(1)文書管理の起源
国際公文書館会議定義によれば、記録とは、「機関や個人の活動の開始時、実施時、完了時に作成または受領され、その活動に証拠を与えるに足る内容、コンテクスト((背景・状況・環境)、構造から成る、記録された情報」と定義されています。
記録の起源は、古代エジプトやメソポタミヤに残る外交文書にさかのぼると言われています。当時の記録媒体は、まだ紙ではなく“粘土板”に本文とその文書の管理のためのメタデータ(記録を管理するためにデータに付けられたデータ)も記述されていました。
また、古代ローマでは、元老院記録、国庫財産記録、十二表法(成文法典)などが保管されていました。これは文書管理の目的が、時の為政者による支配・統治の要として文書を作成し、保存・管理していたことを示唆します。
記録媒体が、“粘土板”でも文書かの疑問は、民事訴訟法・刑法による文書とは、「文字、その他の記号を使用して人間の思想、判断、認識、感情等の思想的意味を可視的状態に表示した有形物をいう」であり、文字とは日本語のみならず外国語も含み、その他記号とは、速記号、暗号、点字などをさします。思想的意味を可視的に表現するものであるから、図面、地図、写真、音声テープなどは文書ではありません。有形物とは、紙に限らず、木片、布地、金属、皮革、石、コンクリート、プラスティックなどであり、当然粘土板でもよいことになります。
(2)日本の文書管理の歴史
昔の日本の文書管理は、現代社会より、しっかりしていたと言えます。江戸時代までは、権力や権限確保のために証拠となる公文書を厳重に作成・管理していて、文書管理は片手間にやるものではなく、重要な仕事でありました。日本の昔の文書管理を現代風に評価しますと、
1 保存期間管理と紙資源のリサイクルのルール(奈良時代)
2 ナレッジマネジメント(江戸時代の公家の家職ノウハウ蓄積)
3 内部統制強化のための文書管理(江戸時代大名家政策判断した責任者名明記)
4 重要記録管理(江戸時代村役人の村の権利書の管理)
ともいえることが行われていました。
(注)参考文献
◎公文書記録、粘土板への移行を検討 政府 Kyoko Shimbun 2018.03.13 News(fake News)