外側に少なくとも30cm(1フィート)延⻑する⽔平の棚を追加してください。
・飼料棚を設置するコンクリート板は、ネズミが板の下に⽳を掘るのを防ぐため、 外縁部で⼟壌に36インチ(91cm)まで突き出した基礎が必要です。また、厚⼿の砂利を敷き、板の周囲を清潔で雑草のない状態に保つことで、ネズミの⽳掘りを抑制し、ネズミの穴掘りを抑制し、ネズミの活動をより簡単に察知できるようになります。
●University of Nebraska–Lincoln “RODENT EXCLUSION TECHNIQUES: A Training Guide for National Park Service Employees“
https://digitalcommons.unl.edu/icwdmother/47/
・基礎やトレーラーの縁の下まで伸びるネズミの巣穴が見つかった場合は、動物を駆除し、基礎や縁の下の周囲全体を、幅14インチ(約30cm)の「L字型」で厚さ1/4インチ(?)、16~19ゲージの金網でできた「カーテンワイヤーバリア」で覆う必要があります(図24)。ワイヤーの垂直方向の端は、地表から約5~6インチ(約13~15cm)の高さで建物の外壁にしっかりと固定し、もう一方の端は地表から約2インチ(約5~15cm)下に埋めます。地中に伸びるワイヤーの下端は、建物から離れて水平(約5~15cm)に折り曲げます。地中のワイヤーの水平方向の端は、長さ約30cmごとに地面に杭を打ち、その上から5インチ(約5~15cm)以上の土や石で覆うようにしてしっかりと固定します。(p.32)
※1/4インチではなく、「1/4インチメッシュ」という一まとまりの語かも?すると6.35mm目合いという意味になる?
・壁の下に穴を掘ろうとする動物のほとんどは、壁が地面と接するところから下に向かって掘り始めます。しかし、カーテンワイヤーのバリアの地中に埋め込まれた水平部分が壁から外側に伸びているため、それが不可能になります。(p.32)
・旧世界の(外来の)ネズミは、基礎の下に穴を掘る試みがより攻撃的であり、コンクリートの「カーテンウォール」の構築が必要になる場合があります。これは、基礎に接する AL 字型で厚さ 4 インチのコンクリート壁です。地上では 6 ~ 8 インチ(約15~20cm)、地下では最低 2 フィート(約60cm)伸びます。カーテンウォールの下部の水平部分は、建物から少なくとも 1フィート(約30cm)伸びています。このタイプの構築は、ほぼすべてのタイプの基礎に使用できますが、建物の周囲に 2 フィートの溝を掘り、コンクリートの型枠を構築する必要があるため、構造物に後から取り付けるには費用がかかります。(pp.32-33)
・ネズミは強力な歯を持ち、コンクリートブロック、アルミサイディング、アドベレンガ、壁板、石膏ボード、木材など、様々な耐久性ある素材に穴を開けることができます。通常、かじるには露出した端が必要です。滑らかな表面では、穴を開ける能力が制限されます。
・旧大陸のネズミ(筆者注:ドブネズミやクマネズミ。アジア・アフリカ・ヨーロッパに由来するネズミ)は通常、巣から30~45mの範囲を動き回ります。
・げっ歯類は[……]わずか1/4インチ(約6mm)かそれより少し大きい程度の小さな穴、亀裂、隙間からでも侵入できるため、室内の徹底的な点検が不可欠です。(p.17)
・床に保管されている箱など物品は、床から15cm以上高い棚やパレットに置かれていることを確認してください。物品を床から離し、ネズミの活動範囲から遠ざけることで、隠れ場所がなくなり、床の清掃や点検が容易になり、ネズミ捕り用のトラップを設置する場所も確保できます。
●EcoGuard Pest Management “How Deep Do Rats Burrow?”
