1 立地条件
西諸県地区は、宮崎県の南西部に位置し熊本県及び鹿児島県と接している。気候は夏暑く冬は冷え込み、昼夜の寒暖差が大きい温暖な内陸型であり、年間平均降水量は2,569mmの多雨地帯である。年平均気温は、16.3℃、日照時間は2,037時間である。
また、平成29年には新燃岳が、平成30年には硫黄山が噴火しており、降灰等には今後も警戒を要する状況である。
当地域の耕地面積は、畑地の割合が54%を占め、県の畑地割合(46%)と比較して高くなっている。
2 営農等の状況
農家及び農業就業人口は、年々減少している。年齢別に見ると、基幹的農業従事者に占める65歳以上の割合は増加傾向にあり、直近の統計では67%に達し、県平均(62%)より高齢化が進んでいる。
農業産出額は、約550億円で畜産が75%を占め地域の中心である。野菜関係では、冷涼な気候条件を生かした里芋、甘藷、ほうれん草等の露地野菜、ビニールハウスを利用したメロン、ピーマン、きゅうりやマンゴー、他には花き、果樹(なし、ブドウ)、水稲、茶等多様な農産物が生産されている。
担い手の状況は、肉用牛生産農家については若い後継者が育ちつつあるが、露地野菜等にはあまり育っていない。近年は農業法人の設立も増えつつあるが、大規模区画の農地の借り手は多いが、小さな圃場や条件の悪いところは耕作放棄地も見られる。
3 沿革
西諸畑かん事業について、昭和30年代に調査が実施されたが受益者の同意が得られず実現しなかったが、その後事業構想は各種調査に受け継がれ平成8年に同意率(95.2%)を取得しで事業施行申請がなされた。
国営事業については、平成8年から令和元年度にかけて事業が完成した。浜ノ瀬ダム、幹線水路(55km)支線水路(54km)及びファームポンド、揚水機場が整備された。また、県営事業についても順次整備され平成29年度から一部通水されることになった。このため維持管理を行うため平成25年に土地改良区が設立された。