スペシャルセッションの目的:
脳で実現される認知機能は,脳の包括的な神経活動の相互作用から生じる創発現象の最たるものである.このような現象を理解するためには,脳の構造的および機能的な大域的神経ネットワークを研究することが必要である.このような研究には,数理モデリングとニューロイメージングのデータ分析を組み合わせた相補的なアプローチが強力なツールとなり得る.
これまでに行われた膨大な神経ネットワークの数学的モデリング研究は,ニューロンの膜電位のダイナミクス,ニューロン集団の発火特性,さらには認知機能の機能レベルの特性など,多様なレベルを対象にしてきた.さらに実際の計測に基づく,データ駆動分析による研究において,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)は,神経画像データに基づく研究で最も広く使用されている方法である.ただし,fMRIによって捉えられる血中酸素レベル依存性(BOLD)信号は血流を反映しており,ニューロン集団の発火活動を間接的にしか反映しておらず,時間分解能は最大でも数Hzしかないという弱点を持つ.一方,神経活動は約100Hzに達する広範囲の周波数成分を含んでいるため,脳波(EEG)や脳磁図(MEG)などの高時間分解能をもつニューロイメージングの利用も必要となる.さらには,瞳孔計測などの行動方法によるデータは,EEG/MEGでは捉えられない深部脳の神経活動を反映しており,ニューロイメージングとして近年重要性を増している.その結果,現在のデータ駆動分析研究は,深部脳領域を含むさまざまな周波数領域にわたる広範囲な時空間領域を対象に進展している.
この特別セッションでは、数学的モデリングとニューロイメージングのデータ駆動分析の研究成果を集め,脳の構造的および機能的ネットワークの統合的理解と,そこから創発する認知機能に関する研究を発表する場を提供することを目指している.
オーガナイザー:
千葉工業大学 信川創
スケジュール
発表申込締切: 2024年8月30日[金]
発表論文投稿締切: 2024年9月20日[金]
プレゼン動画・ポスタースライド提出締切: 2024年10月4日[金]
https://www.sice.or.jp/org/SSI2024/