https://www.ecoguardpestmanagement.com/pest-resources/rat-holes
・ドブネズミの巣穴は通常、地下に安全な隠れ家を確保するために、深さ30~45cmほどに伸びています。しかし、建物の基礎に隣接して掘られた巣穴は、最大1.2mの深さに達することもあります。このように深く掘られることで、ネズミは基礎の下を通り抜け、建物の内部に侵入する可能性があります。
・(筆者注:ネズミは巣穴のトンネルは)最大90cmまで伸び、通常は地表から45cm以下の深さしかありません。
・巣穴は砂質土壌で、餌や水源に近い場所、茂みや密生した植物の下など、ある程度身を隠すことができる場所に戦略的に配置されます。
・これらの巣穴には、通常、6~8匹のネズミからなる単一の家族が住んでいます。
・ドブネズミは夜間に餌を探し、巣穴から50~150フィート(約15~30m)ほど移動しますが、必要に応じてさらに遠くまで移動することもあります。
・モグラの穴は、トンネルの入り口を覆う、小さな火山のような円形の土盛りです。ネズミの穴の入り口は土に埋まっておらず、より目立ちます。
・モグラは地表近くにトンネルを掘り、地面にふにゃふにゃとしたスポンジのような感触を与えます。ネズミは安全のため、保護された場所に沿って掘ることを好みます。
●Washington State Dept. “Living with Wildlife: Rats”
https://wdfw.wa.gov/species-habitats/living/species-facts/rats
・ドブネズミは地面に掘った巣穴に巣を作ることが多い。巣穴は通常、深さ18インチ(約45cm)、長さ3フィート(約90cm)未満で、中央に巣がある。緊急時の脱出用にボルト穴がいくつかある。
●ICWD M (Integrated Controlling Wildlife Damage / Vertebrate Pest Control) “Norway Rat Damage Prevention and Control Methods”
https://icwdm.org/species/rodents/norway-rats/norway-rat-damage-prevention-and-control-methods
・場合によっては、建物の基礎やその他の構造物に隣接して重い砂利を敷くことで、ネズミの巣穴掘りを減らせることがあります。砂利は直径2.5cm以上、幅60cm以上、深さ15cm以上の帯状に敷き詰めてください。
●竹内孝功(2023)「隙間をなくす ネズミ対策 パイプハウスにラス網、季節の変わり目に木酢で徹底防御」、現代農業2023.6、p.80
●竹内孝功(2024)「鳥獣害を徹底ガード パイプハウス鶏舎」、現代農業2024.3、p.61
・ネズミの穴掘り対策として、ハウスの周りにはアゼシートとラス網(0.9m×1.8m。約1㎝の格子)を、それぞれ地下30㎝ほど埋め込んでいる。
●関塚学(2023)「ヒナが全滅!床下周りを徹底ガード」、現代農業2023.6、p.225
・90㎝幅のステンレスの金網を半分に切って土の中まで埋めている
→写真で見る限り、45cmの金網を30cmほど地中に埋設している?
●小寺正明(2013)「雨に強く、出入りを減らせる 葉物産地のオリジナルハウス」、現代農業2013.6、p.136
・アゼシートをハウス内周に15cm埋め込み(ただしネズミ対策のためではなく、主に雨と土壌病害対策)
●小寺正明(2012)「支柱が長持ち ハウスの際にアゼシート」、現代農業2012.11、p.105
●中井多喜雄(2011)『おもしろサイエンス ネズミと害虫退治の科学』、日刊工業新聞社、pp.40-41
・アメリカの建物の防鼠構造についての図解
●ドブネズミの逃げ込み方
・ハウスの裾張りと土の境目、防草シートの下に逃げる
竹内(2023:223)
アゼシートとラス網の地中埋め込み
関塚(2023:225)
鶏舎の床下周り
小寺(2013:136)
アゼシートを幅の半分ほど地中埋め込み
・目的①水防止:泥はねや雨水の浸入を防ぎ、病原菌をシャットアウト。
・目的②サビ防止:肥料がパイプについて錆びるのを防止。
小寺(2012:105)
アゼシートを地中に20cm埋め込み
University of Missouri Extension “Controlling Rats”
https://extension.missouri.edu/media/wysiwyg/Extensiondata/Pub/pdf/agguides/wildlife/g09446.pdf
University of Nebraska–Lincoln “Rodent-Proof Construction and Exclusion Methods”
https://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1025&context=icwdmhandbook
University of Nebraska–Lincoln “Rodent-Proof Construction and Exclusion Methods”
https://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1025&context=icwdmhandbook
University of Nebraska–Lincoln “Rodent-Proof Construction and Exclusion Methods”
https://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1025&context=icwdmhandbook
University of Nebraska–Lincoln “RODENT EXCLUSION TECHNIQUES: A Training Guide for National Park Service Employees“
https://digitalcommons.unl.edu/icwdmother/47/
中井(2011:40-41)
アメリカの防鼠構造モデルの例
Saskatchewan government rat control
イノチオアグリ様提供 トタン埋め込み部材「フィット」
イノチオアグリ様提供 トタン埋め込み部材「フィット」施工写真
ドブネズミ穴掘り侵入失敗跡(ハウス外側)
2025.12.6撮影@府中市
トタンが地中に約40~50cm埋まっているため掘り切れず侵入に失敗したと思われる
ドブネズミ穴掘り侵入失敗跡(ハウス内側)
2025.12.6撮影@府中市
内側から見た写真。侵入の形跡はなく、侵入に侵入したと思われる。
●ラス網(メタルラス)の埋め込み実験 2025.12.6
→あまり良い方法ではないと分かった。裾ビニールの張り替えのときに金網を外すのが大変面倒。ならば最初から裾張りトタン化の方が良い。